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「10分間に2000個売れた」と言う、余りにも嘘くさいチーズケーキ。
体が鉛のように重たい。
時刻は22時。
ようやく就活からはしごしたバイトも終わり、車両一番端の席に深く腰を下ろす。
車内はまだ人はいるものの、この時間にもなれば皆お疲れモードだ。
「ふぅ・・・」
私も思わずため息が漏れる。
こんな如きで疲れていたら、これから社会人としてやっていけるだろうか…
不安ばかりが募る中、ふとバックの中で点滅を繰り返すスマホに気がついた。
「?」
ああ、お母さんからメールか。
LINEが未だ浸透していないお母さんはスマホをもちつつもガラケーでメールを送ってくる。
内容は以下の通りだった。
「・・・。」
私以上にこの活動に寄り添って、日々アンテナをはってくれている家族の存在。
ぁあ、、、ありがたすぎて頭が上がらないよッッ…
さっきまで死にかけていた気持ちが、再び立ち上がったような。そんな感覚が私を襲う。
ありがとう、すぐ帰る。
そう返信して、最寄りに着くまでの間私はそっと目を閉じた。
―
ガチャッ
「ただいまーーーーーッッッ!!!!!!チーーーーーーーーーーズ、ケーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーキ!!!!!!!!」
危なく降り過ごしそうになった電車を飛びてから、家までノンストップで帰宅した。
「っっうおうるさ!!!!!!!!おおおおかえり、勢いがすごいな…w」
1番に迎えてくれたのはお父さん。丁度玄関前に居ただけに肩をビクリと驚かせてしまった。
「あ!パパァ✨!!!ママから聞いたよ、お土産あるんだよね!ね!!!!!!やった!!!!!」
「わかったわかったわかった、わかったから…w
ーーーーッッとりあえず消毒して手洗いして着替えなさい!!」
―
・・・21歳にもなって、3歳の頃となんのかわりもないお説教を受けた私は少しばかりしょんぼりしたまま、チーズケーキが待っているリビングへと向かった。
あっあの箱だ・・・!
・・・ん?
ご丁寧に箱上に置かれた商品紹介用紙。そこにはこんなキャッチコピーが書かれていた。
10分で2000個も売れた「幻のチーズケーキ」
「・・・。」
うわ~~~~!!!!嘘くさ~~~~~~!!!!(最低)
いやっ、10分間に2000個ってwwwそりゃあ盛りすぎですよ広報部~~~!!!!!wwww
キャッチコピーや売り込み文句はうまくいけば購買意欲をそそるが、インパクトがありすぎると嘘くさく聞こえてしまう。
例を挙げれば世界で一番美味い〇〇やら、YouTubeの広告やテレビショッピングなどだ。
最初からやたらハードルを上げられるとなんだか気持ちが萎えてしまう経験、誰にだってあると思う。
ほんとに美味しいの・・・・?
疑いつつも時刻はもう23時を指そうとしていたため、私は首をかしげながらもさっそくチーズケーキにフォークを入れた。
…んん?
シュァ・・・ッと気泡がはじけるような軽い体感。反射でフォークにいれていた力を半減させた。
わけのわからないキャッチコピーにわけのわからない触感。
謎めいたその一口に勇気を振り絞って口へいれた。
「・・・・・・・・・へっっ??」
なんて腑抜けた声だろう。
それもこれも、まるで雪のように消えたチーズケーキが原因だ。
シフォンケーキよりも軽く、絹ごし豆腐よりもエアリー。
なのにチーズの味はすこぶるしっかりしている。
ああ、表現しにくい、、、しかし極限まで空気と一体化したチーズケーキなことには間違えない。
「こんなチーズケーキは初めてだ・・・。」
いつもならここで美味しさを叫び、語り、息継ぎを忘れるところだが、今日はそういかない。
新体験は言葉をのむ。
この感動を記憶に残そうと、全神経を舌に集中させ必死に感じることに忙しい。
私は最近悩みがあった。
前までは甘いものがこの世で一番好きで、甘いものが無くなったら死んでしまうとまで思っていた。しかし食の楽しさに芽生え、甘味もそうだが、まんべんなく色んなものを食してる内に、ジャイアントコーン1つすら一人で食べきれない体になっていた。
甘いものに少し苦手意識を抱き始めていただけに、このチーズケーキにも多少の躊躇があったのだ。
しかし!!!!
これは辛くない・・・・・!!!!!!!
久しぶりに心からスイーツを楽しめている気分が心地いい。
私は素晴らしいケーキに出会ってしまったかもしれない。
「こりゃ10分で2000個売れるわぁ・・・」
お父さん、疑ってごめん・・・・っ。
そしてありがとう。
ー
これは食事に限らず言えることだが、世の名には謳われた肩書きに「そぐわないもの」と、「本当に該当するもの」が混ざり合っている。
汚いやり方といってしまえばそれまでなのだが、みんなそれだけ必死に生きているという訳だ。
しかし、だからといって喜んで騙されるほどお人好しでも馬鹿でも無い。
なら、私達はどうしたらいいのだろう。
常に周りを疑い、警戒する、そんな石橋を叩いて渡る人生が吉なのか。
いや、私はそうは思わない。
玉石混交な社会を生き抜くために必要なことはだだ一つ。
信頼できる先人との人脈だ。
両親、祖父母から始まり、先輩、上司、先生など。人生を歩む中で必ず出会う「先人達」の経験や知恵は宝の宝庫と言って良いだろう。
インターネットよりも性格でAIよりも情のある判断はそういったコミュニティー間でしか得られることはできない。
きっと、失敗も成功も自分のことを本当に慕ってくれている人ならば喜んで教えてくれるだろう。
いつだって、真実に勝るものはない。
私はそんな真実を1つでも多く、大切な人に囲まれながら生きている間に見つけることができたら幸せだと思う。
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