「(番外編1)タリス」2014年10月(パリ~ブリュッセル往復):「TGV(フランス高速鉄道)乗車記録」第6話
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見出し画像:パリ北駅の発車案内板。このタイプのものは、もう存在しない。
*本文中に、写真はありません。
*駅や列車の設備、システムなどは、ひんぱんに変更されます。
記述内容は、あくまでも乗車当時のものであることをご理解ください。
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パリ北駅は、悪名高き駅である。
物騒、危険、怖い、などのキーワードで語られることが多い。
安全な場所でないことは確かだ。
だが、程度の差こそあれ、それはパリのほかの国鉄駅にもいえる。
地方都市の主要駅でも、事情は同じだ。
ぼんやり歩いていていいような場所ではない。
つねに気を引きしめている必要がある。
パリ北駅は、規模がとても大きい。
それだけに人の行き来も多くなり、さまざまな思惑が入り乱れ、よからぬ雰囲気がつくりだされる。
しかし、大勢の人が行きかうこの駅はエネルギッシュだ。
いろいろな列車に乗って出発したり、到着する人びとの活気に満ちている。
この駅は、フランス北部へ行くTGVや近郊列車のほかに、複数の国際列車が発着する。
フランス、ベルギー、オランダ、ドイツを結ぶ高速列車のタリスや、イギリスの首都ロンドンとのあいだを走るユーロスターなどだ。
また、パリ~モスクワ間の便もあるようで、ロシア鉄道の列車を何度か見かけたことがある。
2014年に、私はタリスとユーロスターに乗った。
まずはこの第6話で、タリスの話をすることにしよう。
***
この年に、私は日帰りでベルギーの首都ブリュッセルへ行った。
ブリュッセルという町に、とくに思い入れがあったわけではない。
ただたんに、パリから日帰りで行くことのできるフランス語圏の都市だったからだ。
パリ滞在中の予定を組んでいるとき、私はある土曜日の19時30分からオペラ鑑賞をすることに決めて、すでにチケットを購入していた。
それで、次にこの日の昼間の行動を考えた。
どこか別の都市へ行って、オペラの時間までに帰ってくることはできないだろうか、と。
TGVに乗ることができて、いままで行ったことのない町がいい。
この条件に完全には当てはまらないが、これ以上によい条件を満たす場所があった。
それがブリュッセルだったのである。
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