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全摘か温存か、再建するかしないか(わたしだけの乳がん物語 #10)


冷静に考えるために参考にした記述

乳がんの可能性が出てきた時から自分なりに調べてインプットしてきた情報や自分の判断基準をまとめようと思う。特に全摘か温存かについては、乳がんプラザQ&Aの回答がすごい参考になった。

片側だけだと思っていた時は、全摘の一択だったけど、両側の可能性が出てきてはじめてちゃんと”再建”というものに向き合ってみた。

【術式について】

  • そもそも術式の選択肢は、MRIによるがんの広がり具合で判断すべき

  • 無理なく温存できる場合(小さな切除でがんをきちっと取り切れて変形をきたさない場合)にのみ、温存+放射線治療が選択できる

  • 乳頭乳輪温存乳房切除は未だ安全性や長期成積の評価が不十分なの
    で、適応は慎重に検討する必要がある

  • 局所再発率→温存+放射線10%、全摘2%未満

  • 遠隔転移再発率→温存でも全摘でも同じ

  • 全摘で問題になるのは見た目だけ。その“見た目だけ”が人によって違う。自分にとって見た目がどの程度の重みを持つのか?をシンプルに考える。「かたちを残したいのか?」

  • 非浸潤癌なら全摘により(ほぼ)根治となる

  • 医者が温存を勧めるのは患者のニーズがあるから、乳房を残してあげたいという思いから。その上で判断するのはあくまでも患者

  • 必要のない全摘なんて存在しない。がんの確定診断がついていれば、どんなに限局していても患者さん自身の価値観で選択すればいい

【再建について】

  • 術後の人生の方が長い。不便なく、心身ともにより生活を楽しめる選択を考える

  • インプラントの場合、再建してもシリコンという異物と共生しなければならない

  • インプラントは半永久的に定期的なケアが必要、10年に一度は入れ替えた方が良い

  • 再建しない方が、身体的、時間的、経済的な負担が少ない

自分の選択は

  • 局所再発のリスクが低い方に。温存はしない

  • インプラントというより、TEを避けたい。

  • もうこれ以上傷を増やしたくないし、手術を受けるのも嫌だから自家組織の選択はない

  • (現時点で)非浸潤なのだったら、短い期間での「根治」を狙いたい

両側だった場合は、一次一期再建ができる場合に限り全摘+再建。できない場合は全摘で再建なし。いずれにしても温存はしない。
片側のみの場合は、全摘で再建なし。

局所再発の可能性が全摘に比べると高まること、術後にまた放射線を毎日受けなければならないことを考えると、少しでも早く日常を取り戻したい。そのためには乳房を失っても構わない。

安心と喪失がトレードオフ

乳がんて本当に過酷な病気だなと思う。見た目や乳房に対しての価値観によって治療が選べるなんて。もちろん選択肢すら与えられていないことだってあるけれど、何を選んでもいばらの道。

誰だって乳房を失わずに病気が治るのが一番なのに、それが叶わない。安心と喪失がトレードオフの関係にある残酷さ。

乳房はなんのためにあるのだろう。乳頭乳輪、ふくらみは誰のためにあるのだろう。Aくんを母乳で育てて、授乳するという役目はもう終わったのに。見るたびに小さなシミが増えてきたなぁ、なんか嫌だなぁと思っていた胸。
それでも、乳がんがあると言われても、早くもろとも取ってほしい!なんて思えない。がんも含めて大事なわたしの体の一部なんだと思える。

その胸が無くなってしまう怖さ、さみしさ、恥ずかしさ…いろんな感情を挙げても不思議としっくりくるものがない。これが”喪失感”ということなのかもな。あったものが無くなる。この喪失感を補って余るほどの何かをわたしは手に入れたいなと思っているし、手に入れなければやってられないと思っている。

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