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かがり火の中で君を想う
今年も盆灯篭が照らされる。
薄く張られた障子に照らされて、かがり火が灯る。
ぼんやりと薄暗い中で、ほのかにゆらゆらとそれは呼吸している。
僕はこの、あの世ともこの世ともつかないような、遠い昔の夏の日にまるで戻れたかのような、盆の時期が好きである。
今日もきっと、迎え日のあとに君がやってくる。
そう。いつもの決まったあの場所で。
「いつもと言ったって、庭の縁側じゃない」
きりりと吊り上がった、
episode4:大学一年の春
合格した女子大学に入学して早1ヵ月。
私は少し焦っていた。
思った以上に必修科目が多く、そこから専門科目、自分が取りたい講義を受講すると、毎日みっちり勉強のスケジュールとなり、寮と大学の往復、夜は課題をこなして早く寝る…という勉強漬けな日々が続いていた。
(他の寮生の子たちは、サークル活動もバイトも始めたり、彼氏の家に泊まりに行っていたり…。みんなすごくアクティブなんだよなぁ‥
寮と学校の往
episode3:涙の理由
前回の話↑
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夕食を食べ終えたあと、携帯のライトが点滅していた。
水月さんからメッセージが届いていた。
秋桜さん、初めまして。
メッセージありがとうございます。
まあ、涙が出てきたのですね。
最初は何となくこう感じる、というところからなんですよね。
これから何度か瞑想していくうちに、また涙の理由が分かる日が来るかもしれません。
最初の瞑想でそこまでシンクロできるなんて、素質があ
episode2:初めての過去世誘導瞑想
前回の話↑
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誘導瞑想というものを初めて行った。
優しい柔らかい女性の声に釣られて、自然と身体が弛緩してくる。
ある時、"ふわっ"と、身体が無重力になったかと思った瞬間に
そこからどんどん、どんどん、下へ下へと下降していくような
次第に自分という輪郭もぼやけて無くなっていくような、
あるのは"意識"だけ
そんな不思議な体感になった。
いよいよ、過去世を知る場面に誘導が進む。
✳
episode1:始まりの音
高校三年生だった。
大学受験が終わり、隣の県にある大学での寮生活が決まった。
特に大きな志もなかった私は
進学校と進学塾、周りの煽動と轟音に流されるようにして、深いことまでは考えられず
有名大学ばかり受験して、すべり止めの1校のみに合格した。
浪人する気概もなく、何の力も湧かなくなった私は、その大学へ進学することに決めた。
卒業式もなんとなく上の空のまま、
大好きだった部活の仲間と、部室と、