指す将順位戦8th A級3組第5回戦 vsあんパン
※この記事は指す順8thの振り返り・自戦記となっております。
先行するのは白か、黒か
4回戦を終わって2-2。中盤に差し掛かり、本局はいよいよ今後を占う一局に思えた。どの一局も大事ではあるが、初参加で順位の悪い自分が再び黒星先行になれば、即ち残留/降級争いに落ちることを意味する。しかも徐々に残局は少なくなり挽回・浮上のチャンスは減るのである。
お相手のあんパンさんも初参加。ゆえに参考にするものは少ない。
それでも事前準備・調査の結果、角交換四間を得意とされていることまでは分かったのだが、これを真っ向から迎撃するのか、それとも外すのか…をかなり検討した記憶はある。
が、本局は例のアレとなり準備したものは出されなかった。そんなんばっかり
VS「決定版」
![](https://assets.st-note.com/img/1737813969-eKWydHVgYO0QB8S5GqD16sPn.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1737814022-r1ePuvkRHGD59Y6x7zE3Synh.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1737818480-67hLQglxJ8fCza9B30ieDukq.png)
本譜は早々に4五の位を取られる第1図Aから、金銀を盛り上がり飛車を展開する第1図Bの形になった。
プロ将棋に知見のある方々ならご存知の方も多いだろう。あの羽生先生が繰り出して勝利し、以降プロ将棋に筋違い角が現れていないことから「筋違い角対策の決定版」とまで言わしめる通称「羽生流」の布陣である。
この布陣と構想は確かに有力だが、しかし指しこなすのは難しいのである。
玉が薄いことに加え左右分裂形であることで穴が空いたら終わるため、少々模様が良くなったとしても維持するのが難しいのだ。
そして何より、有名な対策に一定のアンサーを用意できないようでは"こういう"戦法は使っていけないのだ。
イタズラで揺さぶる
イタズラといっても盤外戦術のことではない(当たり前だ
こういう手のことをイタズラと呼んでいる。
![](https://assets.st-note.com/img/1737815434-07QVj6nBPiNocJwzXqGS9bO5.png)
こちらも自慢できる玉の堅さではないが、相手は金銀が散々上擦った居玉である。できれば早々にドンパチがしたいのだが、一方で陣形に穴が空くと角の打ち込みを始めとしてポイントを挙げられやすい。
そこでこういう角ののぞきだ。手損はあまり気にならない将棋だと判断し、こちらの陣形を崩さぬ手として角をウロチョロとイタズラさせる。
相手も黙って8三角成を食らうわけにはいかず、以下△6五歩▲同歩△5五銀▲7八角△5四金と進行し第3図となった。
![](https://assets.st-note.com/img/1737815778-QHkc68ysVURzIdl4aqFWbeCh.png)
第2図の直前~第3図までは後手の選択の幅が広く難しい局面だったらしい。例えば少し前の△5五銀に代えて4四や5五に角を据える手なども考えてみたいところだ。とはいえ角を追う銀出も自然ではある。
しかし第3図の△5四金が無理な張り出しだったようだ。一見して6五の浮いた歩を狙って調子が良いようだが、金銀がバラバラになる罪の方が重かったらしく、▲5六歩~▲6六銀として先手は争点を作ることに成功した。
△5四金に代えて感想戦やAI分析では△6二飛や△5四歩が挙がったが、これらの手の意味も難しく、既にこのあたりは後手の負荷が高い展開だったとも言えるかもしれない。
必殺
第4図A。通常ならこの△2四角も油断ならない手に見えるが、技があった。
![](https://assets.st-note.com/img/1737816591-IabdfHD7KihXEYSmAjp1uGso.png)
前項の金銀のバランスの悪さをここで一気に突くことが出来る。
▲8四歩と合わせ、△同歩に▲5五歩で第4図B。
![](https://assets.st-note.com/img/1737816753-FQ72dkliSVujgXEUf04WD1M8.png)
金取り。黙って取られるわけにはいかないが、同銀も同金も総交換して飛車を走れば3四の銀にも当たる仕組みで、技が掛かった。
代えて△2四角ではまだしも△4三銀と引いて備えるべきだったようで、▲5五歩から居玉を攻めて先手が少し有利な展開は動かないものの、一応9五銀で飛角両取りの反撃などがあるため実戦的には大変ではないかと思う。
第4図以降、後手がなんとか中央から食い下がろうとしてきたが、距離感を見誤らずに決め切ることができた。
(※なお本局は事情により、下図を終局図とする)
![](https://assets.st-note.com/img/1737817395-zYxIW5pTrJdgwXm0bi8Nuo7v.png)
あんパンさん、対局ありがとうございました!
誘い
かくして白星を先行させることができた。
順位が良くないので油断は全くできず、どれだけ貯金を増やせるかしか考えていなかったと思う。次指し分け以下になったらもう降級がチラつくので、もう1つ貯金がある状態でなければ安心などできようはずもないのだ。などというのは今期ですらなくなり終わり果てた今言っても無為である。
その次の貯金への番人はみやもさん。また初参加勢同士の対戦だ。前期も今期も来期も一緒だよ❤情報が依然少ない相手だが、しっかり対策して臨みたい。
さて、本見出しの「誘い」には2つの意味を込めた。
1つ目は本局は夏、誘い多き季節だったということだ。自分はこの時たしか好きなコンテンツとコラボしたTCGが出たのでそっちにもパワーを割いていた時期だ。見事に誘いにやられておったわ。
5局、6局目あたりはちょうど局数的には中だるみも危惧されるところかと思うので(お前だけだ)、今一度張り詰め直すべきタイミングかと思う。
2つ目だが……どうだろう。
本局を見て、先手の戦法悪くないなとか思わないだろうか。
……その、やってみたいとかは?
決定版の対策にだって簡単には負けないのだ。序盤で歩も貰える。
さあ、
![](https://assets.st-note.com/img/1737818256-2bIjxM7i4CzfV8FvWmJrDYQl.png?width=1200)