「新旧ふたつの駅」2018年10月(パリ~リール往復):「TGV(フランス高速鉄道)乗車記録」第16話
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見出し画像:リール=フランドル駅構内。
*本文中に、写真はありません。
*駅や列車の設備、システムなどは、ひんぱんに変更されます。
記述内容は、あくまでも乗車当時のものであることをご理解ください。
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私は鉄道ファンではない。
鉄道に関する知識もない。
ごくたまに、首都圏の特急列車に乗る。
展望席がとれたときは、うれしくて仕方がない。
だが、ほかの高速列車とは、ほとんど無縁の人生だ。
私は日本の新幹線よりも、フランスのTGVの乗車回数のほうがずっと多い。
日本では、東海道新幹線と上越新幹線をほんの数回使ったことがあるだけだ。
しかも、新幹線にひとりで乗ったことは一度もない。
私はTGVが好きだが、フランスの駅も好きだ。
プロローグで書いた南フランスをまわった昔の旅行でも、駅の写真を何枚も撮っている。
昔はフィルムカメラを使っていたので、なんでもどんどん撮影できたわけではないから、当時から駅に興味があったのだろう。
いまは、はじめての駅でも、そうでなくても、駅を見たら反射的にカメラを向け、とくに気に入った駅はさまざまな角度やいろいろな距離から何枚も撮影している。
第18話で語る予定のトゥルーヴィル=ドーヴィル駅の写真は、そのなかでも一番数が多い。
夢中になって撮影していたら、それを見ていた地元の人たちに笑われたほどだ。
2018年に、フランス北部の都市リールへ行こうと思った理由はいくつかある。
そのひとつは、新旧ふたつの駅を体験したいということだった。
***
当初はこの年も、泊りがけで地方都市へ行くことを計画していた。
しかし、春から夏までフランス国鉄の大規模ストライキが行なわれる予定であることが、かなり早い段階から告知されていた。
私がフランスへ行く秋までには終わっていると思われたが、万一のこともあると考えて、この年はずっとパリに宿泊しようと決めた。
遠く離れた都市から戻ってこられないような事態になることは、絶対に避けたかったからだ。
それで、仮にストライキがつづいていても、直前にとりやめればよい日帰り旅行をすることにして、第15話で語ったナントと、この第16話で語るリールへ行くことにしたのである。
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