インタビュー - コンシャスな消費活動について考えること
私たちは買い物の習慣を変えて、新しいものを所有したいという欲求を意識的にコントロールすることはできるのでしょうか?
Mylo(ミロ)はプロダクトを生み出すとき、いつもサステナビリティについて考えています。今回、スロバキアを拠点とするサステナビリティ・プラットフォームの代表であり、MyloのユーザーでもあるZuzana Dutka(ズザナ・ドゥトカ)へのインタビューを行い、「コンシャス・コマーシャリズム(意識的な消費主義)」というトピックについて話しました。ぜひご覧ください。
Mylo(ミロ):「コンシャス・コマーシャリズム(意識的な消費主義)」というフレーズは、造語のようですが、消費者としてこのコンセプトから何か学びになるものはありますか?
Zuzana(ズザナ):「コンシャス・コマーシャリズム(意識的な消費者主義)」というフレーズは造語です。ただその言葉をある「サステナブルなファッション」として、いずれにせよ活動のために使っています。自分の行動を変えるためにどのような働きかけをすればよいのか、自分自身の経験をもとに私はいつもプランを描いています。私たちは学びを蓄積できるし、どんな行動も変えて、より効果的なアクションを行うことができるとさえ思っています。問題は、各人がその変革を望んでいるかどうかです。
サステナビリティのために、私はすべての人が買い物をするのをやめたり、あるいは企業が生産活動をやめてしまうような理想的な世界は想像していません。洞窟に戻り、インターネットも電話、電気、モーターバイクも忘れて、また木の根を掘ったりして生活する、そういったことは考えてはいないのです。むしろ、例えば新しいものをなんでもかんでも、すぐに所有したいと思ってしまう欲求、それを意識的にコントロールできるようになってほしいと思うのです。もちろん、どこまで自分の欲求をコントロールするのか、できるかどうかは人それぞれだと思います。何を所有し、何を所有しないか、それを人に指図されても、誰も幸せにはなれませんから。
Mylo(ミロ):いまのお話はズザナが挙げている、「カプセル・ワードローブ」(クローゼットのワードローブを必要十分なものにする)のコンセプトについてのことだと思うのですが、化粧品にもあなたの言っているようなアプローチはあると思いますか?
Zuzana(ズザナ):よくインタビューのたびにカプセル・ワードローブについて質問を受けるのだけど、そういう生活をするには根気と長年の努力が必要で、自分自身と自分の習慣を改善する必要があるんですよね。College of Responsible Fashion(責任のあるファッションのためのカレッジ)に通うような労力が。残念ながら、カプセル・ワードローブのような考えは誰にでも合うわけではないんです。
その点,化粧品のカプセルアプローチは、うまくいくかもしれませんね。実は意識的に化粧品を購入することを決めて考え出すと、すべて必要なものを買うための決断に、もしかすると何年もかかってしまうかもしれないと思ったんです。それに、家にある化粧品をを全部捨てて、新しいものに入れ替えるのは、廃棄物ゼロの原則にも反してますよね、すでに家にスキンケアのプロダクトあれば、一つずつ少しずつ入れ替えていくことを想定してみてもいいのではないでしょうか。
一つを使い切って入れ替えるたびに、その時だけラインナップを入れ替えていく。その時、あなたにとってもそして環境にとっても「正しい」プロダクトを選択できると良いんです。 もちろんすぐに幸運に出会えるとは限りませんが。選ぶ過程で「私たちは何を必要としているのだろう?」という疑問に向き合うことになります。クローゼットをあけて整理するときと同じ用に、自分の心の中でこの問いに答えなければなりません。自分たちの生活の最大の専門家は、自分たち自身だからです。
Mylo(ミロ):サステナビリティは生活のあらゆる領域に対するアティチュードですよね。サステナビリティについて考えるとき、一番手始めに取り組んだらいいことはありますか?
Zuzana(ズザナ):生活の中で自分の心に最も近くて、最も楽しくて、興味を持った分野を選ぶことが効果的だと思います。私にとってはそれはファッションのことでした。家にあるものを見直して、再びそれに恋に落ちる。必要のないものは拒絶し、本当に必要なものは何かを研究すること。自分が本当に必要としていないものに気付き始めたときは、とても嬉しい驚きがありますよ。
自分の習慣を変えるための努力に喜びを見つけることが重要です。人生は結局のところ楽しくなくてはならないでしょう。私たちはサステナビリティについて取り組み、それを楽しむことができるときに自由になれるんです。もしそういう行為であればすべてやってみたくなりませんか?少しずつ楽しくなってきますよね。他の人の活動に影響を受けたり、調べてみてみるのも良いですよ。インターネットで面白い活動をしている人とつながって、その人の真似から入ってみるのも良いでしょう。積極的に関わり、興味を持ち、情報に触れ合えば、自分にとってより良い判断ができるようになると思います。
Mylo(ミロ): 以前、あなたのバスルームはミニマルで、石けんさえあれば大丈夫といっていたけど、犬のケアにも石けんを使っているのですか?
Zuzana(ズザナ):あまり石けんで洗わないんです(笑)、必要なときは、きれいな水でシャワーを浴びさせて、タオルで拭いているだけ。でも、もしシャンプーが必要になったら、私たちが使っている石けんを使うようにしています。
Zuzana Dutka(ズザナ・ドゥトカ)
Photo by Jasmine Brunner