奈良の新しい側面と、はじめての十津川村
奥大和、そこは一言で奈良と包含することをも憚られる、優雅な自然の広がる場所だった
奈良といえば?と問われたら、私は鹿とか大仏とかプリンとか答えると思う
あるいは、少し格好つけて唐招提寺とか春日大社とか答えるかもしれない
私にとって奈良とは、そういう場所だった
だけど、橿原を超えたあたりからガラッと変わるその景色に、私は度肝を抜かれた
もちろん、観光地から離れると、住宅街や自然が目立つのは容易に想像できる
私は兵庫県出身だけれども、同じ神戸でも海沿いと北神戸ではまるで風景が違う
だけど今回、十津川村に行って想像を超えた体験を数多くしてきた
ここでは、中でも特に印象的だったことを2つ取り上げたい
まず1つ目は、私は十津川での2日間、常に目を輝かせていたことである
つまり、自分でも驚くほどに十津川という未知の世界を楽しんでいた
これは、今回のプログラムを企画したMYSHの2人が天才的とも言えるし、十津川村にはたくさんの魅力があるとも言える
近畿地方にありながら、まるで人の手が加わっていないかのような雄大な自然、さらにそれら自然を活かした橋や絶景、アクティビティは、私の心を童心に帰らせた
雲のかかった山々は、まるで私たちが異世界にいるような感覚を呼び起こし、日本一の長さだという吊り橋の歩くとゆらゆらと揺れる感覚は、刺激に飢える日常から私を解放して、走り出したくさえなった
空中の村では、かつて母の実家に帰ったときに、怪我も恐れず大自然の中を駆け回っていた頃を思い起こさせた
自然と、頭で何か考えるよりも先に、全身でこの世界を楽しんでいた
2つ目は地域の人々であった
地方の村の中には、閉鎖的なコミュニティもたくさんある
私もこれまで、他所者を受け付けない雰囲気に幾度か距離を置いた場所もある
だけど、十津川村は違った
村に着いた瞬間から水車のBGMを背に、終始和やかな雰囲気で村の説明をしてくださった
私がチェーンソーで木を切ってみたいと言うと、素人の私でもわかるほど丁寧に安全面について教えてくださった
めはり寿司体験でお世話になった松田さん夫妻は、笑みが溢れるほどの仲の良さが垣間見られ、終始和やかな時間を過ごした
途中で立ち寄ったカフェlaboでは、角田さんの旦那さんが幼少期にカナダでよく作ってもらっていたデザートがメニューにあった
また、さまざまな背景があるとはいえ、十津川の中で事業を営んでいる外国人移住者と2人も出会えたことに驚いた
それだけ、外からの移住であったり、来訪に寛容な場所なんだと実感した
今、地方の話題になると、人口減少だとか、高齢化だとか、ネガティブな側面ばかりがフォーカスされてしまうというのはよくあることだと思う
だけど、そんなネガティブな感情さえも忘れてしまうような、不思議な感覚をおぼえたこの場所に、私はこれからも、なんらかの形で関わっていけたらと思う