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向き合いたくないこと(わたしだけの乳がん物語 #31)
術後1年検査
術後の1年検査はマンモグラフィ、エコー、血液検査。術後はじめてのマンモグラフィでは、検査技師さんに「今回は…左胸のみになりますね」と言われて、そうか、そうだよな、もう挟むのは左胸だけなのだと改めて実感。少しさみしい。
エコーは毎度緊張する。先生の手が少しでも止まったり同じところを繰り返すだけで動悸がしてくる。いびつなかたちの影が無いか斜め上のモニターを凝視する。なんとか今回のエコーも乗り切り、腫瘍マーカーも問題無し。
ただ、骨密度だけ平均値よりかなり低く、先生から「生まれつき少ないのかな。運動しましょう」と言われてしまった。タモキシフェンは骨粗鬆症を予防する作用もあるらしいのだけど、飲んでいなかったらもっと酷い値だったのかもしれない。
でもそれぐらい。術後数カ月で左側にも新たながん疑いがあってドタバタしたけど、1年なんとか問題なく過ごせました。
タモキシフェンの副作用
何事もなくてほっとはしているけど、1年経ってこその現実と向き合う場面もある。タモキシフェンを服用してまだ1年、副作用はSNSやネットで拝見する方ほど酷くはないと思っている。いや、思っていた。でも最近気づいてしまった。
確実に髪が薄くなっている…特に前髪。勝手にシースルーバングになっているではないの。なんなら半年前ぐらいから気になりはじめたけど、見て見ないふりをしていたのだと思う。自分で前髪を切りながらこんなに少なかったっけ?と思う。いやいや、まさかね。あれ、薄い?の繰り返し。
気づけばリビングにはわたしの髪の毛が散らばっているし、お風呂に入れば毎回排水溝からごっそり取り上げる抜け毛の量も確実に増えている。そしてとうとう分け目も目立ってきて、子供にも「あれ、ここおハゲになってるよ~笑」と指摘されるぐらいになってしまった。嫌だ嫌だ。
生え際の白髪が目立たないように前髪をつくっていたけれど、意図していないまばらな前髪は貧相なことこの上なく、髪型もしっくりこない。写真に撮られる己の姿にげんなりしてしまう。
絶対タモキシフェンの影響!もういい加減にして!自分が薄毛で悩むなんて思わなかったな。悲しい。薄毛でここまで悲しくなるのだから、抗がん剤による脱毛なんてどんなにつらいことか。頼むから今つらい思いをしている全員に幸せが訪れてほしい。
追い打ちをかけるのが、これが少なくともあと4年続くということ。服用1年でこれならどうなっちゃうの。今年48才、何もしなくても加齢による影響が出る頃なのに、さらに女性ホルモンを抑制してしまうとなると心身ともにボロボロになってしまうのではないか。
ふくらみが恋しい
そしてもう一つは切除痕。傷自体はケロイド体質の割にはきれいで1年間テープを貼り続けたかいがあったってもんだ。でもそんな傷よりもあばらが浮き出て抉れた痕が悲しい。なんか、グロテスク。まっ平でもなく、皮下脂肪が一切無いでこぼこクレーター。
術後はプールも行ったし、大浴場も一度だけ入った。なんとかタオルで隠して事なきを得たけど、人にどう思われるかというより、鏡にうつる自分の胸がやっぱり強烈。再建…とチラッとよぎってしまった。あれだけ考えた上で選んだ結果なのに。異物を入れたくないし、自分の健康な体から新たな傷をつくって組織を移植するのも嫌。どれも嫌、どれを選択しても嫌なことばかり。
こぶりな私の胸は、少し硬めのパットを入れたら見た目的にはまったく分からないと思う。それでも、ふくらみが恋しい。本来あるはずのものが無いという異様さは時間が経てば経つほど現実を突きつけられる。
まだきれいなお母さんでいたい。まだ若々しい妻でいたい。もう48才だけど、まだ48才でもあるんだぞ?この現実に立ち向かうためには何があればいいのかしら。お金?お金があれば植毛・育毛なんでもできる、そして精巧な人工乳房も作るんだ。いや、脂肪注入によるふくらみだって試せる。でもなんでもできるほどお金持ちじゃないの。家族3人がつつましく生活する分しか稼げていないし、これも現実。じゃあお金以外で何をもって嫌なことに向き合うのか。現実に心が折れないように、負けないようにしなければ。
薄毛は髪のアレンジとスタイリングで何とかしよう。助成金が出るらしいから人工乳房も検討してみてもいいのかも。できることから試してみよう。大丈夫、やりようはある。そして可愛いワンピースを着て家族でお出かけしよう。お笑い番組見て腹抱えて笑おう。笑う門には福来る、だ。
1年後は、後ろ向きな気持ちと前向きな気持ちが入り乱れる毎日でした。
無いはずの乳首がかゆい気がして右胸をかくと、正座してしびれた足みたいな感覚がある。ピリピリ変な違和感。でこぼこ胸をなでつつ、再発も左側の新たながんも出てくれるなよと願うばかり。
全摘術後1年の胸の傷跡
あくまでも自分の記録用としてアップするのだけど、やっぱり自分の胸だし、不特定多数の方に見られるより、情報として必要な方に参考にしていただきたく有料としました。
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