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入院初日(わたしだけの乳がん物語 #14)
2023/9/6(水) 入院初日:入院1日目
朝起きて最後の入院準備を。Aくんも起きてきて、ギューッと抱き合った。「おっぱい可哀そう」と言うから、「会えなくなるのはさみしいけど、お母さんは悪いところ全部取ってもらうのだから可哀そうじゃないよ」と答えた。普通に学校に送り出してから、夫に車で送ってもらって一緒に病院へ。
手続きをすませた後に病室に案内された。窓からは広い空と高層ビルや川が見える。荷ほどきして、病室を快適にすべくせっせとセッティング。クローゼットがあったけど、ハンガーが2本のみ。ほら見たことか!と100均の折り畳み式ハンガーを持ってきてよかった。
そして便利なS字フック。クローゼットだけではなく、ベッド脇といろんなところにひっかけては、カバンや充電ケーブルが落ちないようにできてとても便利。洗面グッズもセット。旅行と違って化粧道具が一切要らないから荷物が少なくてすむ。
本当は大きな窓ガラスに吸盤フックをつけて、日光を取り入れた即席の乾燥場所を作りたかったんだけど(これは某リゾートホテルでやっているのを見てスゴ技!とびっくりしたもの)、ちょっと遠慮しといた。
今回は個室だったから(差額室料に関しては改めて記しておこう)、気兼ねなく過ごせるのは自分にあってる気がする。
薬剤師さん、看護師さんからそれぞれ説明を受ける。明日の手術時間は午後と決まった。3件目らしい。先生方も大変だ。夫は入っていた仕事が無くなったから本来は立ち会えるのだけど、Aくんも学校から帰ってくるし、何より術後の状態を見てほしくなかったから家にいてもらうことにした。手術の結果で命がどうこうという状態じゃないし、先生からわたしに直接説明してくださればそれで十分。
手術時間は1時間半を予定していて、カテーテルも無しとのこと。そして恐れていた、“麻酔から覚めて頭がクリアなのに動けない=自分の体に閉じ込められる”という、閉所恐怖症ならではの心配も大丈夫とのこと。術後2時間後から動いていいらしい。ほっとした。
夫は仕事のために戻り、一人で飲み物など買い物へ。お昼ごはんも美味しくいただいたけど、やっぱりさみしい。もうすでにさみしい。気を紛らわせるために仕事をした。Wi-Fi環境もあるし、ここが出張先のホテルだったらいいのにと思った。
担当医の先生が来て、手術する方の胸の上にマジックで印をつけた。術後にケロイド防止の飲み薬を出すとのこと。しっかり覚えてくださっていてうれしかった。
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ラジオアイソトープ注射
手術前日の検査はふたつ。センチネルリンパ生検の準備としてラジオアイソトープ注射と撮影。何人かの方と一緒の時間帯で流れ作業のように呼ばれる。みなさん”センチネルリンパ生検の手引き”みたいな紙を持っているから、本当に乳がんの方が多いのだなと思う。
注射は一瞬とはいえ、乳輪付近に針を刺してけっこう痛くて息を吸った。注射の1時間半後ぐらいに撮影。ふと筒状の機材が見えたから一瞬苦しくなって慌てたけど、しっかり目をつぶって5分ほどで終了。結局筒の中に入ったのかは不明。
ひたすら術後の姿をイメージする
家族とLINEや電話をしつつ、18時の夕飯を早々に食べ終えて明日のことを考える。がんをすべて取り除いてもらう。リンパの転移なんてないはず。胸はひとつ失うけど、早く家族のもとに帰って前のような日常に戻るのだ。
片方の胸がない状態、平らで斜めに傷が入っている体をひたすらイメージする。胸が無くなってしまってもわたしはわたし。大丈夫、わたしは何も変わらない。いや、新しいわたしになるのだ。新しい体になったわたしは、これまで以上に素敵な人生を送るのだ。
寝る前にまた家族とLINE電話でエフェクトをさんざん楽しみながら、映画を1本見て寝た。