あてのない旅⑤台湾
人生初の台湾旅行なのにも関わらず、
居心地の良さから台東の街に長く滞在してしまった。
さすがにと、ついに台東を離れることにした。
向かうは『千と千尋の神隠し』のモデルとも噂される九份。
早朝、宿の主人に別れを告げ台東駅まで向かう。
空は曇り。少し肌寒い。
スムーズに列車に乗り込みここまでの旅の疲れと寒さから泥のように眠った。
1.九份
九份にほど近い駅『瑞芳駅』に到着。ここからはバスに乗り換えて九份へ向かう。
九份はかつての金の採掘場であったため山間部に位置する。
そのためバスは約20分ゆるやかな傾斜を上りながら九份へ向かう。
バス車内は鮨詰め状態で、台湾人だけでなく外国人の姿も見え、九份の街の賑わいが想像できた。
九份は町全体が鰻の寝床のように奥まで続いている。
通路が狭いため、場所によっては人とすれ違うのも難しい。
通路に面して露店が乱立しており、その一店一店から嗅いだことのないような、しかし食欲を唆るいい香りがする。
いくつも枝分かれする通路。その通路の長さや複雑さから金採掘時代の街の勢いを感じた。
2.台北
ようやく台北の街に帰ってきた。
台北ではいわゆる『観光地』を一通り周ることにした。
・猫空ロープウェイ
・士林観光夜市
・故宮博物館
それぞれ見応えがあり、素晴らしい場所だったのだが、
僕が台北で殊更感じたのは台湾の人のエネルギーや逞しさだった。
複雑に絡み合う道路を走り抜けるタクシーやバス。
雑踏をかき分けるように進む人やバイクの群れ。
人間は比べることでしか自身を知ることができない、というような話はよく聞くが、
やはり台湾は日本よりも人々のエネルギーを感じる。
台湾初日にテレビで見た若者のデモや、台東で感じた強烈な人の温かさ。
そして台北の街の熱狂。
この違いは一体どこから生まれてきているのだろう。
思うに、特に夜市というシステム?は台湾という国にとって大切な
人のエネルギーを生み出す資源になっているような気がする。
客と店という単純でドライな構図ではなく、そこにはコミュニケーションが流れ、
共生感とも言うべきか。繋がりを感じる。
この繋がりが世代を越えて台湾という国を形作っているような、そんな気がした。
台湾の人からすると見当違いに思えるかもしれないが・・・
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2014年のこの旅の時点ではまだ発売されていないが
ここから4年後の2018年にも台湾を訪れており、その時の台湾旅行でよく聴いていた曲。
聴くとなんだかあの時の台湾の熱を感じて、身体が火照る。
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