オヤジの思ひ出話~第10話「越後のおばあちゃん」
本日の話に登場する「おばあちゃん」は、私の実祖母ではありません。祖父の妹、私の母からすると叔母にあたる方です。6年ほど前に99歳の大往生を遂げ、長寿を全うされました。
新潟県内にある旅館の女将として長年切り盛りしてきた方で、私たち家族は「越後のおばあちゃん(おばちゃん)」と呼び、親しくさせていただきました。ただ、私自身はほとんど面識がなかったのです。
2001年に祖父を連れ、おばあちゃんの旅館に遊びに出かけました。この年、連れ合い(祖母)を亡くした祖父を元気づけてあげたいと、孫の私が「最初で最後」のドライブに連れ出したのです。
信濃川沿いにある旅館で、かつては水運を利用した行商人が泊まった「商人宿」だったそうです。今も常連客が多く、大女将であるおばあちゃんの人柄がにじみ出た、温かく家庭的な雰囲気がウリの宿です。
おばあちゃんは当時80歳半ばでしたが、一緒に昼食をいただいた時には、巨大なアナゴの天丼をペロリと平らげた姿に驚かされました。この食欲こそが健康長寿の源なんだと実感したほどです。
8年後におばあちゃんと再会した時は93歳になっていましたが、自分の足でしっかり歩き、私たちの会話もちゃんと理解できるという元気さ。まだまだ長生きしてくれそうだと思いました。
おばあちゃんの旅館はその後、孫嫁が女将を引き継いでいます。
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