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楽譜と表記のいろいろ
「六段」っていろんな楽譜あるよって教えられて、国立国会図書館デジタルコレクションを見てみました。
たくさん・・・ありますね。
時代が時代(明治大正あたりが多い感じ)だけに、色んな表記法が試されていて、様々あってかえって混乱しますこれw
五線譜に近づけたものやヨコ書きにしたり、いろんな形が。
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いろいろ調べてみましたが、楽譜の表記についての歴史は以下の記事で詳細がまとめられていました、こちらを読んだ方がより正確でよいかも。
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まぁとりあえず、関連資料は以下で詳細が見られますよということで、いくつかを紹介。
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▼これが現在の主流になっている感じのもの。縦がきで四角のマス目に絃番号が並ぶタイプ。
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▼五線譜と思いきや、実際の絃の上での動きが再現されているヨコ書きの形。見た目が実際の箏の面に近いので、手の移動はかなり分かりやすいですね。イメージしやすくて初心者向きかも?
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▼これは一見は五線譜・・・と見せかけて、絃の上での動きが再現された譜面。これは五線譜に慣れた人には混乱必至のような・・・w
ピアノで言えば上のラが一の絃です。ドが巾です。うえぇわかんねぇ
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▼ヨコ書きのもの。横棒で長さの指定がされていて、テントンシャンとうたいながらだと分かりやすい感じ。歌メインだと必然、間と強弱のノリを先に入れる感じなので、形はとりやすいんじゃないかなとは。
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▼縦書きのもの。これは何のマルなのかな、拍取りの記号なのか知らん。と思ったら同著者の別の本「筝曲譜初歩」に、拍の印と内容が書いてありました。この表記だと一拍を二つ(大丸・小丸)に分けて、感覚的に「イチと ニィと サンと シィと」な拍取りみたい。
▼「箏曲大意抄」という江戸時代のものがこのマルを使う表記の初めみたいです。追記の正絃社サイトページの記事を見て資料を探したらありましたので追加。
解説には
「箏組歌の楽譜集。著者・山田松黒は、山田流流祖の山田斗養一(1757~1807)の師。本業は医師と伝えられ、江戸に生田流を普及させた長谷富検校(?~1793)に学んだと伝えられる。
拍子は大小の○◎を用いて示し、箏の絃名を右側、歌詞を左側に書く。手法はカタカナの略号で絃名に添える。第六冊には、箏の楽器構造、歴史、同類の弦楽器、調絃法、手法などの細かな説明がされており、箏に関する貴重な資料となっている。」
とあり、資料の閲覧だけでは得られない情報があって素敵でした。
左サイドの目次欄には六段が記載されていないのですが、資料内には記載があり、最後の方にありました。
全然関係ないのですが、巻六に箏袋・小箏袋とあって、どうやら当時は二重に包んで保管するものだったらしいと思われるのも面白いです。入れ口も互い違いになるのかな。
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▼五線譜。他の楽器に変えたときに音が分かりやすいですね。
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▼六段って尺八でも譜面あったんですけど、六段ですよね(読めない)
前半5行に多分「前歌」とあって、6行目に「初段」とあるので、前歌との一体型なんですね。(箏曲の楽譜だと前歌がないものが多いのです)
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国立国会図書館デジタルコレクション、歴史的音源のところに、宮城道雄の演奏する「六段」がありました。
youtubeにも高音質のものが上がっていたので興味があったら聴いてみて下さい。(宮城道雄は日本では著作権保護期間を確か2006年に満了しています)
ユリを多用する華やかな六段も好きですけど(人の演奏を聴く分にはw)、すっきりした六段もいいなぁ。これだけ弾けたらの話なんでしょうけども。
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なんだか軽い気持ちで資料を見始めたのですが、興が乗ってずいぶん調べてしまいました・・・今の楽譜も出版社や作曲の方によって表記が違うことがあるのですけど、それもこれもこういう過去の人たちの試行錯誤があって、いい方法をたくさんの人が模索した結果なんだろうなぁ。先達の偉業。
それと、「六段に始まり六段に終わる」という奥深いこの曲、資料として閲覧できる古い箏曲集に必ずといっていいほど含まれているので、それだけ長いこと演奏されてきたんだなぁと思いました。
個人的には、正直なことを言えば、六段も八段も苦手でしたw でもこれと合奏春の海で初めて「間ってなに?」という戸惑いというか気づきとなったので、とてもいいチャレンジになったかな。
(あと、やって良かったことといえば、六段は独奏なので、不意打ちで「なんかやって」とか言われたとき(箏のある家だとたまにある)、簡単な初段のさわりだけ適当にやって「うーん後は楽譜がないと~忘れちゃった~;;」て逃げられることもあります・・・・・・・・・正月に親戚にやらされた・・・・・・)
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