脳腫瘍マルオとの日々。その1「発覚」
2021年4月、横浜。
人間ドックのアマゾンみたいなポータルサイトに見入っていた。
「全身CTスキャン」「レーザーで胃カメラ」「全がん血液検査」「腫瘍マーカー」「充実の65項目」・・・豊富すぎるメニューにクーラクラ。
そんな中で目に飛び込んできたのが、「当日結果説明!」というワード。
一流どころの人間ドックはどこも結果が出るのに3週間はかかると書いてあった。しかし、アメリカがホームベースのわたしには、そんなに待っている時間的余裕がない。なので「当日!」に魅かれ、その人間ドック屋さんをチョイスした。
なんで日本で人間ドックを受けるかというと、アメリカにはどこも悪くないかもしれない人がCTやMRIなどお気軽にできる健康診断サービスがないから。なにか症状があって、自分の保険会社(ここが社会保険制度が整っている日本とは大違い)を説得してからではないと、それらにありつけない。ありつけたところでとんでもなく高い。アメリカで胃カメラをやったことがあるが、$3500 (約35万円)かかった。蜂にさされてアナフラキシーショックを引き起こし救急車で運ばれ治療を受けた請求書は $4000(約40万円)を超えていた。アメリカは医療費が高すぎるのだ。そして、Preventative Care (予防ケア)が乏しい。
わたしは大酒飲みだから、膵臓や肝臓や腎臓や胃の調子が心配。そして近年、同世代の友を膵臓癌や、くも膜下出血で失っている。「健康には気をつけなくては」との意識だけは高くなり、「日本に行ったら人間ドック!」を今年の抱負にしてあった。
「当日!」の人間ドック屋さんのメニューも豊富にあった。そこからわたしの心配領域をくまなく超音波やCTスキャンしてくれるプランを選んだ。5万円弱。安くはないが当日結果がわかるメリットは他にはない。しょうがない。これでお会計をしようと思ったら、オプショナルメニューが目についた。人間ドックに5500円追加すれば脳のCTスキャンがついてくるという。
「ふーむ」
一瞬悩んだ。
大酒飲みの脳細胞は減りまくっているに違いない。
脳タリンであることをわざわざお金払って宣告されたいか?
自分の脳に問題があるとしたらそんなことだろうとしか思っていなかった。
しかし、なにかの力がわたしに「受けろー」「そこもクリックしろー」といっている気がした。
「居酒屋1回分より安いな」
「ま、いいか」
わたしは、脳CTスキャンも追加予約した。
そして、これは必要な選択だった。
4月5日。
人間ドック&脳ドック受診。
お約束通りその「当日」に、わたしは結果を聞いた。
心配していた内臓系は元気だった。
皮下脂肪は、たんまりと腹回りについているのがCTでよーく確認できたが健康的なデブのままであった。ホッとしていたら医者が言った。
「脳に腫瘍がありますね」
「はっ?」
「大きな病院に行ってMRI検査をしてください」
「紹介状はどこ宛てに書きましょうか?」
「えっ?」
予期せぬ展開。
お医者さんのモニターに映るわたしの脳の断面のCTスキャンの画像には白く大きな丸いものがあった。