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日帰り温泉へのドライブ

それからというもの、菅野くんのまるで春の陽だまりのような笑顔が、仕事中ふとした時に蘇ってきて、私の邪魔をしていました。
それでも、米ちゃんの時のような、あのドキドキ感はまるでなかったんです。ただ、思い出すたびに穏やかな心地よい気持ちが続いていました。 
数週間後、えっちゃんから、今度は、「玉川くんから、みんなでドライブに行かないかと誘われた。」と連絡がきました。日帰り温泉へのドライブ。先日のクリスマスイブに集まった8人で、男性グループ二人の車二台に四人ずつ分乗しました。
玉川くんと蟹江くんの車で、私は何となく蟹江くんの車へ。蟹江くんの助手席に乗りました。えっちゃんはしっかりと、意中の人 玉川くんの助手席へ。 

菅野くんは玉川くんの車に乗っていました。先に玉川くんの車がスタートし、ちらっと後部に座る菅野くんの姿を見送りました。

菅野くんの隣に座っているのは、専門学校時代の隣のクラスの顔見知りの女の子、ゆうこちゃん。
特別美人というわけではないけれど、女の子らしくふわり優しいオーラを纏っており、いつも人への気遣いができる素敵な子でした。そんな女の子が菅野くんの隣に座っていたから、焼きもちというほどではなかったけれど、それでもまりかは内心落ち着きませんでした。
当然、そんな助手席の私の心をしらない運転席の蟹江くん。助手席の私に色々と話かけてきました。でも、心ここにあらずのまりかは、せっかく蟹江くんが話しかけてきてくれていたのに、彼の話がいまいち入ってきませんでした。途中の高速のサービスエリアで休憩。先に到着していた車から降りてきていた菅野くんの姿を目にした私の心臓は大きくどきっと鳴りました。彼はにこやかにこちらを見て、車を降りた私に話しかけてきてくれました。

少し落ち着いた気持ちになった私は、コーヒーとガムを買い、蟹江くんに手渡しました。休憩が終わりまた車はスタート、蟹江くんはさっきよりもっと楽しそうに話していました。今度は私ももう少し余裕をもって彼の話を受け止められました。 
寒い時の温泉は格別。途中でうどんなども食べながら、心も身体もぽかぽかになって帰りました。こうやって次のクリスマスのころまで、人数が減ったり、メンバーが変わったりしながらも、コンスタントに5人前後で飲んだり出かけたりが続いていました。

まりかが車の免許を取ってから、半年くらいが経っていました。みんなで飲んだ帰りに、途中から菅野くんとまた二人で同じ電車に乗り、その時に車の免許を取って練習をしているという話になりました。私は勇気を出して、菅野くんに「私の運転を見てほしい。」とお願いをしてみました。
つづく

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