土曜雑感 vol.117~本日のテーマは「改めて考える、介護職とは」です
今回は「介護職」について、私の考え方を書いてみます。あくまでも個人の感想であり、思い込みの部分も強いかと思いますので、ご承知おきいただいたうえで読んでくださると幸いです。
ちょうど1年前の本日、私は介護施設を退職しました。介護職員初任者研修の資格を取り、介護士として働いてきましたが、諸事情あって4カ月という中途半端なリタイアとなってしまったのです。
辞めた理由については、1年も前のことなので触れませんが、職場の人間関係や待遇・給料面でないことだけは、はっきりとお伝えしておきます。むしろ職場の方には、たいへんお世話になったと感謝しています。
タイトルの「介護職とは」に戻ります。
初任者研修を受けるまで、介護士の仕事は「お世話する人」だと思っていました。しかし、研修を受け、現場で働いてみて認識が変わりました。介護士の仕事は「見守る人」だと実感したのです。
「お世話する人」であれば、介護のテクニカルな面を磨いていけば仕事ができます。でも、テクニカルが過ぎると「利用者さんが自分でできること」を奪ってしまうことにもなりかねないのです。
デイケアに勤めていたこともあって、上司や先輩から「必要以上に手は出さないように」と言われていました。例えば、半身まひの方の着替えも、その方が絶対できない部分だけ介助をする、という具合です。
イライラする人からは「早く着せてくれ」と怒られることもありましたが、介護の現場では「着せてあげること」は親切でもなんでもなく、「大きなおせっかい」なわけです。
ベテランの介護職員は、世間話をしながら必要な部分だけ素早く介助をし、あとは見守っているだけ。利用者さんがまごついていると分かれば、タイミングよく、言葉でアドバイスをしてあげていました。
研修の学科で、なぜ「見守る人」であるべきかをしっかり学んだつもりでしたが、現場に出てみて「理論を実践することほど難しいものはない」と思わされました。4か月間は、その試行錯誤の連続だったのです。
そこで、「改めて考える」という部分ですが、介護職は「誰でもできる」ように見えて、実は「専門性の極めて高い仕事」だと分かりました。あえて言うなら「誰でもできる」わけではありません。
介助方法などテクニカルな部分だけなら、経験を積めばできるようになります。しかし、介護の本質の部分を理解し、それを実践する能力がなければ、介護職は務まりません。
還暦間近だった私は「挑戦する」という気構えで、介護の仕事に飛び込んでみました。挑戦はできたと思っていますが、貫き通す覚悟を持ち切れず、結果として離職することになってしまったわけです。
肉体的に大変だというのは想定していましたが、それをはるかに超える精神的なキツさは想像以上でした。専門性があるからこそ、求められるレベルもハードルも極めて高いのだと思います。
それだけの仕事をしているのにもかかわらず、介護職の給料はとても安いです。はっきり言って、仕事に見合っていません。そのことも、わずか4カ月働いただけでしたが、痛切に感じたわけです。
昨日、ブログ「気まぐれトーク」にも書きましたが、介護職への復帰は考えていません。ですが、ライターの仕事で介護や福祉に関するライティングがあれば、ぜひやらせてもらいたいと希望しています。
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