見出し画像

AIC生ブログ|農業界の業界分析をしてみた

マイファームは、「アグリイノベーション大学校(AIC)」という社会人向けの農業スクールを運営しています。
仕事を続けながら週末に農業を学びたい方へ向けて、農業の技術や経営に関しての知識・理解を深める、学びのプログラムを提供している学校です。

今回は、現役でそのAICに通っている、Tさんから寄稿いただいた記事をご紹介させていただきます。

ーーー

自己紹介

皆様初めまして。
私はとある日系企業で営業、経営企画などを経験した後、退職し海外の大学院に留学、帰国後はとある企業に就職し、現在はマーケティングをやっています。


これまで仕事レベルではあまり農業とは縁のない世界を歩んできたのですが、祖父母が専業農家で、小さいころから田植えや稲刈りなど農業が身近にはあり、自然と近い仕事がしたい、農業をしてみたいという気持ちが心のどこかにはありました。

特に大学院に行った後は、自分で起業して、経営者になりたいという気持ちを強く持つと共にどの分野ならば残りの人生で自分が悔いなく過ごせそうか考えていた矢先、祖母が亡くなり、また祖父も高齢のため、農業に携われないこととなり、土地をどうするかという問題と直面する中で、自然と農業の分野に興味を持つようになっていきました。

とはいえ自分自身、慎重派なこともあり(笑)、本当に自分自身が農業を残りの人生で頑張れる覚悟が持てるのかを考えたいと思い、今回AICに入学することを決めました。

このブログで伝えていきたいこと

画像3

画像2

私は農業を通じて、日本社会、特に地方を元気にしていきたいと思っています。

その中でどういうビジネスでそれを実現していくのか、AICで学んだことや体験農園(ちなみに写真は私が今借りている農園です!)で実施に自分で栽培している中で考えたことを生かしながらこのブログを通じて具体的なプランに落とし込んでいく過程をシェアさせて頂くことで、少しでも新規就農や農業関連で起業を志す人の参考になればと思います。


ちなみに現時点では具体的なビジネスプランはありません(笑)
そんな人がこの1年間でどう考えを深めていくのか、何をきっかけにビジネスの種を見つけていくのか、はたまた全く見つからないのか、そういう過程を温かく見守って頂けると幸いです。
また現在はコロナウイルスでとても大変な状況ですが、私なりに考えているコロナ後の世界をイメージしながらのプランにしていきたいと思っています。

農業って儲かる?

前置きが長くなりましたが、今回のブログでは農業界を自分なりに分析をして、

「儲かる可能性があるのかどうか」
(やっぱり儲からないと農業を始める気にならないですし)

をマクロ的に考えてみたいと思っています。
非常に陳腐ですが、業界分析ならばということでマイケルポーターのファイブフォース分析で考えてみます。自分が調べられる限りでは裏を取ったりしてみたものの、頭でっかちの部分もたぶんにあると思います。あと農業界と言っても非常に広いので、畑作農家を起点に考えてみます。


まずは既存農家同士の競争はどうでしょうか?

結論から言うとこちらの環境は悪くないと言えます。農地法の改正により、一般事業法人も生産サイドに参入が可能になり、競争環境の変化が今後起こる可能性があるとはいえ、農業界は高齢化が進んでおり、今後農家の数は特に何もなければ(そして業界構造はなかなか変わらない)減少していくことを考えるとここはあまり悪くないのではないかと考えております。
(もちろん農業を更にマクロの観点で見ると好ましくないのですが)

実際、1985年から2015年に掛けての農業を主業としている人口は半減、65歳以上の割合も2倍以上になっています。

では次に買い手の交渉力はどうなっているでしょうか?

ここは農協という大きなプレイヤーがおり、またその他の販路として、スーパーなどの小売店、道の駅、レストラン、直販などもありますが、スーパーの小売店などを中心に基本的に買い手が強いと言える状況だと思われます。農家の利益はこの点で圧縮される可能性があるでしょう。
ただし農協という大きなプレイヤー自体が、農業者の協同組合という成り立ちを持っているため、必ずしも農協の利益だけを純粋に追及するものでもないことから考えるとここも悪くはないでしょう。

ではサプライヤーの交渉力は如何でしょうか?

サプライヤーとしては、いわゆる農業用資材、例えば農薬メーカー、農業機械メーカーなどが挙げられるかと思いますが、あまり芳しくないかもしれません。また農業機械メーカーは言わずと知れた大企業ばかり、
また企業の集約度も高く、非常に厳しい環境と言えると思います。
一方で農薬はプレイヤーも多く、圧倒的なマーケットリーダーもいないことから農業機械に比べると相対的に良い環境と言えるかもしれませんが、それでも一農家とは規模が違いすぎますし、厳しい環境であることに変わりはないでしょう。要はサプライヤーの交渉力も強く、その観点からはちょっと厳しいというという結論になるかと思います。

次に新規参入者の脅威です。

こちらは最初に申し上げた既存の競争の観点とも被るのですが、ここは見通しとしては悪くないでしょう。最近新規就農数は増えてはいるとは思うものの劇的に増えているという状況ではなく、一個人としてみた時には、土地取得のハードル、生活環境の大きな変化など参入障壁はそれなりに高い状況だと思います。
一方で事業法人についても植物工場など大規模な投資が必要になること、生産については事業法人の参入が可能になったのが2009年以降ということを考えると企業体として農業を展開できる会社は商社など一部の会社に限られるものと思われ、そこまでは悪くないと言えるかと思います。


最後に代替品の脅威です。

野菜と同じ形で食物繊維が取れるものとなれば、例えばサプリメントなどがあるかと思いますが、現時点ではそこまで脅威とは言えないのではないかと考えています。サプリメント市場は既に成熟期に入っている(2015-2019年での平均成長率は1%弱)ものと思われ、今後劇的に代替されていることは考えにくいでしょう。

結論と今後

つい長くなってしまいました。
畑作農家をマクロ的視点から儲かるかどうかを考えたときには、強い売り手に囲まれて、生産コストのコントロールは難しい業界であることは間違いないものの、マクロ的に見てそれなりに儲かる可能性はあるというのが個人的な意見です。

AICの授業を通じて、ミクロ的にどうなのか(今まで授業を聞いている限りだと儲かる可能性はあるという印象を持っています)ということも学んでいけたらよいなと思います。

画像1

寄稿者:Tさん

関西圏在住。農業を軸にした新規ビジネス、新規就農を考えています。
山登りが趣味です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?