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ワインは分からないもの。


ワインは飲み物だ。
アルコールを10%強含んでいるだけの人工的な産物だ。
ここでワインについて科学的に説いても誰も読まないだろうから多くは語らない。

ワインはブドウから取れた果汁を発酵させて作る。
これは正しいし、あたかも「古くからある半人工のモノ」ように聞こえるがが、ありったけの情報が抜け落ちている。
抜け落ちた情報を拾ったのちに出る答えは「ワインは人工のモノだ」ということだ。

仮にワインが自然産物とでもいうべきものであれば我々は何も迷うことなくその「発酵ブドウ果汁」を買うことができるだろう。なぜならそれでは差別化が図れないからだ。

しかし現実はそう甘くない。
ジャーナリスト、評論家などと呼ばれる彼らはありとあらゆる手段を使って情報格差を作り、自分の生業をより安定したものにしようとする。

つまりはこういうことだ。
内陸性の気候の平地のスレート土壌にNSの方向に植えた樹齢50年の樹(VSP)から機械による収穫、人によるソートの後、除梗して、発酵は以下の培養酵母を利用して云々。
この文脈では消費者は何の説明を受けているのか全く分からないし、一部のモノ好きワインファンでも状況を想像するのは難しいだろう。
そしてこの時点で既に数種の機械と培養酵母といった現代的な手法が既に随所に見られる。
ワインはもはや工業製品としての側面からは逃れられない。

そしてそうやって出来上がったワインの特定の要素と味とに因果関係があるようにふるまうことで、彼らはお金を頂いているのだ。

もう一度言うが因果関係は決してない。因果関係を示すには条件が多すぎる。
相関関係はあれど、因果関係を示すのはほとんど不可能と言っていい。

そして個人的にはそういった環境が日本人をワインから遠ざけているのではと思う。
ただでさえ読みにくい横文字に加えて、あたかも難解かのように御託を並べられる。

前も言ったが趣味で楽しむワインはそんなに難しいものではない。

難しいものであってはならない。

大事なことは「知らないものに出会うことを楽しむというマインドセット」だけだ。
そこには有名な評論家のコメントや値段なんて関係しえない。
そこにあるのはただの未知なるものへの冒険のようなものだ。

ワイン大国のフランス人でさえ(ワイン大国だからこそかもしれないが)フランスワイン以外はほとんど知らないのだ。
ワインに関わる人で自分はワインについてよく知っているという人がいるとしたら、それは本当の一流か、三流の人だけだ。
つまり趣味でワインを楽しむ人なんてワインを知らなくて当然なのだ。

そして実は日本はワインの単価が世界でも抜きん出て高い国だ。
つまり輸入市場や消費市場は十分に成熟していると思うし、ワインを楽しめるような環境は整っていると思うのだ。なのでその機会を逃すのはなんとも勿体ないような気がする。

次からは少しずつワインライフを楽しんでいけるコツのようなものも書いていきたいと思うが、とりあえず「ワインはよくわからないもの」、「知らないものに出会う楽しみを感じること」ということを忘れないでほしい。


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奥村 嘉之/WineHacker
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