飛行機に揺られてオーストラリアにやってきた日のこと
時刻は21時前。
ケアンズ行きの飛行機の搭乗開始アナウンスが流れ始め、私を含む大勢の乗客が次々と飛行機の中に吸い込まれていく。
機内に入り、チケットに書かれている数字と座席を照会する。今回は窓際の席だった。
ああ、私今からオーストラリアに行くんだ———。
電波が途切れる5秒前までLINEを送る。
ゆっくりと徘徊していた飛行機はやがて本気を出したかのようにゴーーーッと音を立て、物凄いスピードで走り出し、地上をフワッと離れた。
私はこの瞬間が好きだ。
窓際の席をゲットしたものの、真っ暗な空しか見えない。でも、夜のフライトは独特の雰囲気があるから嫌いじゃない。Spotifyでエモいプレイリストを流すとちょっぴりドラマの主人公気分を味わえるのでおすすめ!
搭乗したらすぐに爆睡しようと思ったけど、長距離フライト中に音楽を聴きながら思いを巡らせることは楽しくて、寝るのは勿体無いように思う。
実際、今もこうやって言葉をタイムリーに残そうとタイピングしている。
でも少しは寝ておこうと思い目をつぶる。
飛行機の音をかき消すために音楽は流し続けて、うとうとしてきたらイヤホンを外す作戦。
その後、4時間くらい寝ただろうか…?
寝ぼけ眼でマップを見ると、飛行機アイコンがケアンズの上にあった。
ああ、私にとっての新大陸に接近している。
マップ越しにオーストラリアの形を改めて見ると緑の部分は端っこだけで、真ん中は茶色い砂漠で覆われていた。噂には聞いてたけど、こんなにも砂漠の面積が大きいんだ———…!!
機長が現地の気温について説明した後、ケアンズに到着。現地時刻は午前5時15分。外は相変わらず真っ暗で、オーストラリアはまだ眠っていた。
飛行機から降りた瞬間、もわ〜んと夏が漂うのを感じた。日本から乗ってきた女子グループが「わ〜!異国の香り!」と騒いでいる。確かに。
メルボルン行きの飛行機が来るのに思いのほか時間があったので、季節逆転に順応すべく、さっそく半袖に着替えて麦わら帽子をかぶった。
喉が渇いたぞと思い売店でスパークリングウォーターを買うとまさかの5ドルだった。
物価高の洗礼も受けましたっと…!
メルボルン行きの飛行機は幸運にも隣の人がいなくて寝転ぶことができた。
長距離フライトで1番嬉しい展開…!
横になって寝るのと座って寝るのではまるで疲れが全然違うのだ。
起きて窓を見ると、ふわふわの雲の上を走行していた。まるでスーパーマリオの舞台みたいだ。
メルボルンの入国審査は物凄くあっけなかった。
キオスクという機械にパスポートを差し出し、顔写真を撮って進むだけ。
アメリカみたいにマッチョで険しいお兄さんに「ネェェクストッッ」って呼ばれることもなければ、質問されることもなかった。こうして、税関のドキドキ感を味わうことなくゲートを通過したのだった。
スムーズに出られたぞと思いきや、アナウンスで自分の名前が呼ばれていることに気づく。
え、え、何をやらかしたんだ私(笑)
急いでカウンターに行くと
あなたのスーツケースまだケアンズにあるのよ!時間通りに送れなかったみたい!あとで滞在先に届けるわ!住所教えて?とのことだった。
まあ、おかげさまで身軽でエアビーに迎える。
物事は解釈次第で良くも悪くもなるから、良い方向に解釈しないとね!
空港の出口に辿り着くと、でっかい花束を抱えたインド人男性軍団がいた。
空港はどこかの誰かの感動の再会や別れを拝めるからスキ。目の前でドラマが再生されてるような気分になる。
メルボルンというシンボルの前では、世界中からやってきた人々が絶えず行き来していた。
さあ空港を後にしようとUberを呼ぶと、自由人そうな男性がやってきた。
チラリと後部座席にいる私に目をやると「電話してもいいですか?」と一言。
「どうぞどうぞ」と言うと、英語ではない言語でのんびりと電話を始めた。
母国の家族と話しているのだろうか?
日本には決してない自由さと肩の力が抜けた感じが好きだ。
自由でテキトーな世界だからこそ、自分もとことん自由にやってやろうと思える。
窓の外に目をやると
空がブワーっと広がっていた。
ああ、大冒険がスタートしたんだ…
私はひっそりとワクワクを噛み締めていた。
つづく
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