Yoshimura Masao

一橋大学大学院法学研究科教授(租税法)/千代田キャンパスで平日夜間・土曜日に開講しているビジネスロー専攻に所属しています。 http://www.law.hit-u.ac.jp/bl/professor/shushi/yoshimura.html

Yoshimura Masao

一橋大学大学院法学研究科教授(租税法)/千代田キャンパスで平日夜間・土曜日に開講しているビジネスロー専攻に所属しています。 http://www.law.hit-u.ac.jp/bl/professor/shushi/yoshimura.html

最近の記事

7月16日-29日までのニュースメモ(米国税制改正に向けて前進、G20財務相会議、英国第2の柱法案ドラフト、EU「デジタル時代の付加価値税」報告書)

米国税制改正について、Manchin議員がインフレーションの推移を見てから判断すると発言。夏前の法案通過の可能性も潰えた、と思われていたが… 急転直下、Manchin上院議員とSchumer上院院内総務との間で税制改正を含む法案に合意。来週にも議会に法案が提出される可能性。 Inflation Reduction Actの法律案、要約: その背景:

    • BEPS包摂的枠組み(Inclusive Framework)会合による声明(2021年7月1日)

      米国バイデン政権による提案は、国際課税ルールの見直しに関する議論を大きく動かした。2021年6月にはG7財務相会合で支持を受け、残る関門は同年7月に予定されるBEPS包摂的枠組み会合での合意の成立と、それを受けたG20財務相会合での政治的合意となっていた。 2021年7月1日、139か国中130か国の合意を受け、国際課税改革の新しい枠組みに関する声明が公表された。備忘録として、その抜粋訳とコメント(※印を付した)を作成した。全訳ではなく、またコメントは適宜追加していく予定。

      • 米国バイデン政権によるOECDブループリント(第1の柱)に対する評価――包摂的枠組み会合運営委員会におけるプレゼン資料(2021年4月8日)の紹介

        1.バイデン政権の目指す税制改革バイデン政権の税制改革に向けた姿勢としては、共和党政権下で進められた2017年税制改革(Tax Cuts and Jobs Act of 2017, TCJA)で大きく引き下げられた法人税率の回復(28%への引上げ)とともに様々な増税策を打ち出すことが表明されている。 その中で注目されたのが、多国籍企業の利益移転に対する強硬な姿勢である。GILTI税制の強化策とあわせて、「底辺への競争」の終焉と題したパートでは、BEATをSHIELD (St

        • 第1の柱における統合アプローチ事務局案の公表(2019年10月9日)

          経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するための国際課税の見直しが進められる中、第1の柱における統合アプローチ(unified approach)の事務局案が公表された。 (参照)OECDプレスリリース 以下、重要と思われる点をメモしておく。 提案の概要2019年5月に公表された作業計画(PoW)は、ポリシーノートで提示された3案の共通点を括り出し、統合アプローチの検討を実施することを表明していた。 そうした検討の結果、解決策の鍵となる特徴として、次のような点が挙げられて

        • 7月16日-29日までのニュースメモ(米国税制改正に向けて前進、G20財務相会議、英国第2の柱法案ドラフト、EU「デジタル時代の付加価値税」報告書)

        • BEPS包摂的枠組み(Inclusive Framework)会合による声明(2021年7月1日)

        • 米国バイデン政権によるOECDブループリント(第1の柱)に対する評価――包摂的枠組み会合運営委員会におけるプレゼン資料(2021年4月8日)の紹介

        • 第1の柱における統合アプローチ事務局案の公表(2019年10月9日)

          経済デジタル化に対応する解決策検討に関する作業計画の紹介(2019/07/21)

          はじめに2019年5月31日、経済のデジタル化に伴う課題への解決策を検討する作業プログラム(以下、「作業計画」という。)がOECDから公表された。5章構成で、ポリシーノートで示された内容のアップデート、今後検討されるべき論点の提示等が行われている。 (参考)ポリシーノートに関する紹介、これまでの議論の経緯 ここでは、課税権配分の大きな見直しに結び付く可能性のある第1の柱に限定することとして、作業計画の内容を整理し、簡単な分析を加えている。 作業計画は、ポリシーノートで提示さ

          経済デジタル化に対応する解決策検討に関する作業計画の紹介(2019/07/21)

          メモ:OECDによるデジタル課税に関する検討状況の公表(2019年1月29日)

          2019年1月29日、BEPS包摂的枠組会合(the Inclusive Framework on BEPS)における議論の成果としてPolicy Noteが公表された。 International community makes important progress on the tax challenges of digitalisation - OECD ※あわせてOECD Tax Talk開催(スライド) 以下の内容について、包摂的枠組会合における合意形成の可能性が

          メモ:OECDによるデジタル課税に関する検討状況の公表(2019年1月29日)