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資料整備委員会だより①(2013.1)

学校法人明星学園発行の『明星学園報』に、資料整備委員会が連載している「資料整備委員会だより・みちくさ」を転載します。

第1回‥‥2013年1月発行分、明星学園報No.100に掲載

■学園史資料のいま
 今年(2013年)明星学園は創立から88年、人間で言えば米寿のお祝いを迎えたところです。
 昔、明星に通った子どもたちは「明星学園ボロ学校、入ってみたらいい学校」と歌ったそうです。その歌のとおり、創立以来お金の心配をいつも抱えた学校でしたが、草創期の先生方の教育への志は高く、それを信頼する人たちから強く支持されました。多くのリベラルな文化人が子どもを明星に通わせましたし、教育界で注目される教師が大勢いました。
 大正自由教育(新教育)運動の中で創設され、子ども中心の自由教育を目指した学校の多くが、いまも創立の理念を大切にした教育内容によって存在感を示しています。明星学園もその中のひとつです。
 大正自由教育の研究では欠くことのできない存在である明星学園ですが、近隣のいくつかの学校では立派な資料館に創立以来の資料をずらりと展示しているのに対して、明星学園には資料展示室もなく、子どもたちの目にふれる場所には創立者の写真も飾られていません。近年は創立記念日などの折に、創立同人の先生方や草創期の明星についてのお話が校長先生を通じて伝えられるようになりましたが、子どもたちや関係する多くの大人にとって、まだまだ明星の歴史は遠い存在なのではないでしょうか。


《写真は左から創立者の赤井米吉先生、照井げん先生、照井猪一郎先生》

創立同人


 明星学園の歴史的な資料は倉庫に保管されており、多くの方に公開できる状態にはなっていないのが現状です。数年前から学園内でこれらの資料を整理・分類し、さまざまな形で活用可能にする必要性が論じられるようになり、2009年4月に「資料整備委員会」がスタートしました。1名の専任スタッフを置き資料の整理を行いながら、新たな資料の蒐集にあたっています。また2014年5月に迎える創立90周年に向けて、明星学園90年史の編纂にも取り組んでいます。

■お母さんたちの協力
 長年かけて集められた創立以来の資料群、これらの分類と保管にはかなりの労力を要します。目標と決めた90周年まではあとわずか。時間も人手も足りないため90年史に使えるように整備が進むのか危ぶまれましたが、ここで協力を申し出てくれたのが現保護者の方々と数名の卒業生でした。このお母さんがたはボランティアスタッフとして、月に1~4回ほど、手弁当でお手伝いに来てくださいます。そんな“お母さん力”のおかげで、資料の全体像がようやく見えてきました。
 資料整備委員会が立ち上がったと言っても、実際の作業は保護者や卒業生の協力があってこそ進められています。保護者と卒業生の力は、創立間もない時期から明星を支えてきた大きな柱でしたが、それは現在でもまったく同じだと感じます。
 現在の作業の進め方は、在校生保護者の方々には主に授業のある平日の昼間、小学校の空き教室を使って資料のインデックス作りをお願いしています。小学生のお母さんは、お子さんが授業を受けている間に資料整備を手伝って下校時間が来ると一緒に帰るという方が多いのですが、高校生の親御さんともなると授業時間には拘らないようです。子どもの学年はさまざまですが、和気あいあいと作業を進めています。
 卒業生ボランティアの方々には学期中だけでなく、夏休みや春休みの期間中にもおいでいただいて、ぼう大な資料を細かく読み込んで種類や年代を確認・分類してもらっています。たいへん根気と時間のいる作業です。卒業生ボランティアのすごいところは、わからない資料があると友達や先輩・後輩、兄弟姉妹、先生にまで問い合わせてくれることです。明星の人脈を駆使して資料の整理を進めてくれる力強いメンバーです。
 このお母さん方からは整理や保管についてのアイデアもいろいろ出されて、次に紹介する「資料展」が実現したのも作業の合間に浮かんだアイデアが元でした。夏の終り頃からは資料展実施のために連日学校に通い、直前まで準備を進めてくださいました。
(※たまたま現在は女性ばかりですが、ボランティアは性別不問です。年齢や性別にかかわらずどなたでも歓迎です。)

■初めての学園史資料展
 2012年10月8日に開かれたバザーでは、PTAのご協力のもと「学園史資料展」を開きました。初めての開催となる今回は、創立から30年間を中心に、設立趣意書や学園で発行した『明星の教育』『ほしかげ』『星雲時代』などの冊子類、創立者の著書、校章、学校生活の様子や当時の井の頭風景の写真なども多数展示しました。傷みの激しい古い印刷物は原本の展示のみでなく、実際に手にとって読んでいただくための複製本を用意しました。

バザー展示1


 卒業生でもあり、長年小学校低学年の担任を務めた大野映子先生(33回生)もボランティアメンバーの一人です。大野先生には1924(大正13)年~1954(昭和29)年の年表を制作していただきました。模造紙3枚分に書き出された明星学園30年間の出来事をたくさんの方に読んでいただきました。
 それにしても30年間で模造紙3枚ということは90年分だと9枚! 黒板全面を使っても貼る場所が足りないことが今から心配の種です。読むのにも相当な時間が掛かるでしょう。
 今回の展示物については、来場者や準備を手伝ってくださった方から「今日一日だけの展示ではもったいない! 読みきれない! 常設してほしい!」という声が多く寄せられました。常設できる日が早く来るよう祈りつつ、今回は「明星学園にも実はこんなにたくさんの貴重な資料があるのですよ」ということを知っていただけたことが良かったと思います。また来年のバザーでの学園史資料展をお楽しみに。

バザー展示2

■資料の紹介(予告)
 次回からの学園報・資料整備委員会だよりでは、たくさんの資料の中からいくつかを選び、順に誌面にて紹介したいと思います。明星学園がどうして誕生して、どんな道のりを歩んできた学校なのか、あらためて知っていただく材料になれば嬉しく思います。


(資料整備委員会・大草 美紀)

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