春が来るたび
自分が外部コーチとしてその子に関わる時間はたった2年とちょっとしかない。
その短い期間だけど、自分が教える子たちには、「ソフトテニスをやってよかった!」と思ってもらいたい。せっかくなら人生が変わるような経験をさせてあげたい。
このチームで頑張った経験がその後の人生で役にたったと胸を張って言えるチームでありたい。
今年の子たちにもそう思ってもらえるといいなと願いつつ、2年生の引退までの残りの期間を数える。
あと半年もたたずにこの子たちと毎週練習する日々も終わりを迎えるのかと思うと、本当に寂しい。毎年思っているけれど。
来週はあの子のためにこんな練習をしよう、こんな技術を教えてあげよう、今のあの子ならこんな指導が必要かな、ってことを毎週考えている。
それだけ想い、一緒に頑張ってここまでやってきた子たちの引退を、寂しいと感じないわけがない。
いまの1年生を見ながら、「最初はみんな乱打もできなかったのによく成長してくれたなぁ」と思う。きっとみんな自分が打てない頃のことなんて忘れてるんだろうけど(笑)。
今まで勝てなかった選手に試合で勝った時の高揚感。
自分が目指してきた目標をクリアしたときの達成感。
努力が結果となって表れた時の何とも言えない喜び。
できなかったことができるようになった時の嬉しさ。
1つのことに自分の全てを懸けて努力した人のみが得られる自信。
そんなことが経験できれば、その子の人生はきっと良い方向に変わるはず。
そう思って指導をしてきたつもりだけど、どうだったかなぁ。
少し昔話を。
自分は小学生の頃から特別な才能に恵まれている選手ではなかった。
小学生のころから活躍している選手たちは、運動神経が良かったりセンスがあるから勝てている選手が多い印象がある
(もちろん小学生にしてとてつもない努力をして活躍している子もいるだろう)。
または親が大きな期待をしてお金と時間を掛けてもらえている恵まれている子。あとはその子とかかわる周囲の人たちがソフトテニスをやっていて、自分も自然と始めたような恵まれた環境にいる子。そんな子たちが小学生時代では活躍する。
それはごく自然なこと。
努力をして上手くなったというより、才能と環境が物を言う。
でもそんな子たちに、自分の努力次第で勝てるようになれば、嬉しいでしょう?
自分は嬉しかったからね。
小学校の時からトップ選手だった子を中3の最後の大会でみんな抜き去ったあの感じ。今でも忘れられない。
あと「努力は才能を超える」って言葉が僕は好きなんだけど、その子が努力できるかどうかってのは周りの環境が大きいと思う。
その子の周りに頑張っている仲間やライバルが多ければその子も努力するだろうし、努力を認めてくれる人が多くいればいるほど努力できるだろうし、努力できる「環境」があれば努力できる。
とにかく、そうやって頑張れる子が一人でも多いチームにしたいなという思いがある。多感な中学生時代にこれだけ多くの経験を得られたら素晴らしいことだと思うし
自分もソフトテニスからたくさんの経験をもらった。今度は、ソフトテニスをせっかく選んでくれた自分の後輩たちにも同じように良い経験をして欲しい。
教えてもらえているチームの子たちも幸せで、その保護者も幸せで、教えている先生やコーチも幸せで、そんなチームを支えているたくさんの人たちも幸せにできるようなチームになることができれば、それって最高なことだよね!
ただソフトテニスが好きで、教えるのが好きで、教えた子たちが成長していってくれる姿を見ることに幸せを感じる。ただ自分が外部コーチをすることが自分の幸せ。
そこに幸せを感じられるようになった自分のことを、昔より少し好きになったかもしれない。
春が来るたび、来るべきこの子たちの「最期」を想像して寂しい気持ちになりつつも、今この子たちにできることを考たいと思う。
みんなで頑張ろう!