性質や性格が欠点になるか強みになるかは、完全に環境次第。さっちゃんの話
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むかし英会話教室の運営アシスタントとして働いていた時、癖の強い小学2年生の女の子がいた。その子をここではさっちゃんと呼びたい(本名ではありません)。
さっちゃんは、一匹狼だった。
小学生の女の子たちは素直なので、ペアを作るアクティビティになった途端「○○ちゃん、となりにすーわーろー!!」と言って自分のお気に入りの子をなんとしてでも確保しに行く。
さっちゃんも負けじと誘いに行くのだが、なかなかうまくいかず、ペアはいつも私だった。
さっちゃんには、チームワークや協力という概念がなかった。
その代わり、他の子よりも理解力が高く、頭がキレキレだった。
それゆえ、授業中に疑問に思ったことが少しでもあれば、気の済むまで「どうしてですか!」と大きな声で先生に問いただしていた。(さっちゃんはなぜか敬語だった)
例えば「これはこういうことですよ。分かりましたか?」と言われた時に「はあ〜い!」とそのまま吸収するタイプではなく、「どうしてこれがこうなるのですか!?」と問い詰め、なかなか痛いところを突いてくるのだ。
口が達者で小学2年生にして論破という技も習得していたため、授業を円滑に平和に進めたい外国人の先生の顔には毎回(か、勘弁してくれ〜…!!)と書いていた。
他にも1番になりたい思いが人一倍強く、どうしても1番にならないと気が済まなかったため、アクティビティに本気になりすぎてクラスメートの女の子達が「お…おう….」となっていた。
ベテランアシスタントの主婦さんは、「たぶん、さっちゃんはグレーなのだと思う。」と言っていた。グレーってどういうことですかと尋ねると、「一般の学級に入るか、特別学級に入るか微妙なライン」とのことだった。
私は、さっちゃんが気の毒に思えた。
確かにさっちゃんは、他の子が当たり前にできることができない。
他の子達のように団体行動ができないし
決して聞き分けのいい子ではないし
授業を黙って聞くことができない。
でも同時に、他の子が当たり前にできないことができる。
いちいち疑問を持ったことに対してつっこめるし
頭の回転が異常に速いし
何がなんでも一位を目指すという執念がある。
小学2年生の子が持っている資質にしては
あまりにも天才すぎる。
なのに、そんな天才的要素には一切注目されず、環境で求められることとマッチしていないために注意ばかりされて、挙げ句の果てに「ふつうという物差し」を基準にグレー扱いまでされていて気の毒だなって。
さっちゃんが仮に
ディベート選手権小学生部門に出場したら大活躍すると思うし
もしかしたら小学生コメンテーターにもなれるかもしれない。
どんなアクティビティでも一位を目指して本気になれる勝ち気な性格だからこそ、個人スポーツや何かのコンクールでとんでもない力を発揮してくるかもしれない。
何が言いたいかと言うと
さっちゃんは環境次第で厄介者にも天才にもなれると思う。
チームワークが必要な世界
周りと同じ行動が求められる世界
はっきりとした規則のある世界
つまり教室や学校、企業にいる限り、さっちゃんの持つ性質は歓迎されにくい。
その環境ではさっちゃんが持っているものと真逆の資質が求められるから注意されると思うし、生きづらさを感じると思う。
でも
チームワークが必要ない世界
頭の回転の速さが求められる世界
規則のない自由な世界
競争のある(アスリート的な)世界
では、さっちゃんの資質が活きやすい。自分の持っているものを周りに合わせて制御しなくてもいいし、むしろ解き放つことで輝いていくと思う。すごく生きやすくなると思う。
さっちゃんはまだ子供だから環境を自分で選び取ることはなかなか難しいかと思うけど、「こういうところがダメだから直しなさい!」と言う大人ではなく「こういうところが最高だから伸ばせる環境にいきましょ!」と言ってくれるような大人と出会ってほしい。そしていつか、さっちゃんの良さが存分に活かされる環境に辿り着きますように。
私は、人は誰しもユニークな性質や性格を持っていると思っていて、それが欠点になるか強みになるかは完全に環境次第だと思っている。
例えば、私は昔からやりたいことや言っていることがコロコロ変わる。昨日はこうしようと思っていたことが、今日はこっちの方がいいかもってなっている。もはや山の天気並みだ。
そんな私が一貫性や忍耐が求められる場所にいたら苦痛ですごくストレスがたまるし、専門性を磨いていく職に就くと開花しないと思う。私にとってこの性質は長年のコンプレックスだった。
でも、ある日気づいたのだ。
やりたいことや言っていることがコロコロ変わるということは、それだけ新しいことを思いつく機会が多いということだから、新鮮で新しいアイデアが求めらる環境や、変化してなんぼな環境では活躍するのではないかと。
全ては環境選びで決まると言っても過言ではない。自分の素材がフルで活かされるような環境を見つけることは、快適な人生を送るためにマストだと思っている。
それに、直すよりも活かすを考える方が楽しい。
出典:
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