危険な集団心理?「リスキーシフト」とは?
「リスキーシフト」という言葉を聞いたことはありますか?これは、集団で議論する際に、よりリスクの高い方向へ思考が動いていく心理状態を指します。
皆さんも一度は聞いたことや使用した事がある「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という言葉がありますが、これはリスキーシフトによる行動を的確に表現したものだと言えるでしょう。
今回はこの「リスキーシフト」について、その概念や心理状態、危険な判断を回避する方法を解説していきます。
▶︎リスキーシフトとは?
集団で何かを判断する時、より危険でリスクの高い決断をしてしまう心理状態のこと。
集団で討論する場合、極端にハイリスクもしくはローリスクな決断をしやすくなる「集団極性化」という心理の1つです。
例えば、「SNSや掲示板における炎上」
SNSはその匿名性もあり、個人の特定が難しく、発言に対する責任の所在がとても曖昧なものです。誰かが過激な誹謗中傷などを行うと、内心ではよくないとわかっていても、その匿名性ゆえに一人ひとりの発言がエスカレートしていきます。この傾向は、オープンなSNSだけでなくクローズなグループでも散見されます。
つまり、このように「場の雰囲気に流されて」極端な判断をしやすくなってしまうのが集団極性化という心理なのです。
▶︎リスキーシフトが起こる原因
ではなぜ、集団になると極端な決断をしやすくなってしまうのでしょうか?リスキーシフトが起こる原因として、以下のようないくつかの背景が考えられます。
(1)集団では多数派の意見が目立ちやすいことにより、無意識にその意見に賛同する心理状態が作られるため
(2)多数派の意見に強く同調することで、「仲間として好ましい人物」と認識されたい心理が働くため
(3)集団においては「極端な意見を言っても責任が分散される」「失敗しても誰かが責任を取ってくれるだろう」と感じて慎重さを失う傾向にある
(4)集団において、より過激な意見を出す人物が注目されやすい傾向にあるため
(5)集団の中に、他者が「NO」と言えないほど影響力の大きい人物が存在するため
こうした心理が働くことで、リスキーシフトが成立してしまう可能性があります
▶︎リスキーシフトを回避する方法は?
大きな危険を招く可能性があるリスキーシフトは、できれば回避していきたいもの。ここでは、リスキーシフトを防ぐための方法を紹介します。
(1)会議などで極端な発言をしない
会議やミーティングなどにおいても、誰かひとりの極端な発言からリスキー・シフトが始まります。
会議などの席では、あくまでも慎重に判断した意見を述べるようにしましょう。
(2)自分の意見を誇張しない
自分の意見を固めたら、討論の場でその意見を誇張しないよう注意しましょう。
「目立ちたい」「認められたい」といった承認欲求は、他者からの注目を集めるために極端な発言をするなどで表れる場合があります。
本来の自分の意見は何であったか、立ち返るよう意識すると良いでしょう。
(3)発言における責任の所在を明らかにする
責任の所在が不明瞭だと、リスクの高い決断をしやすくなります。そのため、議事録をとり発言者を明確に記録しておくと良いでしょう。
また、これを事前に参加者へ伝えておくことで、過激な発言の抑制となり、リスキーシフトを防ぐことができます。
▶︎自分の意見を持ってリスキーシフトを避けよう
1人で決断するよりも多数で意見を出し合う方が、良い結果が導き出されることもあります。
しかし、集団で討論する場合には「集団極性化」という心理が働き、それによって過激でリスクの高い結論を導く可能性があることは覚えておく必要があるでしょう。
しっかり自分の意見を持つことでリスキーシフトを回避し、有意義な会議や討論をしたいものですね。