初心者さんの「視界」
初心者さんに教えるときに、注意しておきたいのが、「自分の見えている範囲が相手とはイコールではない」こと。
楽器でお手本見せて、説明したはずの内容が、うまく入っていっていないようだと思ったら、まずここを疑ってみるのもいいかもしれません。
★★★ 相手の「視界の範囲」に注意
だいたいの初心者さんはみんなそうですが、動作を見せても、どこを見ていいか分からないことが多いです。
視界が狭く、指の動きの一部、たとえば「爪と絃の接点」しか見てないことも。音の出る一点しか見ていないから、音の出し方までは見て理解することができないんですね。
でもこれが普通の初心者さんのスタートだと思って下さい。
だから、見て覚えろ、というのはそもそも無理がある気がします。
■ 動作の理解のタイプ
・見て理解できる=元 運動部?
元運動部だった人は、すでに運動部時代に動作を見て理解する(させられる)ことが多かったのか、お手本を見て実際の練習に入る方式に慣れてる気がします。
人によっては、動作の奥行きを見るスキルがあるのか、お手本の動きを3D的にとらえられるっぽい。
あと、そういうタイプは「動作=関節の連動した動き」「音が鳴る=動作による結果」という理解ができている感じ。なので、注意事項として「この関節をしっかり動かすんだよ」と言うと、わりと動作の再現が早かったような。
もちろん楽器経験のある人も、「音が鳴る=動作による結果」というのは分かってるので、どのようにしたらそれができるのか?という興味を持って見てくれる場合、吸収が早いです。
・見て理解が苦手
見て理解するのが苦手なタイプは、上記の運動部・楽器の経験者さんよりもちょっと視界が狭い感じがありました。たとえば、爪と絃の接点しか見ていないと、「じゃぁやってみて」と楽器の前に座らせたら、いきなり手の構えが全然違ったり。
この場合、いったん動作を見せた後に実際にやってもらうときは、指の関節や手首、ひじの使い方、腕の位置、姿勢まで、全部ひとつひとつ見て、ひとつずつ直しながら教えていかないといけないんですね。
で、そのとき言葉で説明するんですが、どの言葉を使うと理解しやすいか、考えながらやらないといけないので、けっこう頭を使いますw
意図や意味が伝わるまで、いくつか言葉を換えつつお互いが試行錯誤、一番苦労するのここかも。
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■ フォローの仕方
教えるって、イコール情報伝達なんですけど、それがうまくいかない場合、上級生、自信なくしがちになる事もあるので;
教え方というよりも、伝えたい内容を一口サイズに切り分ける方法を、覚えていくのがいいのかな。
視界の範囲が狭いタイプだと判断したら、情報のサイズを小さめにして渡す、とか。
そういう感覚でいくのもありかも。
(私はせっかちなんで自分ではうまくできなかったのですが、伝わってないなと思ったら、少し引いて、まずはひとつだけ、って仕切り直したほうがいいかも…。言葉数を増やすと、相手がパニクるだけなので;)
ほめて伸ばす心も大事です。喜んだ顔を見ると、こっちも嬉しくなりますから。焦らず、少しずつ、少しずつ。
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☆ 自分の動作を意識し直す
初心者さんの実際の動作を見て、どこをどう指摘してどう直してもらったらいいのか、わからなくて困る事もあるかと思います。
そもそもの「自分がどうやっているか」「なぜそうしているのか」を理解していないと、これができない。
実は上級生のスキルアップ、そこからスタートになるんですね。
自分の練習の時に、なんでだ?どうなってる?という視点で練習し直すのも必要になってくるかも。
(ここは春休みの部内の教えっこ会(と勝手に命名してるけどどう呼んでるんだろ)で、一年生に教える段階になる前に自分でやっとかないとまずいな、と理解できると思います。早めスタート。w)
(その助けになるいう意味で、「何に注意するべきか、なぜそうするべきか」という項目は、教本に必須ではと思ってるのですが、そういう解説の載ってる本って今はもうあるのかな。ないのかな)
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☆ 具体的に伝える
動作のコツ、自分が意識できていれば、伝えられる情報も精度が高いものになるのでは。
たとえば、手の動作を見せるときに、「ここ(関節とか角度とか)をよく見てね、注意してね」と言えるようになれば、一年生も「見方」が分かってきます。
そうすると、必然、自分がやるときも自主的に気をつけてくれるようになります。そうなれば上達が早い。
だから、直してあげるときは具体的に箇所を指定して、具体的に修正ポイントを言ってあげられたらな。と思います。
理想的すぎるかなw
私は現役の時はそんなこと考える余裕もなかったから。笑
でも、私が長いことかけてそう考えられるようになったのを、他の人がショートカットできるようにしておくのもアリかなと思うので、一応書いておきます。おわり
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情報伝達の上手な人のやり方について。ここも見ておくと役に立つかもなので。