何も言わずに先まわり
久しぶりに会った先輩に、日々を上手く生きていく心得のような言葉を教えてもらいました。
先輩に会うのは一年ぶり。私の結婚式以来だった。その時はお酒を注ぎあったり、余興で一緒に歌ったり踊ったり。会場ではマスクをしている人は一人もいない。それが普通だった。
「まさかこんな今が来るなんて。」
「日々のニュースで気力を奪われないようにしようね。」
と声を合わせた。
今日はランチも中止し、お家で過ごすことに決めた。
先輩も私もこの一年、コロナの変化以外の暮らしにも、たくさん変化があった。今だからからっと笑って話せる。でも当時は、、
一年の間に自分たちにあったこと、起こったことを一通り話した後、先輩がこう言った。
「何も言わずに先まわり」
「友達が教えてくれたの。何も言わずに先まわりして自分で仕込んだらいいって。」
「例えばお墓の掃除。どこを誰がって親戚とお話がでることがあるでしょ。その前に自分でやっちゃう。あとはお歳暮を贈る時に姉妹の名前も一緒に連名にしたりね。」
「いいなと思うことは先まわりしていい方向に進んでいくように自分で仕込んでおく。」
「ポイントはちゃっちゃとやることね。自分の負担になるとそれはまた違うから。」
結婚生活一年生の私は夫と意思や行動を共有することを意識し過ぎていた。ここ最近はお互いの違うところを主張し合って喧嘩になることも多々。
そんなことを思い悩んでいた私にとっては目からうろこの言葉だった。
「言わなくてもいいんですね!」
「伝えなくちゃ」に縛られていたんだな。と気がついた瞬間。
ふっと肩の力が抜けたような、一つ苦しかったものを手放せたような感覚になった。
「私も意識してみるからあなたも意識してみて」
「先まわりしたことを誰にも言わなくてもお天道様は見てる。きっといい方向に進んでいくよ」
この心得を意識してこれからどう進んでいくか楽しみになった。
私のいつもの日常で、どこに何も言わずに先まわりを取り入れよう。
家に帰りながら考えを巡らせた。
「そうだ。」
私より先に寝る夫が寒くないように寝室の暖房のスイッチをこっそり入れ、湯たんぽをお布団の中に仕込んだ。