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(仮) なんか思いついたらそれにします

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適当に思いついたこととか
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#超短編小説

写真の怪

溜まっていた書類を片付けていると、後ろから肩を叩かれて飛び上がってしまった。
慌てて振り向くと、よく知った怖い顔の人が立っていた。警部だ。
「県道○○号の事故の調査に行ってくれないか?」
いくらなんでも唐突が過ぎる。疑問形ではあるが拒否権などない。
「どういう事件なんですか?」
「まだ事件かどうかはわからん。詳しくは交通課の岩田に聞け」
「交通課ですか?ならなんでうちに?」
われわれ一課とはそれほ

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にく 解答編

出題編は こちら 
あくまでこれは解答編ですので、出題編から読むことを強く推奨します。じゃないと意味わからないと思います。

「ああ、おそらく間違い無いと思う」
「え?犯人は誰なんです?」
「まあ待て、順を追って話そう。まず……平和荘の住人全員の名字が都道府県名になっていたのはわかっていたかな?」
「ええ、流石にそれは。そこまで珍しい名字ではないですが、きっちり全員ってのもあまりないなとは思いまし

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にく 出題編

自分の担当する事件の捜査が一段落したので席に戻ると、隣の先輩が一枚の写真を手にうんうん唸っていた。
「どうしたんですか?不倫でも?」
「俺も女房もお前みたいに気が多くないよ。これは今俺が追ってる事件の写真だよ。……お、そうだ。今ヒマか?」
「まあ手は空いてますけど」
「じゃあ一緒に考えてくれないか?一人で考えてると手詰まってきたんだ」
先輩は有り余る実績がありながら、ずっと現場でやってたいの一念で

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静かな男

先日、浮気絡みで夫と大喧嘩になってから、彼は一言も口を聞いてくれません。
再び話し合う場を作ろうとしてもだんまり、一緒にご飯ぐらい食べようと言っても無視を決め込まれます。勤め先からの電話にも出ようとしません。
多少怒らせた方が何か言ってくれるかと、
「最近暑いからかちょっと臭いよ?」
と冗談めかしても何の反応もありません。
隣に住んでる大家さんからは
「凄いにおいするけど何か腐らせたの?」
と訝ら

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