ブルーピリオドを読め
夏が終わる気配がする。昨日、気温の変化でお腹を壊した。
季節の変わり目は起きていられなくなる。ここ数日、半日以上は寝ている。
締め切りはあるけど、調節可能な在宅ワークでよかった。
「ブルーピリオド」映画見たい でも見れない 怖い
「ブルーピリオド」の劇場版が見たくて見れない。
ブルーピリオドの話させてください。
でもネタバレ全回避したいので私の話ばっかりになっちゃいます。
ブルーピリオドの原作漫画は全巻持っていて、読んでるんです。
私は芸大出身です。
芸大と美大の違いは音楽系の学科があるかないかぐらいの認識で(たぶん)OKです。
受験科目は各大学の特色や傾向はありますが、ほぼ一緒です。
私には芸大受験の経験があるので「ブルーピリオド」は精神にクリティカルヒットします。
主人公の葛藤、焦り、心象があまりにも理解できてしまうので読むのが怖いんです。
そしてそれは元美大受験生に全員共通しているだろうし、美大受験の経験がない読者にも共感できるぐらい説明されています。
美大受験怖すぎの思い出
正直、もう美大受験はしたくないです。
ここからは自分語りです。
受験勉強前半の技術の向上には明確な答えがあります。
陰影の取り方、形の取り方、タッチの付け方……。
正解があり、それに近付くようにしていけばいい。
率直に言うと、それができなければ今年の受験は諦めた方がいい。
それができなくて、何年も浪人する人がいるのが美大受験の常識になっています。
受験勉強後半の「自分の作品」を作るのがとても辛いです。
私は油画で受験したのでその知識で語りますが、凡庸では受かりません。
自分を切り崩して、作品にして、それが評価されないと入れません。
技術、経験、思想、哲学、時間……限られた時間内に自分の中の色々なものをテーマに沿うように作品に込めて提出します。
そしてそれが評価される。
提出した自分の分身に近い作品が評価を受け、講評される。
多くは改善のために否定されます。
自分の分身が否定され続けます。
これで精神を病む人が多いのが美大受験予備校でした。
制作中に泣き出す人、キャンバスを割る人、練り消し食ってる人、自傷行為に走る人。色々いました。浪人生が多かった気がします。
自分を見つめ続けて、出力し続けて、生き残れた人が入れるのが美大です。
入学後は受験の後半の繰り返し。受験より一枚にかける時間が長い分、精神負荷はより強くなります。
もうほぼトラウマなので、あんまり思い出したくないことを思い出す。
この作品は上の内容をめちゃくちゃリアルに描いてます。読め。
たぶん15歳の私が読んでたら美大受験しなかったと思う。
ブルーピリオドを読め!
でも読むとめっちゃわかるんです。
悩んで苦しんで出した答えが自分の求めていたもので、ピースがハマった時の充足感が! 感動が!
評価を受けるための手段に成り代わりかけていた作品が、自分だったことを思い出す時が来るんです。
この漫画を読むとその時の感動を思い出させてくれる。
心のぞわぞわするところをなぞって、私の青春を思い出させてくれるのがブルーピリオドです。
きっとそれは絵を描いたことがない人でもあったんじゃないでしょうか。
大きなことでも、小さなことでも、自分を自分が救うような感覚。
今までが無駄じゃなかったって思えることが。
それを思い出させてくれるのが「ブルーピリオド」です。
読んで欲しい。そして思い出して欲しい。あなたがあなたの心を動かした時のことを。その時の激情を。
それはそうとて、待ったなしで映画が進行する映画館で見るの怖いです。吐くかも。