通所リハの専任医師の仕事 その3
いつの間にか、フォローしてくださる方が出てきてくれて、
本当に本当に嬉しい限りです。
どうもありがとうございます!!
その喜びをエネルギーに変えて、また記事を書きたいと思います。
さて、通所リハでの医師の仕事として、
上から言われたカンファへの参加だけでなく、
自ら問診や診察をしたり、情報収集の依頼を提案したり、必須ではないスタッフカンファへの参加をもくろんでいる訳でありますが。
リハビリ療法士さんたちに、
医者が関わるようになって一番よかったことは何?と尋ねてみました。
すると、
リスク管理ができるようになった、
だから安心感がある、
と言われました。
私自身は、そんなに具体的な開始基準や中止基準の指示を出していないのですが。
口頭でたまに聞かれて答える程度ですが、
そう言ってもらうと逆に、
私が関わる前は、みんなリスクを認識しつつ、おそるおそるやっていたのかと、
なんだか申し訳ない気持ちになります。
ちなみに、看護師さんにも同じ質問をしたら、
スタッフが緊張感を持つようになった、と
真逆の答えが返ってきました!
そして、私自身が通所に関わるようになって一番よかったこと、それは、
「患者さん、利用者さんは、多面体であることをはっきりと認識できるようになったこと」
です。
多面体という言葉は、私が尊敬する指導医の言葉です。
その人が自宅で、外来で、入院中、通所で、入所中、見せる顔。
それぞれ違う。
ついでに言えば、家族もそう。
けれども、外来では一面しか見る事ができない。
通所でも一面しか見えない。
でも、一番「す」の部分、自宅の面が見えるのは、やっぱり通所です。
自宅から来て、長い時間過ごしているのが、通所です。
だから、通所でその人について知ることは、
その人の在宅生活を支える上で、とても重要です。
通所に関わらない先生方は、通所のつの字も知らないと前回書きましたが、
そんな先生方、自分が外来主治医をしている患者さんが通所に来ているなら、
是非ともその様子を見にきたらいいと心の底から強く強く思います。
(でも仮に実際私がそう言っても、本当にその重要性を理解して、忙しい中、見に来る人なんていないと思って、言った事はありません‥)
たとえば、私が外来でみていて、通所にも来ている人。何人かいるのですが。
ある人は、いつも車椅子を奥さんに押されながら診察室に入ってきて、
手の痺れがなかなかとれないね、とか、
起き上がるのはいいけど、横になる方がきつくなっている、
といった話をします。
そして私が血圧を測って、薬を出して、また来月、という感じなのですが。
通所では、
ゆっくりですが杖で歩いて、いつもにこにこして、
「先生、また今月は○日に診察、よろしくね!」
なんてご機嫌で話しかけてきます。
ほかの利用者さんやスタッフと冗談を言い合っている様子も見られます。
またある人は、ご本人はまぁそれなりに同じような様子ですが、
外来で、「大丈夫です、はい、はい。(だから早く薬出しください)」
みたいな息子さんが、
リハ会議の時は、家の様子を色々と話してくれます。
そういう家での細かい様子は、医者に話すものではないと思っているのでしょうか‥。
まさに多面体であることを実感します。
そして、「す」の部分、本来の様子に近いのは、間違いなく通所です。
なので、通所って面白いなー
その人自身のこと、家での生活のことがよく見えて、
全体をみるということができているなーというのが、
私の正直な気持ちです。
さらに言うと、私からの視点だけでなく、多職種からの視点でその人を知る事ができるところも大きいです。
そんなふうにして、患者さん、利用者さん(最近は、地域の住民の方、という表現の方がふさわしいように思いますが)と関われることに、
プライマリ・ケア医ならではの味わい深さを感じている次第です。
それでは、名残惜しいですが今日のところはこの辺で。
通所リハのお話は、これで一旦完結ということにしたいと思います。
次のネタはまだ決まっていませんが、また近々‥。
ちなみに、通所リハビリにおける医師の役割、というようなタイトルで、
こちらに書いた内容を、もう少し外向けにアレンジして、
学会でポスター発表することになっています。
そして、その締め切りが間近なので、次の更新は提出後になりそうですが‥
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