流経大柏vs前橋育英を見た感想。
2024年末から始まった第103回全国高校サッカー選手権が、成人の日に決勝戦を終えた。
千葉 対 群馬のいわゆる関東勢対決となった試合。
決勝までの試合を見ていた感じとしては、勢いやチームの仕上がり的に流経大柏が優勝かと思っていたが、結果は前橋育英に軍配が上がった。
前後半通して拮抗した試合展開が続き、そのまま延長、PK戦へと続いた。
110分フルで出場した選手、途中交代した選手がそれぞれいて、きっと一人ひとりにいろんな想いがあったことだと思う。
クールに見える流経大柏10番の柚木選手が途中交代で下がったときに流していた涙が印象的だった。
2年生から10番を背負い、私なんかでは想像もつかないような様々なプレッシャーと闘ってきたことだと思う。
そしてPK戦での決着というのは、ホントに残酷。
10人目まで続いたPK戦。
両チームとも8番目の選手がPK失敗と、ここまで拮抗した試合も珍しい。まさに歴史に残る一戦だった。キーパー同士の意地のぶつかり合い、気迫を感じた。
ただ、PKで決着をつけるということは、誰か1人がどうしても責任を負う形になってしまう。まだ精神的にも未成熟な10代の高校生にそれを背負わせるのはあまりにも酷だ。
約6万人近い大観衆が見てる中、あの静まり返った場所でPKを蹴るプレッシャーはハンパじゃないだろう。
たぶん、キーパーが3倍ぐらい大きく見えてると思うし、ゴールなんてボール1個分の大きさぐらいに感じているかもしれない。
かつてW杯決勝でPKを失敗したイタリアの英雄ロベルトバッジョは言った。
「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」と。
ホントにその通りだと思う。だから、PKに失敗した選手を批判することは誰にもできない。
成功したPKは忘れることができるが、失敗したPKは永遠に忘れることができないとも言った。
PK失敗に終わってしまった選手は、きっとこの日のことを一生忘れることはできないだろう。
でも、あの舞台でPKを蹴った自分のことを誇ってほしい。
自分のPK失敗で優勝を逃したなんて、すべての責任を背負う必要なんかまったくない。
あの場所にいた全員がホントにカッコよかったし、あそこまで情熱を注げることが羨ましくもある。
「また来年」は3年生にはない。それぞれが次のステージでまた頑張るだけだ。
後がないからこそ見られる真剣な姿が国立の舞台にはある。技術を超越した精神力のぶつかり合いに心動かされるものだ。
これだから高校サッカー観戦は止められない。