夢みたいな時間
夢みたいな時間ってある。
これは現実なのか?夢なのか?
感情だけが妙に沸き上がり、非日常のような時間。
自分の意識レベルがついてこれていない。
心と体がともなっていないような感覚。
現実だけど現実じゃない時間。
その時は高揚感やその場の空気感に合わせるために、
自分の意識は半分以上スイッチを切っているのかも知れない。
本能的に。
強い人はきっと、どうともせず、自分らしくいるのだろうけど。
何かにひどく敏感だと、どうも自分の思考を止めてしまう気がする。
私も、時々ある。
決して悪い時ではなく、逆に言えばひどく楽しみな時間でだ。
なんで私はここにいるんだろうとか。
どうしてあなたといるんだろうとか。
意識が、少し、おかしい感じ。
自分で選んでそうしているのに。
どうしてか、意識がついていかない感覚。
その出来事が終わった後に、
何かに襲われるように、「夢だったのか?」って思う。
友達がつい先日、同じことを言った。
みんなでその子の実家に遊びに行った時。
友達も久々に実家に帰り、しかもたくさん友達を連れて帰って。
友達のお母さん、お父さんもとても嬉しく迎えてくれて。
みんなでその友達の実家のリビングでぐだぐだ喋っていた。
楽しく笑い合って、お父さん、お母さんも一緒に。
「 なんか夢みたいでおかしい。
この状況にちょっとついていけてないよ(笑)」
そう言いながら、嬉しそうに笑った友達を見て、
あ、私もそんな感じ、分かる。すごく、分かるって思った。
先月の旅、私は少しそんな感じだった。
夢みたいな時間はなぜか怒涛のように過ぎる。
一気に詰め込まれる楽しい時間が、駆けだすような速さで過ぎていく。
意識とは裏腹に、自分が呼吸するより周りの空気を吸い込むのに必死で。
でもとても楽しくて、嬉しくて。
だけど、どこか自分の意識が遠くにある。
その何とも言えない感覚が、時々ある。
そして、その夢のような時間は、
二度とないような幻のような思い出に変わる。
ふと思い出すような。
あ、あんなことあったな。
あの人がいたな…遠い遠い記憶のように。
思い出をしまっておく場所が2つあるとしたら。
定期的に、あの時、面白かったねと無邪気に取り出すような思い出の箱と、
そういえばあの時と不思議な感覚で一瞬のような記憶を思い出す箱がある。
夢のような時間はそんな不思議な箱にある。
通るべき道だったのか。
そういう定めだったのか。
何かを知るための出来事のように。
何かを思い知るための時間のように。
夢のような時間が一瞬の幻になろうとも。
それは紛れもなく私の過去の一部。
ただ、本当におかしい。
夢のような時間って。
不思議で、何とも表現しようがない。
そして悲しいほど儚い幸せな思い出だ。