「2等席卒業宣言」2012年4月(パリ~レンヌ往復):「TGV(フランス高速鉄道)乗車記録」第1話
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見出し画像:レンヌ駅。
*本文中に、写真はありません。
*駅や列車の設備、システムなどは、ひんぱんに変更されます。
記述内容は、あくまでも乗車当時のものであることをご理解ください。
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まもなくレンヌ駅というアナウンスが流れると、私は通路側の男性に声をかけて立ちあがり、デッキに出た。
定刻より、約10分早い到着だ。
モン・サン=ミシェル行きのバスは、このTGVの到着時刻に合わせて出発するスケジュールになっている。
だから、あわてる必要はないのだが、急ぎたい理由があった。
列車がホームに入り、ドアが開くと、私はあらかじめぴったりの額を準備したバス代を握りしめて、駅構内を駆け足で出口に向かった。
出口を出ると右側に、バスターミナルの案内所がある。
案内所に入って、乗車券売り場へ行き、
「モン・サン=ミシェルまで、大人1枚ください」
といいながら、私は握りしめていたバス代を係員に手渡した。
係員は、おつりが必要ないことに満足したのか、にこやかに乗車券をくれた。
「いってらっしゃい。よい一日を!」
案内所を出て、モン・サン=ミシェル行きのバス乗り場まで行く。
一番乗りだ。
バスが来ると、私は乗車券を運転手に手渡して、運転席の真後ろの席に陣取った。
ここは、この1時間半後に、窓からモン・サン=ミシェルの姿が一番よく見える特等席なのである。
***
この日の朝早く、私はパリ・モンパルナス駅にいた。7時30分発のTGVに乗るためである。
レンヌ駅には、9時17分に到着する予定だ。
22年ぶりのパリ・モンパルナス駅。
22年ぶりのTGV。
モン・サン=ミシェルは、すでに一度訪れたことがあった。
この22年前に、フランス北西部の都市アンジェで語学研修を受けていたときのことである。
課外授業の一環で、クラスメートたちと一緒に貸切バスで行ったのだが途中で寝てしまい、気づいたときには目の前にモン・サン=ミシェルの姿があった。
そのモン・サン=ミシェルに、今度はひとりで行ってみたい。
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