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影を描く、微分をする

中学生のころ、美術の授業でモナリザを模写するという
コツはモナリザの女性を描くのではなく、影を描くこと、この絵画はそこがよくできている、みたいなことを授業の中で習った記憶がある。
つまり対象物を描かずに対象物の影を描く、というアプローチだ。

ぼくはそういう考え方をすることが割とある。

例えば、ぼくにとって好きなものを見つけるのは難しいのだけれど、それに比べて嫌いなものはすぐに判別がつく。
感情として気持ち悪く、不快感があるもの、もしくは筋の通らないようなことは苦手で、避けるようにしている。

別に全人生かけて好きなものを見つけることが正解ではないと思う。そして好きなことを見つけるというのは大人になるほど案外難しい。

ぼくが新垣結衣と結婚したいと思ってしまえば、ぼくの倫理観が壊れてないと実現不可能と思う。
大人になるとそういうことも含めて、だんだんと好きなことを見つけるハードルは上がっていく。

ところで数学には微分という概念がある。
簡単にいうと小さな区間でどれくらい状況が変わったか、を把握することができる考え方で、人工知能にもこの考え方は組み込まれている。

そんな微分のように連続的な毎日という小さい区間の中で、少しだけ状況を良くすることができれば、未来的には限りなくベストに近い状況になっているはずだ。少なくともぼくはそう信じてたりする。

いきなりベストを目指すのではなく、連続的に常にベターを選択する。

伊坂幸太郎の作品の中で「大人がかっこいいと子どもはグレれないんだよ」といった趣旨の言葉があったような。

なりたい大人になるよりも、なりたくない大人にならないように。
好きなものを見つけるよりも、嫌いなものに近づかないように。


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