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【真実】自分だけ、分かっていればいい。

人は、
言いたいけれど言えない事や、
言いたくない事、
知られたくない事を抱えながら
生きていると思う。


だから、
どんなに近しい相手に対しても
全てを私に打ち明けて欲しいとは思わないから
むやみに色々聞かないし、
私も全てを打ち明けようと思わない。


それで、
時に誤解をされてしまう事もあると思う。

受け手が
どのように捉えるかは
コントロールできないから
仕方のないこと。


私も誤解されることはあるし、
私が誤解することもある。


夫とお店をやっていた時の常連のおじさま。


やたらと、

「これ、何て書いてる?」

とか、

「これは、いくら?」

とか、
私に質問をしてきていた。


老眼で小さな字が読めないとかではなくて、
大きな文字で書かれている
簡単な英単語を指さしながら

「これ、何て書いてる?」

って、いちいち質問してくるものだから
私の英語力を試されているというか、
からかわれているのだと思っていた。


ところが、
おじさんがある日
夫に打ち明けた真実。

おじさんは、
字も数字も読めない人だった。


カナダに来て以来
乏しい英語力をからかわれた経験のある私は
おじさんの事情は何も知らなかったので

『また、からかわれた。』

そう、思ってしまっていた。


一方で夫は
英語のネイティブスピーカーだから、
私と同じようにおじさんに

「これ、何て書いてる?」

と聞かれても、
自分の英語力をからかわれているとは思わない。

だから、
私とは対応の仕方が違った。


夫は、

「文字が見えにくくなってきたんですか?」

と、おじさんの視力を気にかけたらしい。


そしたらおじさんは

「実は、文字が読めなくて。」

と、夫に打ち明けたとのこと。

文字を読めるようになりたくて
家庭教師をつけたこともあったらしいけれど、
さほど読めるようにはならなかったらしい。


おじさんに対して
申し訳なく思ったけれど、
私は事情を知らなかったので
自分の経験から

『また、からかわれた。』

そう思ってしまったのは
ある意味仕方のないことだと思った。


事実は、

「これ、何て書いてる?」

って聞かれただけなのに、
被害者妄想に陥ってしまった事、
おじさんにイラっとした事、

『みんな、文字を読める。』

そう、思い込んでいた事を反省した。



誤解をされてしまった時、
全てを打ち明けて
誤解を解ければ一番いいのだろうけれど、
そんな時ばかりではない。


言いたくない事は、
言いたくないのだから仕方がない。


だから、
自分だけが真実を分かっていればいいし、
自分だけは常に自分の味方でいよう。


そう、思う。

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