備忘録

備忘録

震災を経て私が私なりに出した答えは、隣の人に優しくすること。後悔しないように、明日も優しくいられるように。

隣にいる人が仲の良い人でも、例え知らない人でも。

あの時同級生が、泥水に浸かりながら取ってきてくれた煎餅の味を忘れないし、
次の日自衛隊の人がくれた缶パンとおにぎりの味を忘れない。

高校の近所にあるガソリンスタンドが爆発して、本気で死を覚悟した瞬間を忘れないし、
あの時先生がくだらない話をして笑わせてくれたことを忘れない。

外に出られない絶望を抱えながらも、校舎に入ってきた陽の光が優しくて、あったかくて、隣で友人が笑っていてくれたことを忘れない。

あの時私はあくまでも恵まれていて、ちゃんと家に帰れたし、校舎の掃除に行けるくらい余裕があった。

数ヶ月したら部活に復帰できたし、憧れのインターハイにも出ることができた。

めちゃくちゃ恵まれて生きているんだって実感して、本当にありがたくて、だからこそ人に優しく、誰かの力になりながら歳を重ねたいと思った。

その後の人生は、何度も何度も自分の不甲斐なさに絶望して、助けたいという気持ちだけじゃ助けられないこともあると知った。

頑張ったら頑張った分だけ報われるわけじゃないし、自分を犠牲にすることで、隣の人に優しくできなくなるような、人としての弱さも知った。

それでも誰かに手を差し伸べながら生きていたくて、例えそれがエゴだとしても、偽善だとしても、別にそれで良いと思っている。

私が私なりに、隣の人に優しくいられる範囲で、いつも誰かに優しくしていよう。

私に優しさをくれた全ての人に感謝。

私が誰かに優しくいられるのは、今まで出会ってきてくれた全ての人が優しかったからです。

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