イチオシは牛すじ煮込み!?下北沢に活気をもたらす三人の女性達。
「下北沢は変った。」
大人達は口を揃えてそういった。
その意味合いは不憫にも良い意味ではない。
―
「うわ~~…随分きれいになったなぁ・・・・!」
くすみを感じさせないホワイトの床はいかにも改装したて。ヴィンテージを想像させる下北沢には似つかわしい風貌に
私は少し、
たじろいだ。
慣れない道を進み、ようやくたどり着いたのはピカピカの改札口。
おっと、、。
驚いたことに、都市開発は駅だけではないようだ。
路上ライブよりも工事音が鳴り響く風景。
「んっ…」
日差しの強さに驚いて上を見上げると、雲一つ無い秋晴れの空までも、大きなクレーン車が分断させていた。
―
元より、下北沢は若者が多く行き交う場所である。
若者が集まる理由としては原宿や渋谷、新宿よりも文化的でサブカルチャーが熟しているところがポイントだ。
また、街に漂う独特な空気感には心の奥底でうずいてるエネルギーやパッションを開放的に、能動的にさせる力がある。
だからこそ、喜劇や音楽、アートなどで自分の力を試したいお年頃の若者が、その魅力に引きつけられるかのようにシモキタに集まってくるのだろう。
しかし、
時が過ぎれば人も入れ替わり、建物は廃れ、街は変る。
決して、変ることがいけないとは思わない。
むしろ廃れたものは新しく、より過ごしやすい環境に創り変えることは理にかなっている。
だが、どうしても郷愁の思いが沸き上がってしまう時がある。
―
「ここか・・・!!!」
駅から歩くこと5分ちょっと。
友人に「ひかりは絶対好きだと思う」と言われてやってきた。
メインストリートからはずれると、どんなに駅から近くとも下北沢閑静な住宅街へと姿を変える様だ
。
ちょうど道角にあるその店は、赤い提灯にガラガラと音の鳴る木製ドア。
これだけで昔ながらの温かみを感じるが、暖簾の純白さが”昔ながら”あえて意識して作られた「令和の定食屋」なことが読み取れた。
ガラガラガラ…
時刻はちょうど12時なだけに定食屋は大盛況。
とは言えど、忙しさが故にピリピリと緊張がはしるわけでもなく、
むしろ
ひだまりのような優しげな時間がそこには流れていた。
「「いらっしゃいませお好きな席どうぞー♪」 」
高い声。
賑わう店内の中でもその声は圧倒的によく通る。
理由は一目瞭然だ。
だって、キッチンとホールを兼任してお店を回す3人のスタッフは全員、女性なのだから。
あっ。
この瞬間、
特別な装飾があるわけでもないのに、店の華やかさは彼女達のパワーだと確信した。
―
うっっひょおお~〜〜・・・・・・!!!!!!!!
友達の推薦するだけあって、案の定私は大興奮。
お品書きには魅力的なメニューがずらり…、そりゃもうずらりと書かれていた。
こんな時はいつも、
私はやっぱりオシャレなパンケーキやハンバーガーよりコロッケ定食に胸が踊る側の人間だ…
と再確認する(笑)
あれ?もう一枚お品書きがある…
それを手にした時、私はのけぞるように驚いた。
「!!!!!!!!??????」
ワイン、ビール、日本酒、梅酒、焼酎など、他にも沢ッッ山のお酒が並んでいるだ、と、、!?
戦闘能力が高すぎる…
昼時の集客のみならず、夜は飲み屋として一杯やっていくことができるハイブリッド定食屋はさぞ下北沢で需要が高いことだろう。
どうせなら一つお酒を頼みたい所だが、午後にリモート授業がある。
・・・こりゃ昼飲みは厳しいや(笑)
だが
「すいません!牛すじ煮込み定食屋お願いします。」
お酒に合う食事は白米にも良く合うのだ。
―
目の前にあるカウンター台には実家にありそうなお皿が積まれているが、
背後の壁には下北沢らしい劇場のポスターやらエキセントリックなステッカーが所狭しと貼られているギャップ。
なんだっっ、この、時代の流れにうまくミキシングされている定食屋は・・・
本当に「古い」と「新しい」と「街らしさ」の調和がよくとれている。
…それにしても、牛すじ煮込み定食がオススメの店と出会うのは初めて。
コロッケや生姜焼きを目玉にしない、ピリッと癖のある物珍しさがカッコイイ・・・!!!!!!!!!
運営するお姉様、奥様たちの賢さに唸りが止らず、終始心の中でスタンディングオーベーションをしながら定食を待った。
―
ゴトッ
「おまちどうさまです!」
おふっっ///////////////!!!!!!!!!
こ、こっここれは、これはおいしそうだ…
深めのお皿に盛られたぷるぷるの牛すじ…
私を食べて♡と言わんばかりに輝いているではないか…
牛すじ煮込みの他にはご飯、味噌汁、浅漬けと至ってシンプルな献立。
だがそれがいい。(断言)
サムネにする写真をサクッと撮り、私はレンゲいっぱいに牛すじ煮込みをすくいアムっと飲み込んだ。
ハァウッッ・・・・・・・・・//////////
な、
なぁなに、これ・・・//////////
単品で食べてもしょっぱくないのが非常~~~に、
良い。
目の前に箸はある。
だがしかし、今の私はレンゲでお米をかき込むことしかできない。
おいしい、、、おいしい、、、!!!!
牛すじはちゃんと具沢山。
茶色く染みたゴボウは肉に負けない旨みが詰まっている。
パリッポリッガリッ
途中漬物を挟むことも忘れちゃいけない。
ジャパニーズソールフード、ツケモノ…(合掌)
途中一味唐辛子を振り、味変を試みた。
美味すぎてその後の記憶はよく覚えていない。
―
「ふう〜~~〜・・・食べたぁ・・・。。。!」
あれよあれよという間にまるっと完食。
もう何も入らないほどよく食べた。
私は張ったお腹をさすりながら、この店の良さを今一度考えた。
都市化が進むにつれ、シモキタの魅力と言われていた古き良き街並みが消えていく。
確かに、そこには今まで繋いできた文化や愛されていた時が刻まれていただけに、「失くなる」ことに名残惜しさが止まらない。
けれど、街の安全のため、快適さをあげる為には、仕方がない決断だったことだろう。
しかし、
本当に大切なものは
モノやカタチに留まらない、目に見えない部分を指すんじゃないだろうか。
発信したいという若者のパッションはモノではない。
自分を試したいという思いはカタチでは無いように。
場所や街が変わろうとも、志があればまた前のような下北沢はきっとまた戻ってくるだろう。
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「ありがとうございました!また起こし下さいね」
ガラガラガラ…
まだ日は高く、外は眩しい。
昼下がりといえど、立っているだけで滲み出る暑さはもう終わった。
ただただ心地が良い10月の気候は自然の恵としか言いようがないな。
しばらくして、私は後ろを振り返り、目を見開いた。
なぜならば、
逆光の光で包まれたあの店は、下北沢の一番星のように見えたからだ。
こんな店が先頭に立って、これから新しくも昔の情緒ある街を作っていくのだろう。
私はまた、ひと皮もふた皮も剥けた下北沢に行く日が楽しみである。
今日のお店は「三角」でした。
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