全摘した姿（わたしだけの乳がん物語 #16）

2023/9/8(金) 手術翌日：入院3日目

朝方まで眠れず、夜が明けるのをただ眺めながら、たまにうとうとしていたら7：00に。トイレに立つとやっぱりふらふら血の気が引いて吐き気が…

いやまてよ、ふと思って、これは昨日まったく食事をとっていなかったから血糖値が下がっているのでは？と思い、買っておいた梅のど飴を口に入れてみると、驚くほどすっきり。全身に染み渡るうまさ。全身麻酔では気管挿管するから、術後はのどがイガイガする場合もあるとどっかで読んだから、のど飴を買っておいたのだった。飴ちゃんひとつあるだけで元気になれるから、これはぜひおすすめしたい。

起きた夫とAくんとLINE電話。Aくんはちゃんと眠れたらしい。今日も画面越しのＡくんはとっても可愛い。台風が近づいて雨風強いけど、頑張って学校に行ってきてねと伝えた。

8：00過ぎ、食欲もあったから夢中で朝食を食べていたら朝の回診があった。食べかけはちょっと恥ずかしくて、明日からは回診があるまで朝食に手をつけるのをやめておこうと思った。3人の先生がいらっしゃって、担当医の方が胸の傷をチェック。「問題ないですね。傷もきれいです」とのこと。

傷を見るタイミングは最初に先生のもとで、と決めていた。えいや！と意を決して下を向いて傷を見ようと思ったけど、ちょうど先生の手で隠れて見えなかった。バストバンドをきつく締め直してチェック終了。

不思議なほど傷の痛みは無かった。ドレーンが入っている部分がバンドに押されて肋骨と擦れるのか、ちょっと痛いなぁぐらい。後から分かることだけど、これはもちろん痛み止めの効果もありつつ、感覚が麻痺していて痛みすら感じなかったのだと思う。それぐらいまったく痛くなかった。10年前に受けた卵巣のう腫の術後の方がナイフで刺されたような痛みが酷かった。

朝食も美味しくいただけたし、さすがに食べたら眠くなったので少し横になってうつらうつらした。

乳房の切除痕

上半身の清拭で看護師さんが来てくれた。「まだ傷を見ていないですかね？一緒に見てみましょう」と。いよいよこの時がきた、緊張の瞬間。バストバンドを外されて、洗面台の細い小さい鏡の前に立ってじっくり見てみた。

‥‥‥‥。正直、あんまりよくないイメージの方だった。平らなんかじゃない、クレーターみたいに丸く抉れているような気がする。傷そのものの生々しさもあるけど、消毒液の沈着なのか、痣の治りかけに見られるような黄色に変色したスペースに、赤黒い斜めの傷。脇からドレーンが出ている。

皮下脂肪が多い方ではないし、鍛えるの嫌い～筋トレ嫌い～で生きてきたから大胸筋もないし、仕方ないのだろうけど、やっぱりショックだった。もう少し平らになってくれたらよかったのだけど、腋の付け根にぷよぷよとしたお肉が目立ち、肋骨の一番下も出ているのが分かる。おまけに胸を囲むようにドレーンが入っているからチューブが浮き出て見えて余計にぼこぼことした印象。

そっとタオルで拭いてみると、とにかく硬い。ちょっと反った鉄板のよう。そして感覚がない。自分の体というより、別の何かを触っているような感じ。

でも、取り乱すとか涙が出ることはなかった。そうだよな、乳房を切除するってこういうかたちになるよなと思った。「写真撮ってもいいですか？」と看護師さんに言って、作業を待ってもらった。手術の際に付けたであろうマジックも残っている生々しい姿。摘出した部分は丸く、乳房ってこんな上からあったんだと思うぐらい、左側の胸がある位置と比べると、かなり高いところから切除されていた。

体を拭いていただき、手術着から服に着替えてさっぱり。その後夫が来てくれた。Ａくんのこと、手術のこと、お兄ちゃんからのメッセージ、仕事のことなど、いろいろ話した。軽くだけど、胸のかたちのことも話した。
夫と共有してるGoogleフォトには当分アップできないな、と思った。

お昼がきたタイミングで夫は帰ったけど、また週末どちらかにはＡくん連れて来てくれるって。楽しみだな。

Aくんが学校から帰ってきてから電話してくれた。体の心配をしてくれる優しいAくん。早く会いたいな。抱っこしたい。

ただ息しているだけですぐに夕飯の時間。さすがに食欲もあまりないけど体力つけるために頑張って食べた。眠いと思って早くにベッドに横になったけど、結局あまり眠れず、夜中に入眠剤を飲んだ。

手術翌日の全摘の写真

あくまでも自分の記録用としてアップするのだけど、やっぱり自分の胸だし、不特定多数の方に見られるより、情報として必要な方に参考にしていただきたく有料としました。

参考までに、わたしの体形は身長159㎝・体重45㎏、胸のサイズはBかCの70～75です。

カーテンを閉めた状態なので部屋の照明の具合で全体がオレンジかがっていますが、色加工はしていません。