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毛抜きと私の10年以上の付き合い

私は自分の毛を抜くのが好きだ
髪の毛やまつ毛は抜かない
いわゆるムダ毛だけを抜く

抜く瞬間の痛みは最高、毛根を確認すると悦びが湧き、埋没毛をほじくると興奮するし、毛がなくなった肌を見ると達成感に満ち溢れる

そんな私と毛抜きの歴史を語りたい

・小学生〜毛抜きとの出会い〜


小学校高学年になり初潮がきて徐々に子供の身体から女の肉体に変わっていき、手足に毛が生え始めた
同時に毛のない肌の方がいいという価値観を知った

進んでいる子はすでにカミソリで剃っていたけれど、お母さんにカミソリを買ってというのが恥ずかしい子はハサミで切って目立たなくしたり、授業中に爪で抜いたり工夫して処理していた

私も暇な時に爪で抜いたり、家に帰ったらお父さんの毛抜きをこっそり借りてせっせと毛を抜いた

まだ生えている毛が少ないので雑草むしりのような気分で純粋に楽しかった

・中学生〜思春期と毛〜

中学生になると価値観は「毛はない方がいいらしい」から「ムダ毛は絶対に処理するべき恥ずかしいもの」にアップグレードされたのでカミソリを手に入れ、必死に剃った
生えかけのチクチクが嫌で授業中にせっせと抜いた

筆箱に毛抜きを忍ばせてる子は結構たくさんいたし、爪で抜いている子はもっとたくさんいた

女子校で異性の目はないけれど、女子としての美意識が芽生えた思春期の私たちには前髪のキープやニキビと同じくらいムダ毛処理は大切な問題だった

埋没毛がたくさんできた
綺麗な肌に憧れて毛を抜いていた私に変化が起きた

埋没毛をほじくる快感にハマってしまった

きちんと保湿してカミソリで処理をすれば綺麗な肌になれると知識を得ても、頑なに毛抜きで処理を続けた、というか病みつきになってやめられなかった

一番は指
全部抜いて綺麗になった達成感を味わうために毎日抜いた
照明にかざして肉眼で見えにくい産毛まで徹底的に抜いた
範囲が狭いからやりがいがあった

次に腕
授業中にやりやすいからたくさん抜いた

夜は部屋に篭って何時間でも全身抜き続けた
特に膝の毛が太くて毛根が強くて楽しい
毛を抜いていると思春期のささくれだった心が落ち着いて、日々のストレスも忘れられるのだ

当然色素沈着は起きるし埋没毛だらけの荒れた肌になった、本来の目的の「綺麗な肌のために毛を処理する」を完全に忘れて「毛を抜くことが気持ちいいから抜く、そこに毛があるからとにかく抜く」にすり替わった

・高校生〜自傷行為としての毛抜き〜

高校生の私はメンタルが不安定だった

過眠と不眠に振り回され、PMSの希死念慮もひどく、反抗期で常にイライラしていた
まだ婦人科にも心療内科にうまく通うこともできなくて膨大なマイナスのエネルギーを全て自分に向けるしかなかった

リスカして親にバレるのが嫌でヘアブラシで自分を殴った けれどすぐにアザが見つかって心配されてしまったので私の自傷願望は毛抜きに落ち着いた

ひたすら毛を抜いて、抜いて、抜いた
埋没毛をほじくって血が出ると嬉しかった
毛を抜いている時が一番心が安らいだ

・大学生〜毛抜きと疎遠になる〜

美大に入学すると毛抜き癖は落ち着いた
学校とバイトで忙しくて自然に離れられたのもあるし、そろそろやめないとまずいと思ってもいたし、周りの洗練されたファッションに影響を受け美肌に憧れきちんと手入れをするようになったからだ
自傷欲はピアスとお酒で満たした

・社会人〜医療脱毛〜

毛抜き癖はほとんどなくなったまま社会に出た
ピルの効果でメンタルもそこそこ落ち着いて自傷行為も必要なくなった

たまにストレスが溜まると抜くことはあったけれど、高校生の頃のように何時間も全身抜いたりはせず短時間で満足できた

カミソリで処理してうっかりできた埋没毛を疎ましく思うくらい毛抜き依存から抜け出せていたし、色白でつやつやの肌を目指したかった、お金に余裕ができたので医療脱毛7回コースを契約した
おかげで太い毛は全く生えてこなくなって、
たまにうっすら細い毛が生えてくる程度の理想の肌になれた
30万払った甲斐がある

・現在〜やっぱり毛抜きが好き〜

半年前から慢性疼痛に悩まされるようになって、生理をこじらせて仕事もできなくなり自傷癖が完全復活してしまった
死にたいわけではない、適度な痛みが心地よいのである
周りにバレて心配もかけたくないし「いい年してメンヘラ(笑)」とも思われたくないから傷跡が残るようなことはしない

まずは痛む手足をヘアブラシで殴った
ヘアブラシは握りやすいし適度に硬くてちょうどいいし、痛むところを殴ることで気持ちがスッキリして、できたアザをみるとなんだか楽しくなれたが同棲している彼氏にバレてやめた

次はお酒に逃げた
それも怒られた
彼は私のために怒ってくれている
だから学生時代に母親にバレないように部屋に篭って毛を抜いていたのと同じように毛抜きに帰ってきた

でも、もう私の手足に太くて抜き甲斐のある毛はない 
うっすら生えている毛を抜いても全然欲を満たせない
YouTubeの毛抜き動画や角栓抜き動画を見て気を紛らわせようとしたけれど逆効果
やっぱり抜きたい
太くて濃い毛を抜きたい
抜いたら痛い毛を抜きたい
埋没毛をほじくりたい
毛根を見て快感を味わいたい

そうだ、VIOと顔は脱毛していない
そう気づいて今度はデリケートゾーンの毛を抜くようになった
今までは服を着た時に見える範囲の毛にしか興味がなかったのでそこはノータッチだった

楽しい、癒される、ずっと抜いていたい
全部抜いてしまったらまた生えてくるのを待たないといけないので大切に少しずつ抜く
まるで頂き物の高いお菓子のように

数年ぶりに太くて濃い毛を抜く感覚は昔の友達に会えたようで嬉しい、興奮する

こんなに毛を抜くことに執着するのはおかしいとわかってる
わかってるけど
髪の毛とまつ毛と眉毛には手を出していない
美容を優先して抜いているのだから大丈夫だと思う、たぶん
誰にも迷惑をかけていないし傷跡も残らない

毛抜きの代わりになるいい快楽が見つからなければ私はずっと毛抜きと友達だと思う

PMDDがなくなってメンタルが安定したら完全にやめられるかもしれないけれど子宮がある限り終わりはないからきっと無理だろう
でも、毛抜き動画の再生回数やコメントを見るに他人に言わないだけで同じように毛抜きで快楽を得てる人も依存してる人も結構いるんじゃないか?

アルコールやタバコ依存のように将来的に病気になるものでもなければ、ギャンブル依存のようにお金がかかるものではない
開き直って毛抜きと共に生きていくのも悪くないと思う
毛抜き、いつまでも友達でいようね
いつもありがとうね
これからもよろしくね





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