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女子高生だった私が、定期試験終わりの『ご褒美』にしていた老舗天丼屋・秘密の姉妹店。
頑張った自分に特別なご褒美を。
『ご褒美』と聞いて、あたなはどんなものを思い浮かべるだろうか。
旅行?ショッピング?エステやリラクゼーションなんかも魅力的だ。
私にとってのご褒美とは。
もちろん1000%で美味しいご飯、いわゆる『ご褒美飯』だ。(ドヤァ)
それはもう今に始まったことでは無い。
幼稚園生の頃は「卵ボーロ」
小学校低学年の時は「ヤンヤンつけボー」
のように、いかなる時も好物に鼓舞され私は邁進してきた。
痛い痛い予防注射。あれこそご褒美なしでは決して乗り越えられなかった…(しみじみ)
高校生は…そうそう!!!!
私の「ご褒美飯リスト」に殿堂入りする、「奇跡のグルメ」に巡り会えた、思い出の記憶。
それを今回はお伝えしていきたい。
あの日は高校2年生、学年末試験の最終日のことだった。
・・・
・・
・
「試験終了です、筆記用具をおいてください。」
一番不得意だった
物理をもって、
長い長い学年末テストが終わった。
「ん~~~~……はっーーー!!!!!終わっ…たぁ…。」
全身の力が抜けて、だらりと机の上に突っ伏した。
勉強詰めだった日々から解放される瞬間は、物理が赤点かどうかよりも、喜びが勝ってしまうのはどうしようも無い私の性(笑)
けど、この喜びは序説にすぎない。本当の幸せはこれからだ(にやり)
試験が終わったら、あの天丼を食べる。
そうずっと心にしたためて挑んだ学年末試験。
私のモチベーションは、この後食べる天丼によって保たれていたと言ってもけして大げさな表現では無い。
友人からの大好きなカラオケの誘いも断って、
HR終わりの挨拶と同時に、猛スピードで教室を後にした。
─
自転車のギアはマックス。
こいでこいでこぎまくる私。
全速力で向かっている間に、今から行こうとしている店を知った経緯を説明しよう。
学年末試験から丁度2ヶ月前、その日の晩ご飯は自家製天丼。
いつもなら大喜びなはずなのに、テスト最終科目が物理と宣告された私はどうも箸が進まない。
なんて後味の悪い試験なんだあああ(絶望)
そんな私をみて、家の天丼が口に合わないのかと勘違いした父は、自分がよく通っていたおすすめの天丼屋を教えてくれた。
話を聞くには、その店は2時間並ぶことはざらなほど、超が付く老舗。・・・の姉妹店(笑)
本店を構える日本橋よりも、吉祥寺にある姉妹店のほうが並ぶ時間も短く狙い目らしい。
ただ、かなりわかりにくい場所にあるらしく、行く時はくれぐれも迷子にならないようにと父は忠告した。
老舗の天丼だと・・・!?
『ご褒美飯』にうってつけじゃないかッ・・・・・・!!
その日を境に、
私は闘志を燃やし、勉強へと打ち込み始めたのだった。
─
はぁ、、、はぁ、、
こ、ここが父が話していた天丼屋、、、((ゴクリ
ラーメン屋かと思い通り過ぎていた場所、
そこの2階が私の目的地。
目立つ看板なんて物は無く、店名が書かれた小さな木蓋が、細い階段前にそっと置いてあった。
想像以上の秘蔵っぷり。
二人横並びで登ることすら困難なほど狭い階段を、踏み外さないよう丁寧に、丁寧に登って行った。
カラカラと横に戸を引くと、そこには夢中になって天丼をかき込む大人達。誰一人としてしゃべることなく、一心不乱に食らいついている姿に、高校生の私には衝撃を受けた。
お品書きは至ってシンプルで、松竹梅の三段階に分かれた天丼のみ。
一つの料理で勝負をしている感じ!しびれる…!!!!
「松」が穴子、「竹」が鱚、「梅」が舞茸と、それぞれメインとなる食材が違っているようだ。
あいにく、私はアルバイトが禁止されていた高校に通っていたため手持ちは少ない。必然的に880円の「梅」を注文した。
どの階級だろうとも、この店の天丼が食べられるだけで私は嬉しかった。
温かい黒豆茶を飲みながらほっこりしていると、いやはや、お目当ての天丼のご登場。まるでバースデーケーキが運ばれてくる子供のように、私はキラキラした熱いまなざしを天丼に向けた。
き、きたぁあああああ!!!!!
揚げたての天ぷらが、タレで茶色く染まっている。
重なる天ぷらでご飯は見えないボリューム感。しかも!「梅」なのにも関わらず、エビが2本!!2本乗ってる!!!(興奮)
まじまじと天丼を見渡す間に、私は何度唾液を飲み込んだことだろう。
ようやく箸をとり、貝柱のかき揚げをほぐしてご飯と共に口に運んだ。
パクリ
ゔぅーーーーう、うううううま――――――――――いいい!!!!!
こっこれが老舗の天…丼っっっっ!!!
サクサク感は失われずに染みる濃いめの甘ダレ。これが本当に880円という事実が理解できない。「お値段以上」とはまさにこのこと!!!!ニトリもびっくりのクオリティー!!!!
黙々と食べる人々に迷惑をかけぬよう、私は机の下で小刻みに腕を振りながら興奮を押し殺した。
食べ進めていくと、中心部には得体の知れない丸々とした「何か」があった。
なんなんだこれは・・・(困惑)
恐る恐る、「何か」を箸でつついてみた。
トロリ…
コッ、コレハァ!!//////////
流れ出してきたのは、
輝く卵黄。
そう、「何か」とは「玉子の天ぷら」だったのだ!!!!!!
「キャァアアアアーー!!!(雄叫び)(卵大好き)」
感謝感激雨あられ、もはや涙。
え!?半熟卵って揚げられるの!?すごい、、初めてだ、、、!!!!
この流れでた卵黄に、えび天をディップ。
いや待て待て(笑)
ヴィジュアルが(笑)
既に美味いのだが(笑)
パクッ・・・・・・クゥウウウ~〜//////////////
ウマーーーーーイ!
ワカッテタケドウマーーーーーイ!!!
そして、
これが「梅」を代表する舞ッ茸…!(箸で持ち上げながら)
パクッっ・・・・・・
<え?舞茸ってこんなに美味しかったっけ???>
スーパーで馴染みのある素材のあまり美味しさに驚きを超えて真顔。
独特な深みのある香りにこの歯切れの良さ…!!ひと噛みで食べるものを魅了する。
まだ食べたことは無いが、「松」の穴子、「竹」の鱚に消して劣ること無い、圧倒的存在感がここにはあると確信した。
その後
ようやく卓上に置いてある2つの漬物に気づいた私。
蓋を明けると、1つはしょうが、もう1つはたくあん。
私の直感的が、この漬物は美味いから食っとけ!!!と叫んでいたため、すばやく小皿へと取り分けた。茶色いタレご飯の上に置き、お下品とおもいつつもどんぶりを持ち上げてワシワシと口に駆け込んだ。
くっっっっ……!!!!!!!///////(あっいけない眉間にシワが…
この美味さは是非とも皆に味わってもらいたい。
いやまじで漬物だけでお米2合はいける。
気がつけば表情筋を動かしている暇も無いぐらい、無我夢中で食べていた。今になって、やっと大人達が静まりかえっていた理由がわかった。このどんぶりは危険なぐらい、魅惑の美味さを秘めている。
あっという間に空っぽになったどんぶり。
さすがの私もはち切れそう。
お腹をさすりながら、そっとスカートのウエストを緩めた。
今思うと金欠で良かった。
だって、
もしたくさんのお金を持っていたら、私は迷わず「松」を頼んでいた。
何気ない境遇が、この美味い舞茸天と出会わせてくれたと思うと、なんだが感慨深いものがある。
まるで昔話の「舌切り雀」だな。
もっともっとと欲を張らずに、身の丈にあった選択をすることで自然と幸運は舞い込んでくる。
ぁあ素晴らしい教訓だ・・・。
それからというもの、
高校を卒業するまでの間、試験終わりにこの店の「梅」天丼を食べることが私の定番となった。
─
時は経て、私は大学生となった。
やっとのことで冬休みの課題レポートを終わらせた。
「疲れだァ~〜~・・・・・・」
ふと、
高校生の頃に「ご褒美」としていた「あの天丼」を思い出した。
久しぶりに食べたいなぁ・・・・・・
欲望のままに来てしまった吉祥寺。
2年じゃ町並みの変化はあまりない。
だが、天丼屋は違った。
ラーメン屋が無くなってる・・・!!
驚いたことに、以前は2階のみだった天丼屋は1階のラメーン屋を改装し、店を広げていた。
そして大きな看板も付いていた。
繁盛している店に喜びつつも、「知る人ぞ知る」感じが好きだったためリニューアルは少し残念にも思った。
1階の店に入ろうとした時だった。
【注意】
1階は天ぷら定食
天丼は2階でのみ提供
壁に貼られた1枚のチラシによって、私は誤入店を防いだ。
これは見事なひっかけポイント、私が教師なら必ず出題したい…!(一体どんなテストだ…笑)
天ぷら定食も食べてみたかったが、それはまたの次回に取っておこう。
階段の細さは健在。
懐かしさに高揚して、少し足早で駆け上がった。
案の定、丼一点を見つめるお客で溢れる店内。
ふふふ、もうそんな光景も慣れたものだ。
さてさて、何を頼もうか!
大学生になって私もアルバイトを始め、ある程度の余裕はできた。
ここは、大奮発。
昔は食べられなかった「松」を、2年越しに注文した。
しかし、「松」と言っても1380円。きっと浅草なら2000円は優に超えるだろうと思うと、やっぱりこの店はお財布に優しい。
―
な、な、なんだこの大きさは・・・・・!!!
念願の丼を前に、私は目を丸くした。
「松」の貫禄をビシバシと放つ大きすぎる穴子。
どんぶりから「はみ出ている」というよりは「突き抜けている」と言うべきか。以前なにかのテレビで聞いた情報だが、穴子をこれほどまでにまっすぐ揚げるのには、熟練の技が必要らしい。
箸で持ち上げるのも一苦労な穴子天に豪快にかぶりついた。
はぐっ
・・・・・っっっっっ//////////!!!!!
これは鰻派も黙る美味さ。衣はサクサクなのに身のふわふわ感・・・・!恐ろしいエアリーさが、また一口、さらに一口と食べ進めてしまう!!!!
やっぱりここの天丼はすごい・・・!
一瞬にして心をつかみ、頑張った私を包み込む。
そしてまた頑張れよと背中を押す力を持つ。
料理はけして、食欲を解消する役割だけではないと、私は改めて感じた。
─
美味しい物は時を超え、父から私へ、そして私から読者へと繋がっていく。
食事はいつでも私達の近くにあるものだからこそ、そこに楽しみや喜びを感じられたらどれだけ幸福になることだろう!
今までの努力や苦労が一気に報われるような、そしてまた走り出すことのできるような『極上のご褒飯』を、私はこれからも探していきたい。
そしてこの幸せを1人でもたくさんの人とわかちあえるように、これからもこの記事を書き続けていきたい。
きっとそれは、私達の人生を豊かにするものだから。
今日行ったお店は「金子屋」でした。
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