酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第91回「ライターの休日に残暑の甲府昼飲み」
「一人酒」、それは孤独な酒飲みのように聞こえるだろうが、実はそうでもない。私は一人酒という言葉を酒場で飲み歩く時に使っている。にぎやかな雰囲気に包まれれば、その店に居る人は全員、飲み仲間だ。
withコロナでようやく一人酒が再開した。が、まだまだ心置きなく飲めるようになるまでの道のりは遠い。ならば、体験談エッセイでも書くとするか。酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第91回「ライターの休日に残暑の甲府昼飲み」である。
はじめに
今回はつい先日の昼飲みについて書く。ライター稼業には土曜も日曜もなく、基本的に休みというのは無い。でも、たまには筆を置く、今風に言えばパソコンを閉じたままにする、そんな日があってもいいだろう。簡単なことだ。自分で休みを決めればいいじゃないか。
残暑がまだまだ厳しいなかではあったが、休みを取って昼飲みに出かけることにした。行先は居住地からのアクセスが便利な山梨県甲府市。2023年1月にWithコロナ活動宣言をし、外飲みを解禁したのが甲府だったが、それ以来の甲府入りとなる。
熱中症に気をつけながら飲み歩くとするか。
甲府「安べゑ」~いきなり難敵!タワーレモンサワー
9月に入ったので少しは暑さが治まるかと思いきや、全然そんな気配はない。5月の松本市以来の昼飲みを計画したものの、とても観光や散策をセットするプランは作れない。それなら「飲み」に徹するしかないか。
甲府駅南口から真っすぐ南に延びる平和通り沿いには、昼営業の飲食店がいくつかある。あまり歩き回らずに飲み歩けるので便利なゾーンだ。ちなみに繁華街は駅から10分ほど先のところだが、こちらは夜飲みのエリアになっているみたいだな。
それにしても、チョット歩いただけで汗ダクダク。暑くてたまらんのでパッと店を決めよう。貴重な昼からの通し営業の大衆食堂「安べゑ」に入る。大衆食堂と名乗っているが、ランチのある居酒屋だよな。
店の奥にある壁際のカウンター席に通される。注文を聞かれ、即座にビールと言いたかったところだが、この店はレモンサワーがウリらしい。なかでもタワーレモンサワーがイチオシのようなので、早速頼んでみるか。
目の前に現れた、縦に並ぶ凍結スライスレモン!
物珍しさもさることながら、これはいったい、どうやって飲めばいいのだろう。店員さんに聞くのも何だから、ネットで調べてみたが分からない。こんなことなら、グビッと飲み干せる生ビールの方がよかった。後の祭りだが。
肴も注文しておこう。これも店名物という「肉豆富の煮卵入り」、それからお好みキャベツをいただく。肉豆富、もうちょっと味が浸み込んでいたらもっと旨いだろう。でも、スジ肉や煮卵とのバランスが取れていて、これはこれでいい。
どうやらこうやら、タワーレモンサワーの1杯目を何とか飲み切った。ここは「おかわりサワー」をいただこう。量がちょうど2杯分なので、お得感がある。凍結レモンも溶けだしてくれており、突き崩しながら飲むとレモンの香りも強くなってくる。
都合3杯、レモンサワーを飲んだわけだが、グラスがそれほど大きくないので、実質的には1杯半分くらいかな。口開けには程よい量だ。ごちそうさん。
甲府「魚の四文屋」~山梨ブランドを山梨の地酒で流す
安べゑを出た途端、ムワーッとした湿気と肌を突き刺す日差しに襲われた。聞いてはいたものの、内陸部にある甲府はさすがに暑さが尋常ではない。早く次に入ろう。幸い、近くに昼営業の酒場があった。居酒屋「魚の四文屋(しもんや)」か。いいな。
四文屋は、中央本線や西武新宿線沿線の酒好きなら、ご存じの居酒屋チェーン。ちなみに甲府では隣り合わせでやきとんの四文屋があるが、そちらは営業開始前だ。
魚の四文屋なので、ここは海鮮をいただかねばならない。ならば酒は日本酒。でも、メニューに見当たらないなあ・・・と思ったら、店の姉さんが裏返してくれた。あるじゃないか、山梨の地酒。ここは武の井(北杜市高根)の青煌を頼もう。
肴は山梨オリジナルブランドの「富士の介」をチョイス。
キングサーモンとニジマスを交配させた魚で、脂はそれほどくどくなく、それでいて旨味がある刺身。これは山梨の地酒に合わないわけがないじゃないか。
地酒をゆっくり傾けながら、富士の介に舌鼓を打ち、味に慣れそうになってきたところで、箸休め代わりとなるタコわさを一口。至極の時、これが昼酒の醍醐味なのだよ。
甲府駅「葡萄酒一番館」~ワイン3種飲みくらべを堪能して
安べゑ、魚の四文屋と、程よく飲めた。店の外は相変わらずの厳しい暑さ。はしご酒を続けたいところだが、飲み過ぎも熱中症のリスクを高めてしまう。ここは当初の予定通り、駅前のカラオケまねきねこでインターバルを取るか。
1時間の一人カラオケで10数曲歌いまくって過ごし、昼飲み再開。3軒目の酒場でビールと一品で軽く飲んでから、甲府駅まで戻ってくる。
時間的にもあと1軒くらいだ。ここは駅ビル内で、改札口の真向かいという絶好のポジションにあるカフェ&ワインバー「葡萄酒一番館」しかない。一見満席のような感じだったが、奥に席が空いていて安堵した。
ここは昨年の初詣の時にも立ち寄った。単品でもワインを頼めるが、おススメは「ワイン3種飲みくらべ」。呑んべえなら、絶対に外してはいけないよ。
飲みくらべの一品は、一升瓶ワインを湯飲み茶碗で供してくれるという山梨スタイル。赤と白が選べるので、ここはASAYA赤でいこう。グラスワインはベーシックがルミエール、プレミアムはカベルネソヴィニヨン。あっ、3つとも赤ワインだった。ま、いいか。
おつまみのワインビーフのデリサラダとともに、販売レジでキャッシュオンし、店内の角打ちスペースに陣取って山梨ワインを堪能する。隣には同じタイミングで飲みくらべを注文したサラリーマン風の兄さんが立ったのだが・・・
兄さん、グビグビと一気に飲み干して立ち去った。
酒の飲み方は人それぞれ。時間も限られていたんだろうな。こっちはそんなに急がなくてもいい。食中酒にも合うASAYA赤、カベルネソヴィニヨンから飲み、甘い味わいのルミエールはデザートワインとして最後に頂戴した。
う~ん、やっぱり山梨のワインは美味しいや。
〇〇〇
今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。なお、このエッセイは2024年9月の忘備録なので、店の情報など現在とは異なる場合があります。
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