
ヤムーの大冒険 第1章 第23話 リッキーたちとの旅立ち〜14日目〜
ヤムーとラリーはナターシャからそれはそれは素敵な剣と腰巻きを頂きました。
「リッキーさん、ナターシャさんありがとうございます!大事に使わせて頂きます!」
ふたりは顔を見合わせて喜んだ。
男たちは素早く旅支度を済ませた。
リッキー、マット、ディッチ、クリス、ナッツと
ヤムー、ラリーの7人は残されたイタチ達に別れを告げ穴ぐらを後にした。
「ヤムー君、君たちのベースまではどれくらいだい?」
「はい、私の足で5時間くらいです。」
「分かった、案内を宜しく頼むよ!」
「夜明け前までには着けると思います。」
ヤムーはとにかく川沿いに沿ってお地蔵ベースへの道を急いだ。
春の夜はまだまだ寒く、小走りに歩く汗ばんだ7人には丁度良い気候だった。
リッキーとマットは立派な大人、ディッチは若造、クリスとナッツはまだあどけなさも残る少年だった。
「ヤムー、タッチお坊ちゃんを傷つけたジャック何とかって何もんなんだい?」
ディッチが半分キレ気味に言いました。
「馬鹿でっかいカラスです。私も見た時は、その大きさに自分の目を疑いました!目つきも鋭いですし、羽根も傷だらけです。相当戦ってきたんでしょうね。」
「へっ!ディッチ様がジャックのケツの穴にこの剣をググッとお見舞いしてやるよっ!はっはっはっ。」
「ヤムー君、さっきガブ何とか族って言っていたが、ボスはジャック・グロウなのかい?」
「いやっ、違います。化け猫ガブライズです!」
「化け猫?猫がボスなのかい?」
「はい、私も残念ながらまだ見る事が出来ていないのですが、百戦錬磨の猫でジャック・グロウも敵わないとは聞いています。」
「そりゃあ、恐ろしいねぇ。我々リッキー族はまだここに越してきて間もないんだよ。
あの穴ぐらもまだまだ未完成なんだよ。」
「いや〜素敵な穴ぐらですよ」
「ありがとう」
7人は満月の夜の下、淡々と先へ進んでいた。
ヤムーは力強いリッキー族達が仲間になってくれた事を心から感謝していた。
パギンスやリッキー族の参戦でガブライズ族との戦いにも一筋の光がさした気がしていた。
リッキー族の勢いもあり、3時間足らずでお地蔵キャンプにたどり着く事が出来た。
リッキーはタッチを見つけるなり、優しく頬を撫でた。ヤムーはうたた寝をしているチャッピーをそっと起こし、手短にリッキー族の紹介をした。
早速リッキーはクリスとナッツにタッチを穴ぐらへ運ばせた。
チャッピーの看病の甲斐もあったのか、タッチは父親リッキーに向け小さく笑顔をみせた。
「タッチ、無事で何よりだ!クリス、ナッツ!
タッチを頼むぞ!」
「はいっ!」っと歯切れの良い返事と共に、素早い動きでまた穴ぐらに向け暗がりに消えていった。
「気をつけてなっ!」ディッチも偉そうに言った。
「リッキーさん、まだ夜明けまで時間はあります。とりあえず今日はゆっくり休みましょう!」
「そうだな!少し仮眠をとるとしよう。」
5人は横になり、疲れた身体を休めた。
「明日私の仲間達にリッキーさん達を紹介します。おやすみなさい」