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歩行に影響を与える脳病変は?

こんにちは!
理学療法士をしているyukiです。


今回まとめようと思った内容は、”脳病変の違いによって歩行の回復に違いはあるのか”という臨床疑問に対してです。

僕が臨床で脳卒中患者さんを対象に治療をしているときに、歩行の回復には個人差が大きいことを感じました。

そのように感じているセラピストの先生は多くいらっしゃるのではないでしょうか?

脳卒中の大きさなのか、病変部位なのか、年齢なのか、元々の既往歴なのか、治療法なのか、はたまた合併する神経症状に依存するのか、など関与することが多いですが、この疑問点を解決したくpubmedで論文を漁ったところ、2017年に発表された下記の論文を見つけました。

その論文がこちらです↓


この論文では、脳病変部位と歩行回復との関連性を研究している内容でした。

論文雑誌はBrain and Behaviorで、雑誌の影響力を示すImpact Factorは2.091でした。
この記事で引用した参考文献数は18論文になります!
最後にリンクで貼り付けているので、参考にされてください。

この論文を確認すると、

・脳病変の違いによる歩行能力の回復について
・発症後からの経過で関与する脳部位
・歩行に関与する脳領域

などを学ぶことができます。

早速まとめていきたいと思います。



脳病変と歩行の関係性

脳卒中者にとって、歩行の回復は重要な目標だと思います。


歩行の調節と制御は複雑で,進化しながら高次中枢によって制御され,大脳皮質のレベルで基底核や小脳と連携して運動プログラムが行われています(1)。


脳の損傷が歩行の回復に及ぼす影響を調べた研究はこれまでにもいくつかあり,脳損傷の大きさが回復に影響することが示されています(2,3)。

先行研究による報告では…

・後外側被殻の損傷は、時間経過に伴い歩行の非対称性と関連(2)

・尾状核が下肢の運動回復に関連(4)

・バランスと歩行機能に関しては尾状核における病変部位を特定できない(5)。

・パーキンソン病を対象とした研究で背側線条体が歩行パターン生成装置となっている(6-8)。


しかし、脳卒中における歩行回復に対する背側線条体の役割はまだ明らかになっていない。

いくつかの研究では、脳病変が歩行に影響を与えることが示されているが、特定の脳病変の影響は不明のままである。

そこで、今回紹介する論文では、

初回の脳卒中者を対象に,病変症状マッピングを用いて,神経学的な画像と臨床的な回復状況を調査し脳卒中者の歩行回復に対する脳病変の影響を評価されています。


その結果ですが、

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