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【REVIEW】SURF&TURF(Deluxe Edition)
今流行っているあるアーティストが、自身がリリースしたアルバムに対して、みんなが理解ができて好きだと思ったらポップスが変わると述べた。その言葉を借りるなら、平井大がさらに売れたら日本人のメンタリティが変わる。精神的に成熟するとさえ思う。
日本は多分良い国だ。空手や柔道、剣道など武術と精神性を合わせた心身修行は世界各国で行われ、漫画やテレビゲームに現れる桁違いの想像に、歌舞伎や俳句、演歌などオリジナルな文化。実生活は課題はあれど基本的に医療は行き届き、多くの人がスマホを持ち、電車はたくさん来る。長い歴史で固有のアイデンティティを培ってきた日本人は外から見れば「自分自身である事」が容易い、簡単に手に入れられると思うだろう。おまけに礼儀も規律もおもてなしもあるときた。
しかし、コロナ禍で改めてこの国が持つ同調圧力とマウントをとるための正義感に心底嫌になった人は多いだろう。その協調性と抑止力があって高度経済成長を果たせたのだろうから、今の豊かさとそれは不可分なのかもしれない。しかしその不可分はスキャンダルへの過剰なバッシング、労働への強迫観念、ステータス崇拝、自殺などの社会問題としても現れている。また、世界の中心をここじゃないどこかへ置きたがる我々は傍から見るほど幸せではない。豊かさ=幸せで無いというのは、年収800万円以上は幸福度に有意な差は認められなかったという話を拡大した事に同じかもしれない。
「道端に咲く花もどこ知れず吹く風も 別に名前や名誉など気にするそぶりもないだろ?」俺らに必要なのは努力じゃなくてTake it easy. 晴天のサーフミュージックがそう教えてくれる。
平井大 EP 「SURF&TURF」(Deluxe Edition) 2023.8.27