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〈リクエスト〉僕が思う、日本サッカーを強くするために野球界から学ぶべきこと

 前回に引き続き、頂いたテーマについて書かせていただく。


 僕は2007年頃から野球を観てきて、小学5年生から中学3年生までプレーもしていた。一方、サッカーに真剣に触れるようになったのは2018年とかなり最近のことである。今回のお題を提示してくれた友人は僕のサッカー観戦友達であり、このような僕の経歴から、今の日本サッカーをより強くする案を引き出そうとしてくれたのだと想像している。

 つい最近まで五輪をやっていたが、とりわけサッカーは大規模な大会の後にこうした方法論——日本代表やJFA(日本サッカー協会)への批判へ終始することもあるが——が盛んに交わされる傾向がある競技だ。東京五輪も例外ではなく、今後の日本サッカーを憂う者たちの議論は激しい。そうやってあれこれと意見を述べるのもフットボールの楽しみではあるので、僕もその流れに便乗することにする。全勝で金メダルを勝ち取った野球と4位に終わったサッカー、と、単純に比較することはできないが、その違いと取り入れるべき点を考えてみるので、お付き合いいただきたい。薄い知識をつらつらと書き連ねるので、詳しい方に見つかるとあっという間にボロが出るだろうが……。


 ①日本の現在地と、世界のトレンド

 まずは、世界の中で日本(ここでは国内リーグとする)がどの位置にあるか、また世界を席巻しているのはどこか、に触れる。

 日本のプロ野球(NPB)は、「世界で2番目のリーグ」と呼ばれることが多い。世界のトップであるアメリカのメジャーリーグと、その下位カテゴリーに相当するマイナーリーグの間くらいのレベルだ。「MLB>NPB>AAA(マイナーリーグで最も上のクラス)」という表現もよく目にする。次のレベルに位置するのは台湾のCPBLや韓国のKBOだ。この両国には「活躍して日本でプレーしたい」という選手も存在する。日本人がメジャーリーグに憧れるようなものだ。そもそも野球は世界的に人気のある競技ではないので、リーグが存在する国が少ない。ドミニカなどの中南米の国では、冬季のみ開催されるウィンターリーグなどもある、

 一方サッカーのJリーグは、レベルだけで言うとアジアではトップクラスという声もあるが、世界の中心的存在である欧州五大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、フランス、イタリア)やオランダ、若手の登竜門的な意味合いも持つベルギーなどに比べるとなかなか厳しい位置に居る。アジアでも、UAEをはじめとする中東勢には豊富な資本があり、決して安泰ではない。


 ②じゃあ、日本サッカーはどうしていけばいいの?

 一朝一夕でJリーグの、もっと言えばサッカー界における日本の立場、価値が上がるわけではない。昨今は日本代表も海外でプレーする選手が多くなり、10代から海を渡ることも珍しくない。とはいえ、代表を強化するだけでは限界があり、もっと長期的に、裾野を広げることが必要だと考える。全盛期に比べると衰退したとはいえ、まだまだ野球人気は根強い。それに歴史も長い。時間をかけて成熟される部分はあるだろう。


 また、JFAがよく使う言葉に「JAPAN WAY」というものがある。批判派に槍玉に挙げられることの多い言葉だが、この方針自体は非常にいいと思っている。緻密な「野球」と豪快な「ベースボール」はもはや別競技で、日本は「野球」で世界と戦っている。日本人に多い気質に合うものが自然と形成されていったのだろう。協会が批判されるのは、「JAPAN WAY」が何なのか、というところを具体的に言及しないところにあり、それが定まって文化として日本のサッカーに浸透していけば、より対等に世界と渡り合える日は来るはずだ。


 最後に

 質問に対する回答をまとめると、

・競技人口と世間への根付き(マクロな、長期的な視点)

・「JAPAN WAY」の具体化(ミクロな、短期的な視点)

が、野球とサッカーの違い、ということになる、


 とはいえ、サッカーに野球が学ぶべきものもある(例:ユースシステム)し、現状でサッカー界も試行錯誤を繰り返していることだろうと思う。今の日本代表も、10回やれば2~3回は強豪国にも勝てるのではないか、というところまでは来ているように感じる。

 だが、もっともっと上を目指せるという思いがあるのも事実であり、イランやオーストラリアなどアジア内の強敵も日本を上回ろうと必死だ。


 五輪で涙をのんだ若き代表たちには、何が何でも世界の舞台で報われてほしい。その思いだけだ。

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