賢い住宅の買い方 #4
家を買うのに必要なこと
前回は、住宅購入は早ければ早いほどいいと述べました。
まだ独身で、年収がやっと400万円になったという人でも
銀行でローンが組める人ならば
今すぐにでも家を買ってほしいというのが私の考え。
年月を味方につけて資産形成できるのが不動産なのです。
でも家を買うには、ある程度の事前準備が必要です。
予備知識があれば、資産形成での失敗を減らせます。
というわけで、今回の目次はこちら。
まずはモデルルームへ 買えるか、買えないか
欲しい家が見つかりましたか?
それは新築物件? 中古物件?
新築と中古では、ちょっとだけかかる費用が違います。
スーモのサイトに分かりやすい記事がありますので
詳細はこちらをご覧ください。
新築物件のモデルルームに行くと
決まってアンケートを書かされます。
それは営業担当者が、あなたが家を買える人かどうかを見極めるため。
自己資金や年収、勤続年数、家族構成など、
あなたの属性が値踏みされるのです。
なんとなく嫌な感じがしなくもないのですが、
気になる物件を見つけたら、臆することなくアンケートに答え、
なんなら、その場で仮のローン計画書を作ってもらいましょう。
あなたが買える物件価格は、すでに分かっていますから
大丈夫な場合がほとんどでしょうが、ちょっと難しいと言われることも。
ダメだったとしても気にすることはありません。
馬鹿にしたり、邪険にされたりすることはないのです。
いずれあなたが顧客になってくれることを不動産会社は期待しています。
せっかくですから、この際、住宅購入に絡むいろんなことを
直接聞いてみることをおすすめします。
良い営業担当者なら、あなたの知識が広がるようなことを話してくれ
家を買うことへの実現可能性が広がります。
あまりよくない担当者なら、説明が今一つ的外れだったり
不愉快な思いをするかもしれません。
よい物件とのめぐり逢いは、そんなことの繰り返しです。
営業担当者にローンが組めそうだと言われたら
住宅ローンの仮審査をしてもらいましょう。
不動産会社には、たいてい提携ローンがあります。
市場金利からの優遇が適用できたり、
契約直前の本審査で否認されても
手付金が戻るローン特約が付いていたり
何かと便利なのでおすすめです。
審査に必要な書類は、会社員と自営業者で少々異なります。
ダイヤモンド不動産研究所の記事内に必要書類が記載されているので
参考になると思います。
下記のページでスクロールしていくと必要書類の一覧があります。
物件関連書類は、不動産会社が用意してくれますので
あなたが用意する必要はありませんよ。
「あなた、家買えますよ」と言われたら
あなたの与信で希望物件が買えると告げられたら
最初に手付金を支払います。
これには自己資金が必要です。
前回、家を買うなら200万円ほど貯めよう、
といったのはこのためです。
この手付金、やっぱり買いませんっていうときに放棄したり、
売りませんっていうときに倍返しされたりすることで
売買契約をなかったことにできる重要なもの。
一般に、手付金は物件価格の5~10%と言われています。
例えば、4300万円のマンションを買うとして
住宅ローンを4000万円で組むとします。
手付金は物件価格の10%だとしたら430万円の自己資金が必要です。
この430万円から物件の頭金として300万円を充当、
残った130万円は諸費用に回ります。
諸費用とは、住宅ローンの借り入れ費用や保証料、
登記費用、売買契約書印紙代、
修繕積立基金、固定資産税の清算金、管理準備金、前払い管理費などです。
これらが諸費用に回した130万円を上回った場合(大抵、上回ります)
売買契約日までに不足額を追加で支払う必要があります。
さて、あなたの自己資金が200万円だとします。
買いたい物件が4000万円で手付金5%ならOKですが、
手付金10%ならば諦めなければなりません。
売主によってあらかじめ決められているので確認しましょう。
中古物件の場合も手付金は一般に5~10%程度と言われています。
売主が個人の場合が多い中古では、
多少手付金を含め、価格交渉余地はありますが
売主の意向が反映されることが多いようです。
我が家の経験ですが、マンションの場合、
新築では、M井不動産やS水ハウスの場合は10%、
S友不動産の場合は5%でした。
余談ですが、実はS友不動産の新築物件を買うときに
手付金が100万円で済んだことがあります。
ここだけの話、営業担当者の諸事情で月末や年度末に絡むような時期は
そういった提案をされることがあるようですが、
あくまでもイレギュラーなので自分から交渉するのはお勧めしません。
一般的に新築物件の手付金の値切りは
ほぼ無理だと思ったほうがよいでしょう。
なお、中古物件の場合は、上記に加え別途仲介手数料が発生します。
諸費用の修繕積立基金は新築マンション特有のものなので
中古マンションには含まれませんが、
不動産会社に支払う仲介手数料として
物件価格の3%+6万円+消費税がかかります。
例えば、5000万円の物件を買う場合は171万6000円です。
結構な金額なので、こちらを含めてローンを組むことも可能ですが
その分購入できる物件価格が下がってしまうので
中古の場合は、この費用も考慮して
自己資金を用意することが望ましいでしょう。
ちなみに最近、中古物件に絡んで話題になっている
「囲い込み」について耳にしたことはあるでしょうか?
一般に「両手取引」と言われる手法で、
不動産仲介会社が自社で売主と買主の両方から仲介手数料を得るために
売主または買主に不利益をもたらすような情報操作をすることがあり
問題視されています。
これについては我が家も経験アリです。
後日改めて、ご紹介します。
というわけで、自己資金はあればあるほど有利であり
あなたの希望物件が手に入るというわけです。
あなたの暮らしのお金の話
ここまでで、やっと家を買えるメドがついたあなたに
伝えておきたいことがあります。
あなたの年収によって
銀行はいくらの家が買えるのかをあなたに教えてくれます。
しかし、あなたが余裕のある暮らしを
継続できるかどうかについは教えてくれません。
住宅購入で資産を積み上げたいのなら、
住宅ローンが滞ることがあってはなりません。
手付金を払ったあなたは、今まさに資産を不動産に振り分けています。
ローンを遅滞させることは、
やっと手中に収めた不動産という資産を手放す危機であり、
あなたの目標である資産の積み上げを崩してしまいかねません。
大事なことは、住宅ローンを滞らせないことです。
支出の棚卸しをしましょう。
毎月のローンは?
毎月の管理費と修繕積立金は?
食費と生活費は?
水道光熱費、携帯などの通信費は?
保険・年金・医療費は?
子供の教育・養育資金は?
交際費や服飾費は?
これらの項目にざっと金額を当てはめてみましょう。
家を買ったら不動産取得税というものが、1~2年遅れでやってきます。
さらに毎年、固定資産税もかかります。
いずれも地域や物件価格にもよりますが
東京23区内で5000万円程度の物件であれば
不動産取得税は30~40万円、
固定資産税は15万円前後と考えておいたほうがいいでしょう。
インフレですから、これからもっと上がるかもしれません。
また、火災保険も5年ごとに契約更新しなければなりません。
こちらは補償内容によりますが、5~8万円程度でしょうか。
また最近、話題にのぼる修繕積立金も
総会の合意を経て増額される可能性も大いにあります。
これらを念頭におきつつ、
毎月のお給料、年に2回のボーナスも考慮して、生活に余裕がありますか?
余裕がなさそうなら、もう少し自己資金を用意してから
住宅購入に進みましょう。
余裕資金があるという方、3万円未満ならNISAを、
5万円以上ならさらにiDeCoも始めましょう。
投資信託なら福利効果で資産が増していきます。
iDeCoは5000円から始められるので、少額から始めるのがベスト。
ただし年金なので、
60歳までお金を崩せないところがネックです。
支出額が不安定な若いうちはNISAのほうが使い勝手はいいですね。
NISAなら急な出費が必要なとき、いつでも崩して使うことが可能です。
私のおすすめの投資信託はS&P500。
手数料も安くお勧めです。
とはいえ、積み立て開始時はマイナスが続くことも。
これは相場が上昇傾向のためで、しょうがない現象です。
ぐっとこらえて3年以上定額積み立てを続けることが肝心。
そのうちガクンと相場が下落します。
驚くようなマイナス評価額に愕然としますが、こんな時こそ継続です。
これまでよりも、あなたはたくさん購入できています。
相場の下落を乗り越えて継続した人だけが
次の相場上昇時にジャンプします。
相場の上下こそが、あなたの資産を育てるのです。
ここまで、お金の話をしました。
最後は投資信託の話になりましたが
基本的に資産形成という意味では同じです。
不動産よりも投資信託から資産形成を始める人も多いですが
個人的には、家賃を払いながら投資信託をメインするのは
やはり家賃を捨てているようでもったいないと思ってしまうのです。
私自身、25年ほど前の賃貸住まいの頃になりますが
不動産よりも先に個別株を始めました。
当時は投資信託は手数料も高く、アメリカ株は買いづらく、
日本株は値動きが鈍く、なかなか資産形成にはつながりませんでした。
口座維持手数料も売買手数料も、今のように無料ではありませんでした。
あの時に買った株はすべて売却したのですが
持ち続けていたら今はかなりの含み益になっていたでしょう。
しかし、株売却の4年後に買った不動産のほうが
実は値上がり幅は大きくなりました。
投資信託で増やして不動産を買うもよし、投資信託だけで増やすもよし。
時代は変わり、NISAも新しくなり、投資の幅も広がりました。
これからの資産形成は、どういった手法がベストなのか
だれにも断言できません。
ただし、自分が一番続けやすい方法を選択してください。
皆さんはどんな資産形成を選びますか?
不動産が好きな私の話は、まだまだ続きます。
また次回、お会いしましょう!