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「自分のまち」を見つけた3日間、あたたかいまち南相馬で過ごした大学生の体験記|#訪問体験記

みなさん初めまして!大学3年生のめりです。
普段は茨城県つくば市在住、筑波大学で障害科学を学んでいます。
 
このプログラムで初めて南相馬を訪れた私。
南相馬という場所は私にとって全く新しい土地で、親戚がいるわけでも、大学の専攻に関係があるわけでもありません。
そんな私が今回体験プログラムに参加したきっかけは、今回で南相馬を訪れるのは3回目という友人あいりさん(あいりさんのnote記事もあるのでぜひ!!)の紹介でした。

あいりさんのnote記事はこちら↓


「自分のまち以外の暮らしをよく見てみたい」

生まれも育ちもつくば市である私にとって、最初は単純な好奇心からのプログラム参加でしたが、帰る頃には「あいりさんにつないでもらった南相馬というまちを、次は私が誰かに紹介したい」と思う、そんな素敵な3日間でした。

今回は3日という短期間でしたが、そんな中でも愛着が湧くほど魅力的な南相馬というまちについて、そして私が3日間を通して導き出した「まちづくりとはなにか」の答えについてお話させてください。

地方暮らし体験プログラムで出会った仲間たち

あたたかいまち、南相馬

「南相馬市はどんなところか」と聞かれたら、まず「人があたたかいまち」と言いたくなるほど、私が3日間で関わった人はあたたかい人だらけでした

人が通りすがりに挨拶を交わす姿、
乗馬など貴重な体験を「せっかく来てくれたから」と快くさせてくれる人たちや交流会で各々の熱い思いを語ってくれた人たち、
丁寧に気持ちを込めて作られた野菜たち…

特に乗馬体験では、南相馬で毎年行われる伝統行事「馬追」で使われる甲冑を実際に着せていただきました。
この甲冑は行事で実際に使用するため各家庭が大切にしているものです。
着る作業も大変なのに、皆さん総出で着せていただいた上に
「痛くないか」「堂々と乗りなさい」と気遣っていただいて、
「今であったばかりの私たちをこんなに受け入れて良くしてくださる人が南相馬にはいる」と感動したことを、数日経った今でも思い出します。

また、体験プログラムや交流会で集まった仲間の雰囲気も明るく、皆それぞれ高い志で南相馬でチャレンジをしようとしている姿に刺激を受けました。MYSHの方々も非常にあたたかく、優しく私たちのサポートをしてくださり、貴重な体験をすることができました。

次に私が南相馬を訪れるとしたら、その理由の1つは確実に「今回のプログラムで出会った人たちに会いに行くこと」です。

人が人を呼んでつながっていく、そんなあたたかいまちでした

乗馬体験をする私(左)と甲冑を着た私(右)

「復興」とはなにか、東日本大震災について考える

南相馬というまちは人のあたたかさを感じるまちである一方で、人の心の難しさを感じるまちでもありました。

忘れもしない東日本大震災。福島で起きた原発事故。

南相馬市にはそんな事故を目の当たりにした人がいて、私もプログラム中に実際に一度は避難区域になった場所やそこに住む人々に出会いました。

1日目に訪れた「おれたちの伝承館」。
ここは原発事故や震災に関する展示をしている施設で、そこでみた一言が忘れられません。

「花は咲くなんて嘘だ。花なんて咲かないのに。思わせぶりな歌なんて歌わないで。」

私が外から見ていた「復興」は震災を乗り越えようとするパワーや前向きな力ばかりで、まちの施設や景観としての復興以上に、「人の心の復興」は難しい問題なのだとはっとさせられた文章でした。

おれたちの伝承館(南相馬市小高区)

さらに、震災で失われたものは二度と戻らないものも多く、南相馬の新しい建物や挑戦を応援しつつも、二度と戻らない元々の姿を恋しく思う人が多い現状も知りました。

動物や自然に囲まれた土地で民宿を開いているいちばん星のオーナーは、
「まちが変わっていってしまう中でもこの里山を守りたい。南相馬の自然を残したい。」
と話してくださいました。

人の数だけまちへの思いもある。
まちづくりとは単純に住みやすい環境を整えることではなく、人の気持ちに共感しながら、思いに寄り添った居場所にしていくことであると気づかされました。


いちばん星のアルパカと

まちづくりとは「自分のまち」づくりである

「まちづくりって何だろう?」

3日間を通して私が出した答えは、まちのことを自分事として考える、南相馬が「誰かのまち」「知らないまち」ではなく「自分のまち」として捉えてくれる仲間の輪を広げていくことがまちづくりなのではないかということです。
 
まち歩きをしていて印象的だったのは、
「遠くから興味を持ってきてくれてうれしい。意外と地元の人ほどまちの魅力やまちづくり事業の内容を知らないのかもね。」
という地元の人の言葉でした。

「小高区(南相馬市内の区)は起業家のまちと言われるけど、それは一般的に2%しかいない起業家が小高には5%いるという程度のもの。
残りの95%に関心を持ってもらうことが難しい。チャレンジしたい人がいることと同じくらい、チャレンジできる環境も大事。
このような言葉も聞きました。
 
考えてみると、私自身も茨城県や地元つくば市で行われているまちづくり事業や、地元の魅力を説明できるほど地元について詳しくないかもしれません。

これではまちの活性化は「誰かが頑張ってくれる他人事」になっていて、本当の意味で「自分のまち」として考えられていないのかもしれない。
いかに自分事にして動けるか、自分事にしてくれる仲間を集められるかがまちづくりの鍵なのだと気づかされました。

逆に、今回プログラムに誘ってくれたあいりさんは3回目の南相馬訪問で、長いときは1ヶ月南相馬で暮らした経験のある友人でした。
彼女は「今すぐ南相馬に移住はできなくても、選択肢の一つとして考え続けたいし、南相馬は魅力がたくさんあるまちなので何らかの形で遠くからでも関わり続けたい」と話してくれました。

彼女のように南相馬市に対して強い思いやチャレンジの心を持ち、離れていてもつながり続ける姿勢や愛着がある人は、移住していなくても南相馬が「自分のまち」になっていると言えるのではないか。そう考えさせられました。

友人あいりさんとのまちあるき

これらをまとめたとき、よりみちがまちづくりとして地方移住の「相談」から始めている理由は、
いきなり移住・定住という大きなステップを踏まなくても、まずは思いの共有・共感から初めて南相馬市と相談者の「ハブ」になること
そして、よりみちや南相馬には「確かに同じ思いの人がいる」ことで、離れた場所からも南相馬に思いをはせるきっかけになり、それが後に定住にもつながる可能性を広げるというところにあるのではないかという結論が私の中で導きだされました。

これを読んでいるみなさんが、まずは南相馬に興味を持っていただいて、相談したり、訪れたり。
あるいは自分のスキルを南相馬に持ち帰ったり、南相馬ではない場所でも同じ思いの人たちで集まって思いをはせたり…

そんな小さな行動がつながって大きなまちづくりになる、そのきっかけになるような文章になっていればと思います。
また、私自身まだまだまちづくりや南相馬に対して考えを深めるために、また「よりみち」しに行けたらなと思っています。

ここまでお読みいただいたみなさん、ありがとうございました。
ぜひ、みなさんも南相馬市を「自分のまち」にしてみませんか?

📒この記事を書いた人
筑波大学人間学群障害科学類3年/宗田 芽莉

めりさん、素敵な記事をありがとうございました😊
是非、南相馬を「自分のまち」として捉えてくれる仲間を連れて、
また、気軽に帰ってきてくださいね~🙌

マガジン「福島県南相馬|中のひと、外のひと」では、みなみそうま移住相談窓口よりみち移住コンシェルジュ8名(中の人)と南相馬を訪問した人たち(外の人)とが、それぞれの視点で南相馬での生活や体験を切り取っていきます✍️

📣 よりみちメンバーの日常はInstagramにて

中の人の暮らしを紹介しています。
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