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ライブをやってみようよ

地味なまりかの、人生初の記念すべき一日がこうして終わりました。
文化祭が終わって、周りからの私を見る目がちょっと変わってきたようです。文化祭での演奏もうまくいき、けいこちゃんからの私への信頼も増したようです。

ある日、けいこちゃんは私に訊きました。「ライブをやってみようよ。」
先日の体育館での演奏が楽しかった私は、けいこちゃんの誘いに即答しました。
ライブに出るためのバンドのメンバーは、同じバンド部の、ボーカルのみきちゃん、ドラムは私、そして、けいこちゃんはギターに転向。ほかのキーボードやベースのメンバーはけいこちゃんの友人の子たち。 けいこちゃんが、バンドで演奏する曲を決め、ライブハウスに出演の手配もしてくれていました。しかも、彼女が周りに声をかけると、チケットが瞬く間に完売していました。 二週間に一度くらいのペースで割り勘でスタジオに入り、私はそこでやっとドラムセットにありつけました。家でドラムを叩いたりできない分、演奏は間違いなく私が一番へたくそでしたが、誰も知っちゃいないだろうし(笑)、みんな本当に生き生きと演奏を楽しんでいました。 

恐らくこのころには、運動音痴で大人しい まりかのイメージは、かなり払拭されてきていたかと思います。メガネからコンタクトに変えたのも同じころ。私はひとりぼっちのつもりでいましたが、気づいたら周りに、普通にちゃんと友達もいました。
友達が近くにいてくれたのに、距離の取り方がわからず、友達の存在が見えていなかったのかもしれません。

さて、体育館での初お披露目に続いて、ライブハウスでの初めてのライブは大成功。高校の同級生や同じ学年の子たちも大勢観に来ていました。ライブはそのあと何度も行いました。 
当時のお小遣いは、週末の遠征費、スタジオ代、仲間とのご飯代になどバンド関係に消えていました。
当時、けいこちゃんに色々と振り回されたけれど、彼女のおかげで、高校時代が少しずつ輝き始め、楽しいものとなりました。

間もなく、みんなそれぞれ進路を決める時期になり、ひとりまたひとり、とバンド活動から遠のいていきました。
当時、私は貿易の仕事に就きたかったので、英語をもっと勉強しようと思い、2年制の英語の専門学校に行くことにしました。
けいこちゃんは? 彼女は、ますますバンド活動に熱心になり、高校を卒業してからプロのベーシストとして活躍していたそうです。

専門学校に進んでからの二年は、それまで勉強らしきことをろくにしてこなかった分?、たくさん勉強をしました。しかもその専門学校は女子校。課題漬けでテストも多く、週末に遊ぶ時間も、デートの時間だって、なかなか取れませんでした。いや、彼氏がそもそもいませんでしたけれどね。

つづく




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