憧れのピンクハウス②
自分がずっとピンクハウスの服に憧れていたことを思い出し、「着てみたい」と思った私は、すぐさまスマホでピンクハウスのオンラインストアを見てみました。
びっくりしました。
思っていたより、ずっと高額だったのです。
「ピンクハウスの服は高い」ということは漠然と知っていましたが、具体的な価格までは把握していませんでした。
というか、ピンクハウスもおそらく、世の中の値上げの波に乗って値上がりしているのでしょう。
これまで私自身、好きだったヨーグルトが50円値上がりしたから買わなくなったとか、100円以下だった食パンが100円以上するようになったとか、食材の数十円〜百円の値上げに嘆いていましたが、それがちっぽけなことのように感じる衝撃でした。
もともと高いものは、より高くなっているのです。
私は、ピンクハウスの服を定価で買うのは無理だ、と思いました。
アウトレットなどはないのかも調べましたが、公式サイトでたまに値下がりすることがあるのと、楽天市場でも取り扱いがあるので、楽天ポイントを使って買うくらいしか、新品を安く方法は見つかりませんでした。
あとは、中古だったら古着屋などで買えるとのこと。
でも私は潔癖症だから、もともと中古品を買うことへの抵抗が大きく、しかも古着ってあまり綺麗じゃなくても高い値段をつけられているイメージがあり、できれば新品を買いたいなぁと思いました。
しかし新品はとても買えないので、私のピンクハウス計画はいったん頓挫しました。
とはいえ、一度「ピンクハウスを着たい」と思ったら、その気持ちが完全に消えることはなく、その後もピンクハウスが時々頭の中をよぎりました。
偶然目に飛び込んできた人
そんな中、昨年の12月頃だったと思いますが、Eテレを何気なくつけていたら、「ハートネットTV」に田村セツコさんという80代後半のイラストレーターの方が出ていました。
ご家族を介護した体験を話すのがメインで出演されていたようですが、私は田村さんの服装に目が行きました。
田村さんはフリフリの洋服を着て、髪を2つに結んでいて、めちゃくちゃメルヘンチックな雰囲気でした。
多様性の時代とはいっても、80代でそういう格好をしている人はかなり稀だと思います。
でも、全く違和感がなかったのです。
「この人はこういう人なんだ」とすんなり納得できたといいますか…
つまりそれだけ、自分を確立している人なんだなって思いました。
私もこの人みたいに、普通にピンクハウスの服を着るのがデフォになりたい。
田村さんを見て、私はそういう思いが湧きました。
ちなみに、あらためた田村さんのファッションをよく見ると、そこまでフリフリの服というわけではないようでした。
しかも、著書によるとありあわせのものを工夫して着ているだけで、色はモノトーン系の色しか着ないのだそうです。
それでもにじみ出るカワイイ雰囲気…
田村さんの書く(描く)イラストや文章も、本当に可愛くておちゃめです。
素敵な人だなぁと思います。
「ピンクハウスの人」になる覚悟
ピンクハウスの服を着るために超えなければいけないハードルは、「高いお金を出せるか」という以外にもう一つありました。
それは、人前で着る勇気です。
服って、コレクション目的で買う人もいるみたいですが、私は着ない服は買うつもりがありません。
外で着るのが恥ずかしければ「家の中で着る」という手段もありますが、私はやっぱり着て出掛けたいと思いました。
ピンクハウスの服ってすごく可愛いけど、ブランドの個性が強くて世間では"奇抜なスタイル"の部類に入ってしまうと思うのです。
ピンクハウスに限ったことではありませんが、奇抜な格好をしている人はそれが代名詞のようになってしまいがちです。
"ピンクハウスの人"。
私も誰かにそう言われる可能性があると考えたら、やっぱり少し抵抗を感じました。
だから、息子関係の用事には着ていけないなとか、音楽の仕事でもあのサークルはOKだけど別のサークルはNGだなとか色々考えてしまいました。
あと、そもそも37歳の私がピンクハウスのフリフリの洋服を着るって世間一般的にはやっぱり「無し」だよな、というのも考えました。
地味な色と着心地重視のファッションが流行っている現代ではなおのことです。
…まぁでも、別にいいかな、と思いました。
やっぱり一番のハードルは、お金です。
金、金、金。
金さえあれば…
世の中結局、金なのか。
そんな私がピンクハウスの服を買う決意をしたのは、今年に入ってからのことでした。