ミャンマーへの準備
ミャンマーで三か月瞑想する予定だったのが、前回書いたような思わぬ妨げによって一か月に短縮になってしまった。後で思ったことではあるが、ただ長い期間瞑想していればいいものでもなく、時間を区切って行った方が集中がよい場合もある。実際、チャンミ瞑想センターにいた外国人の中には何年も滞在している人がいたけれど、サヤドー(長老)の法話の翻訳をしていたり、掃除ばかりしていたり、皆に配るお菓子の買い出しにしょっちゅう出かけてみたり、人数はいるはずなのに瞑想ホールには人が少ない状態になっていた。ひと月ならそんな時間はもったいないとわかる。
まずはA氏と観光ツアーで三日ほどヤンゴンやバゴー(ビルマの竪琴で有名な寝釈迦像があるところ)をまわり、その後A氏には帰国してもらって私だけ瞑想センターに移る計画を立てた。その頃は日本旅行にツアーがあったので、窓口で申し込むことにした。窓口の男性はとても感じよく私を迎えてくれたのだが、私がミャンマー滞在の計画を述べると、微妙な表情になった。
「ミャンマーはビザを取るのが大変でして…」
許可されるかわからない、とのことだ。プラン通りの観光なら問題はないのですが…。汗っかきのようでかわいそうだが、その頃は一か月の観光ビザならそれ程難しくなかったはずだ。瞑想ビザを取りたいわけではない。面倒くさい客に当たってしまったと思っただろう。
また、A氏はパスポートを持っていなかったのですぐに作ってもらった。驚いたことに帰国後A氏はパスポートを即捨てたらしい。どうやらパスポートは使い捨て、一回きりのものだと思っていたのを後に知る…
瞑想センターに持っていくものを揃える必要があった。日本で買えるようなものはコップと白いシャツくらいだった。コップについては東北のお寺の方に教えていただいた。ミャンマーで修行したことがある方で、お会いしたことはないがメールでお聞きしたら親切に教えてくださったのだ。すぐにアリが寄ってくるので蓋つきのコップがよいとのこと。ここで虫に対する不安が少し起こる。
瞑想時の服装は上は白いシャツ、下はくるぶしの隠れるくらいの長さの茶色いロンジー(巻きスカートのようなもの)と決まっている。その他、肩から斜めにかける茶色のショールも必要だ。ロンジーは現地で作ってもらわなければならない。あまり肌を露出しないほうが良いので、長袖の白い薄手のシャツを日本で探したが、冬だったのでなかなか見つからなかったのを覚えている。
それから、無事に帰って来られるのかわからないという気がしたので、持ち物の多くを捨てた。演奏会で着たドレスも、もういらないだろうと思って捨てた。他にも何を捨てたかわからないくらい捨てた。
在家のまま修行して、気が向いたらセヤレー(尼僧)として剃髪して出家するのもいいかなと思っていた。上座部仏教の尼僧についても、またそのうち書こうと思う。
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