第一線で活躍する人材を育てる~ プラント部門独自の人材育成制度とは~
マイスターエンジニアリンググループでは、社員の成長と活躍を支援するため、継続的な人材育成に力を注いでいます。
グループ全体での取り組みに加え、プラント領域を担うテクノ・スタッフ社と東日本エンジニアリング社では、2社合同で行う2ヶ月間の新入社員研修を実施しています。さらに、テクノ・スタッフでは、新入社員研修後にOJTと座学を組み合わせたフィールド&フォーラム型の長期研修プログラムも開始されました。
今回は、マイスターエンジニアリンググループのプラントカンパニー事業企画担当としてこれらの育成プログラムの立ち上げを主導したYさんに、取り組みの背景や狙いについてお話を伺いました。
未経験からでも挑戦しやすい環境づくりを目指して
―—まずはYさんのこれまでのキャリアについてご紹介をお願いいたします。
私は新卒で大手エネルギー会社に入社し、製油所の計装機器やDCS(分散制御システム)を扱うエンジニアとしてキャリアをスタートさせました。日常のメンテナンス計画や定期修理工事の計画担当として知識を蓄えた後は、DCSの改造などの設計業務を担当。その後、2社目のIT系コンサルティングファームでは約4年間、プラントのメンテナンスやエンジニアリング支援に向けたITシステムやデジタル施策の立案と導入を行いました。
「自社のプラントに直接関わりたい」という思いからMEに入社しまして、現在は、グループ会社である東日本エンジニアリング、テクノ・スタッフと協力しながら、当グループにおけるプラント領域の事業拡大に取り組んでいます。
―—プラント領域の事業拡大に向けた取り組みの一環として、人材育成に力を入れようと考えた理由は何でしょうか。
プラントエンジニアは経験者が少ないニッチな領域です。また、この業界で活躍中の方は、一つの会社で働き続けるケースが多く、転職市場においても非常に貴重な人材なんです。そのためプラント領域では慢性的な人材不足が続いている状況にあります。
一方で、未経験からプラントエンジニアの仕事に挑戦したいと考える方は多くいらっしゃいます。そんな未経験者の方々の多くは「自分に専門的な仕事が務まるのだろうか?」という不安を抱えているんです。
そこで、未経験の方でも安心してご入社していただき、一人前のエンジニアとして活躍できるスキルをスムーズに身につけていただけるよう、グループ全体の研修制度に加えて新たにプラントエンジニアに特化した人材育成プログラムづくりに着手しました。
基礎から専門知識まで、段階的に学べる「オンボーディング」
―—Yさんが立ち上げに携わった新たな研修プログラムはどのようなものなのでしょうか。
今回立ち上げたテクノ・スタッフ、東日本エンジニアリングを対象とする新入社員向けの研修プログラムには、大きく分けて2つの柱があります。一つ目は、新入社員が幅広く基本的な知識を身につけるための基礎知識研修で、私たちはこの研修を「オンボーディング」と呼んでいます。もう一つの柱が「フィールド&フォーラム」と呼ばれるものです。こちらはOJTと座学を組み合わたカリキュラムによって、検査・診断業務に関する知識をより深めていく研修で、テクノ・スタッフ社から先行して立ち上げを行いました。
―—オンボーディング研修の具体的な流れを教えてください。
オンボーディング研修では、まずマイスターエンジニアリンググループ全体の新入社員とともに、汎用的なPCスキルやマナーや指示の受け方などヒューマンスキルを学びます。
その後、プラントに特化した研修に入っていきますが、最初はプラント業界の特徴や、日本の産業における位置づけなど、業界全体の概要を学びます。これには、社員の皆さんに「人々の生活を支える重要な役割を担っているんだ」と実感していただく狙いがあるんです。何か困難にぶつかった時にも、この原点に立ち返れば、自身が携わる仕事の価値を再確認できる。そんな糧にもなれば、という思いがあります。
業界について理解を深めた後は、プラントを構成するさまざまな設備について学んでいきます。例えば、計装機器であれば、それぞれの機器の基本的な機構や動作原理に関する知識を身に付けていく感じですね。そして最後に、より実践に近い製図や関連する法令、安全教育を行ってオンボーディングは終了となります。
―—業界の全体像から個別の専門知識まで、段階を踏んで理解を深められる設計になっていますね。
そうですね。設計のプロである先輩社員から図面の描き方を学んで実際に製図を経験する授業や、技術センターにある実機とその図面を照らし合わせる授業など、体験的に学ぶ機会を数多く用意しているのもオンボーディングの特徴です。実際の現場の空気を体感していただくことで、知識の定着を図っています。
―—オンボーディングのカリキュラムづくりで重視したことは?
カリキュラム設計では、「研修を受けた社員が配属後に関係者と円滑にコミュニケーションを取れるようになる」というゴールを意識しました。というのも、プラントエンジニア業務の大半を占めるのは、プラントオーナーや設備関係者とのコミュニケーションなんです。そのため、ステークホルダーの発言内容を正しく理解できるだけで、仕事の進めやすさは格段に向上します。
自身が携わる機器だけではなく、プラント内のさまざまな機器に関する基礎知識を広く身につければ、現場関係者との間に共通言語ができます。それにより、スムーズに業務を進められるようになると、仕事を覚えるスピードも上がります。このように、社員の成長を促す基礎を固めるのがこの研修の大きな目的です。
グループ各社の協力を得ながらつくりあげた研修
―—新しい研修プログラムの作成にあたっては、きっと苦労も多かったのではないかと想像します。企画をどのように形にしていったのでしょうか。
座学部分のカリキュラムについては、まず必要な内容を検討し、目次を作成することから着手しました。グループ会社の強みである静機器にフォーカスしつつ、回転機、計装機器、電気、関連する法令についても網羅的に学べるものにしたかったので、各社に協力をいただきながら教材づくりに必要な資料を集めていきました。資料だけでは情報が不足している部分については、必要に応じて私たちのほうで情報を補足するなどしましたね。
並行して、各社のスペシャリストに研修の講師を依頼し、内容についてフィードバックをもらいながらプログラムの内容を磨き上げていきました。苦労は多かったですが、各社で力を合わせてなんとか形にできました。
―—新たな研修プログラムの開始に伴い、千葉県佐倉市にあるMEグループの技術センターには模擬プラントが新設されました。このことからも、取り組みへの本気度が伺えます。
ありがとうございます。模擬プラントは、MEグループのとだか建設やテクノ・スタッフと打ち合わせを重ねながら建設を進めたものです。
施設内には、廃止されたプラントで実際に使用されていた機器を設置しています。まだ簡易的で小さな施設ではありますが、より実践的な学びが得られる環境が整っているかと思います。
オンボーディング研修で得た手応えを胸に、次なるステップへ
―— オンボーディング研修の1期目が終了しましたが、現時点で感じている手応えはありますか?
正直なところ、最初はこのプログラムが社員の成長をサポートできるものになっているのかどうか不安がありました。しかし、研修が進むにつれて、参加者の知識が確実に定着していることを実感しています。
研修を受けた社員の方々からは、徐々に専門的な質問が上がるようになりましたし、言葉の端々から学んだ知識同士がつながって体系化されている様子が感じられます。図面を描く実習では、私でも描けないのではないかと思えるほど高いレベルの図面を描けるようになる社員もいて、とても驚きましたね。
このように、プログラムの成果が目に見える形で現れ始めているのを実感しています。
―—オンボーディング研修の後は、テクノ・スタッフの社員を対象としたフィールド&フォーラム型の研修が待っています。この研修を実施する狙いについて教えてください。
テクノ・スタッフの設備診断業務は、非常に高度な判断が求められる仕事です。そのため、新人の方がより早期のタイミングで自身の知識量と技術に自信を持てるようになるよう、育成プロセスの最適化が必要だと考えました。
テクノ・スタッフには、すでに豊富な知識や教育資料、自社でのOJTの仕組みとノウハウが存在していました。私たちは、そうした既存の仕組みを最大限に活かしつつ、技術やノウハウを形式知化することで、人材育成と業務の質の安定化の両立を図っています。
現場での実践的な学びを言語化し、座学で体系的な知識として整理する。そしてそこで得た知識を再び現場に持ち帰るというサイクルを回していける状態をつくっていきたいですね。
グループの叡智を結集し、業界全体の力を底上げする
―—Yさんは、グループ全体で人材育成に取り組むことの意義をどのように捉えていますか。
特に幅広い知識が問われるプラントの領域において、グループ各社が独自の教育プログラムを展開しようとした時、教えられることには限りがあると感じています。しかし、グループ全体で人材育成に取り組めば、互いの強みを持ち寄り、弱点を補完し合うことができます。
私たちは今回、プラントに関する基礎的な知識を幅広く教えることを心がけてカリキュラムを作成しました。しかし、グループ企業の経営層からは、各社が専門としていない領域の教育内容について「結構難しいことを教えていますね」という感想をいただくこともあったんです。これは、同じプラント業界にいても、ある企業では「当たり前」の知識として理解していることが、違った視点から見ると実はそうではないということを意味しています。こういった反応からも、改めてグループ一丸となって社員の能力開発に取り組む重要性を確認できました。
―—スケールメリットを活かした社員教育を継続することで、業界全体のレベルアップにも貢献できそうですね。最後に、MEのプラント領域の仕事に興味をお持ちの方へメッセージをお願いいたします!
プラント部門では、高度な技術とデジタル力を掛け合わせながら、業務の効率化を図っています。
「高度な技術」と聞くと、とっつきにくさを感じたり、入社後の業務についていけるかどうか不安を抱いたりする方もいらっしゃるかもしれません。一方で、未経験からプラント領域の仕事にチャレンジしたいという熱意のある方も少なくありません。我々は、そのような意欲ある方々にぜひご入社いただき、活躍していただきたいと考えています。
MEグループでは、今回お話しした研修をはじめ、未経験からでもエンジニアとしての価値を高めていけるようなサポート環境を整えております。ご興味のある方は、仲間に加わっていただき、一緒にこの業界をもっと盛り上げていけたら嬉しいです。